第709回 2007年リーグカップ決勝(2) 代表試合明けの選手が目白押しのリヨン

■リーグカップ決勝の直前にインターナショナルマッチデー

 今季複数のタイトルを狙うリヨンと今季唯一のタイトルを狙うボルドーの顔合わせとなったリーグカップ決勝、今季のリーグ戦での対戦はすでに終えており、いずれもアウエーチームが2-1と勝利しており、中立地でのファイナルで今季の雌雄が決する。
 決勝は3月31日であるが、この日程が微妙な影響を両チームに与える。国内リーグ戦は3月18日以来行われていない。それは本連載第695回から第703回で紹介したとおり、3月24日と3月28日にフランス代表を含む代表チームの試合が行われたからである。

■フランス代表に9人、それ以外の国の代表に3人送り込んだリヨン

 リヨンにはこのインターナショナルマッチデーの試合に出場している選手が多数存在する。まず、フランス代表に関してはグレゴリー・クーペがリトアニア戦もオーストリア戦もフル出場しているのを初め、途中出場、途中交代を含めて2試合に出場しているのがエリック・アビダルとフローラン・マルーダ、いずれか1試合に出場しているのがジェレミー・トゥーララン、シドニー・ゴブー、フランソワ・クレルク、カリム・ベンゼマと大量7人が直前に行われたフランス代表の試合に出場している。また、リトアニア戦、オーストリア戦には出場していないが、シルバン・ビルトール、セバスチャン・スキラッチもフランス代表として合宿・遠征に帯同している。そして23歳以下のフランス代表も来年の欧州選手権目指して予選を行っているが、ベンアルファがノルウェー戦に出場している。
 さらに、リヨンの選手で直前に代表の試合に出場したのはフランス代表の選手だけではない。チェコ代表のミラン・バロシュは24日のドイツ戦、28日のキプロス戦といずれも欧州選手権ポルトガル代表のティアゴも24日のベルギー戦、28日のセルビア戦で活躍している。そしてスウェーデン代表のキム・カルストロームも28日の北アイルランド戦で後半から出場をしている。
 ところが、一方のボルドーは、リオ・マブーバが合宿と遠征に参加しただけでフランス代表として試合に出場した選手はいない。国外の代表選手についてもチュニジア代表のダビッド・ジェマリが24日に行われたアフリカ選手権予選のセイシェル諸島戦のため遠征をしてフランスに戻ってきたくらいでインターナショナルマッチデーの影響はほとんど受けていない。
 このようにスタッド・ド・フランスでの決戦を前に過酷な国際試合を多数経験しているリヨンと、ほとんどその影響のないボルドーと対照的なメンバー構成となった。

■欧州有数のカップ戦男、ボルドーのジョアン・ミクー

 現役の代表選手についてはリヨンとボルドーでは大きな違いがあったが、代表を退いた選手に関しても大きな違いがある。元フランス代表のジョアン・ミクーの存在である。日本の読者の方々はイタリアのパルマで中田英寿とポジション争いをしていた選手という認識があろうが、欧州では有数のカップ戦男として高い評価を受けている。
 ミクーはイタリアに移籍する前はボルドーに所属し、1997年のリーグカップ決勝に進出している。ストラスブールと戦い、PK戦の末、敗れているが、これがミクーのカップファイナルデビューであった。翌年もリーグカップ決勝に進出、この年からリーグカップ、フランスカップ決勝は新装なったスタッド・ド・フランスで開催されるようになり、ミクーはクラブの選手として初めてこの新たな聖地に立った22人のうちの1人となった。しかしながらこの試合もPK戦で敗れており、ミクーはアルプスを越えてイタリアへと活躍の場を移すことになった。ところがイタリアでもファイナリストにはなるが栄光には届かない。2001年にはフィオレンチナ、2002年にはユベントスにイタリアカップの決勝で敗れている。そして5度目の挑戦でようやく栄光をつかむ。ドイツのベルダー・ブレーメンに移籍し、2004年のドイツカップ決勝で2部のエックス・ラシャペルを下して優勝する。また、代表チームでも2000年の欧州選手権で優勝している。

■特別な意味を持つフランスやイングランドのカップファイナル

 そのミクーもすでに33歳、母国フランスでの優勝経験は1999年にボルドーの一員としてリーグ優勝を果たしただけで、カップ戦での勝利はない。フランスはイングランドと同様、カップ戦の優勝は特別な意味を持ち、決勝戦は最も権威のある競技場で固定的に行われる。現在のフランスであればスタッド・ド・フランスであり、かつてはパルク・デ・プランスであった。パルク・デ・プランスでのファイナルを知る数少ない存在としてミクーには要注意である。(続く)

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