第708回 2007年リーグカップ決勝(1) フランスカップ、欧州カップで脱落したリヨンとボルドー

■昨季のリーグ1位とリーグ2位が対戦

 前回の本連載ではリヨンのリーグ6連覇について取り上げたが、その中でリーグカップ決勝の結果も紹介した。決勝が行われたのは3月31日のことであるが、年々注目度の高まっているタイトルであるので、遅ればせながら紹介したい。
 本年度のリーグカップについては本連載ではすでに準決勝までの状況を第661回から第663回の連載で取り上げている。昨季リーグ1位のリヨンと2位のボルドーが決勝に進出し、珍しく順当な決勝戦の顔合わせとなった。準決勝が行われたのが1月の中旬、そして決勝が行われるのが3月末ということで準決勝から決勝まで1月半の間隔があく。国内のカップ戦でこれだけの間隔のあくタイトルは他にはない。この1月半の両チームの足取りに注目したい。

■準決勝直後に行われたリーグ戦のリヨン-ボルドー戦

 まず、準決勝を両チームが勝ち抜いた直後に行われたのがリーグ戦第21節であり、なんとリヨンとボルドーがボルドーで対戦した。リーグカップ前哨戦として注目を集めた一戦であったが、試合は開始早々にボルドーがPKで先制、27分にも追加点を上げる。そして地元のリヨンも後半にフレッドのゴールで1点を返すがそこまでで、ボルドーが2-1とリヨンを下したのである。リヨンは前節に続き敗れ、今季初めての連敗を喫したのである。リヨンはこの戦いで調子を崩し、リーグ戦では次のニース戦で引き分け、トロワ戦で敗れ、足踏み状態となる。そしてリーグ戦以外の戦いも振るわず、フランスカップは1月31日に行われたベスト8決定戦のマルセイユ戦で敗れ、チャンピオンズリーグでは決勝トーナメント1回戦でイタリアのASローマに敗れてしまったのである。

■フランスカップ、UEFAカップでの敗退後に調子を上げたボルドー

 一方のボルドーであるが、昨季2位で今季も連勝でスタートしたところまでは良かったが、第3節でリヨンを迎える。8月20日にボルドーの本拠地シャバン・デルマスで行われたこの試合、ボルドーはフランス代表に選出されることになるフォーベールが先制点を奪ったが、リヨンは28分にフレッドが同点ゴール、そして終盤の86分にシルバン・ビルトールが勝ち越し点をあげ、リヨンが勝利する。そしてボルドーはこの試合を境に調子を落とし、リーグ戦では一桁後半をさまようことになってしまう。そのボルドーは欧州の舞台でもチャンピオンズリーグはグループリーグで3位にとどまり、決勝トーナメントには進出したものの、UEFAカップで戦うことになる。そのボルドーはフランスカップでは準々決勝で4部に相当するCFAのモンソーレミンに敗れ、UEFAカップでも決勝トーナメント1回戦でスペインのオサスナと対戦し、第2戦で延長の末、決勝点を奪われ、敗退してしまっている。
 そしてボルドーは2月中旬にリーグ戦で9位まで順位を落としたが、リーグカップ以外の全てを失ってしまってから順位を上げる。3月3日に行われた第27節のアウエーのモナコ戦はスコアレスドローだったが、ソショーに勝利し、スダンと引き分け、3月末にリヨンと戦う段階で順位を3位まで上昇させたのである。

■リーグ5連覇中に複数タイトルのなかったリヨン

 リーグカップの勝者には来季のUEFAカップ出場権が与えられる。リヨンにとってはリーグ戦はすでに4位以内を確定しており、UEFAカップ出場はもちろん、チャンピオンズリーグ出場もほぼ手中にしている。ボルドーもリーグ優勝は不可能でも2位あるいは3位に入ってチャンピオンズリーグに出場することも十分可能である。しかし、フランスの中でタイトル一番乗りとなるこのタイトルを獲得しようという意欲は両チームとも十分である。
 リヨンにとっては2002年にリーグ初優勝を決めてから連覇を決めているが、この間、リーグ優勝チームとフランスカップ優勝チームで争われるチャンピオンズトロフィーは除くと他のタイトルとは無縁である。リヨンは連覇を始める前年の2001年にリーグカップを獲得したのが最後であり、複数のタイトルを獲得した年はない。フランスのサッカー界を見ても複数タイトルを獲得したのは1998年のパリサンジェルマン(フランスカップとリーグカップ)が最後であり、複数タイトルにリヨンは燃えているのである。(続く)

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