第3206回 2022-23フランスリーグフィナーレ(2) 2位を確定したRCランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■最終戦で対照的な成績のチームと対戦するオセールとナント

 前回の本連載では1部に残留できる16位をオセールとナントが争っていることを紹介した。第37節でオセールは引き分けてしまい、残留を決めることができなかったが、ナントが敗れたため、両チームの勝ち点差は2となった。最終節でオセールが敗れ、ナントが勝利するとナントが勝ち点で逆転し、ナントが残留、オセールが降格となる。オセールが引き分け、ナントが勝利すると両チームは勝ち点36で並び、得失点差の勝負となるが、最終節を迎える段階の得失点差はナントが-19、オセールが-26であり、この場合もナントが残留、オセールが陥落となる。
 ナントが勝利し、オセールが引き分け以下の場合はナントが残留、それ以外のケースはオセールが残留となる。
 そしてこの残留をめぐる最終節を紹介する前に、第37節の残りのカードについて紹介しなくてはならない。なぜならば、最終節でナントはアンジェ、オセールはRCランスと対戦するが、両チームの対戦相手の成績は最終節の戦いぶりに影響するからである。
 まず、アンジェはすでに最下位が決定している。後半戦はわずか1勝しかしていなかったが、ホーム最終戦となる第37節では同じく2部降格の決まっているトロワに勝利した。 対照的にRCランスは優勝を逃したとはいえ、好調で2位争いをしており、最終節でオセールとナントは対照的な成績のチームと対戦する。

■2位争いをするRCランスとマルセイユ

 2位以下のチームは欧州カップ、それもよりプレステージの高い大会への出場権を目指す。2位はチャンピオンズリーグ本戦、3位はチャンピオンズリーグ予備戦、4位はヨーロッパリーグ、5位はヨーロッパカンファレンスリーグの出場権が与えられる。
 残り2節となった時点で、上位の入る3チーム、すなわちチャンピオンズリーグに出場するチームはパリサンジェルマン、RCランス、マルセイユで確定していたが、1位と2位、2位と3位の順位は確定していない。前々回の本連載で第37節でパリサンジェルマンの優勝が決定したことを紹介したが、2位争いも第37節で決着がついた。第37節を迎える段階の2位RCランスの勝ち点は78(得失点差+34)、3位マルセイユの勝ち点は73(+29)であるから、マルセイユが逆転するためには残り2試合に連勝、そのうえでRCランスが連敗するか、1分1敗でマルセイユが得失点差で逆転しなくてはならない。逆にRCランスは残り2試合で1勝すれば、2位を確定できる。

■2部降格が決まっているACアジャクシオ相手に得点を重ねるRCランス

 第37節でRCランスはホームでACアジャクシオと対戦する。ACアジャクシオは19位ですでに2部降格が決定し、終盤を迎えた。チャンピオンズリーグの本戦を目指すRCランスとすでに降格が決まったACアジャクシオのチームの勢いの差が如実に表れた。
 勝利すれば2位を手中にすることのできるRCランスは4月15日にパリサンジェルマンとの直接対決で敗れてからは5連勝、対するACアジャクシオは2月26日にトロワに勝利したのを最後に勝ち星から見放されている。RCランスのチームカラーの赤と黄金に染まった満員のフェリックス・ボラール競技場の声援をバックに、序盤から攻め続ける。16分には右サイドのアドリアン・トマソンからのクロスをディベ・マチャドがACアジャクシオの守備陣を交わして先制点を決める。さらに先制点のアシストをしたトマソンは22分に追加点を決めて2-0とする。さらに35分にはロイ・オペンダがPKで3点目を決める。オペンダはこれで今季20ゴール、1993-94シーズンにロジェ・ボリが記録した得点に並んだ。

■記録的な好成績で2位を確定したRCランス

 試合は3-0のスコアのまま、終了し、勝利したRCランスは2位を確定した。RCランスはホームでの全日程を終了し、17勝1分1敗という成績を残す。これまでにホームで18勝以上したチームは1974-75シーズンのサンテチエンヌが19戦全勝、18勝したのが1984-85シーズンのボルドー、1958-59シーズンのニース、1978-79シーズンのサンテチエンヌだけである。それに次ぐ成績を残し、シーズン終盤で6連勝しているRCランスを最終戦でオセールはホームに迎えるのである。(続く)

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