第1388回 マルセイユ、リーグカップ3連覇(2) 延長戦を制したマルセイユ、史上初の3連覇

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■決勝戦直後のトゥールーズ戦が気になるリヨン

 4月14日のリーグカップ決勝、フランスカップの決勝に進出したばかりのリヨンと不調ながらも3連覇を狙うマルセイユ、ビッグクラブ同士の顔合わせとなった。リヨンはリーグカップあるいはフランスカップの決勝で勝利すれば来季のヨーロッパリーグ出場となる。そしてリーグ戦では4位、このままでいけばヨーロッパリーグの出場権を得ることになるが、リーグ戦での順位をあげて何とかチャンピオンズリーグに出場したいところである。第31節目で終了したリーグ戦でリヨンは3位リールとの勝ち点差は3である。そしてヨーロッパリーグにはリーグ4位のチームが出場することができるが、このヨーロッパリーグ出場を狙う5位のトゥールーズはリヨンと勝ち点3差であり、リーグカップ決勝の4日後の1月18日にリヨンとトゥールーズはリーグ戦で対戦することになる。リヨンは直後にトゥールーズ戦が控えているため、もしこのリーグカップで優勝しても試合直後に祝勝会を行わず、すぐにリヨンに飛行機で戻ると発表している。また、このリヨン-トゥールーズ戦を前にしてリヨンがリーグカップ決勝に勝利して来季のヨーロッパリーグ出場を確定すれば、リーグ戦5位のチームがヨーロッパリーグの出場権を得ることになる。そういう点でリヨンは目の前のタイトルだけではなく、来季の欧州カップの出場権、直後のトゥールーズ戦とこのリーグカップ決勝に思いめぐらすことは多い。

■リーグカップに優勝し、リーグ戦での復調を期すマルセイユ

 一方のマルセイユであるが、リーグ戦では順位を大幅に下げてしまい、フランスカップでも決勝に進出したクビリーに敗れており、このリーグカップは唯一獲得の可能性のあるタイトルであるとともに、来季のヨーロッパリーグの出場のラストチャンスである。そして前回の本連載でも紹介したように、2年前にリーグカップを獲得したマルセイユはリーグ戦で勢いをつけて逆転優勝している。3月以降リーグ戦でわずか勝ち点1のマルセイユはこのリーグカップで復調のきっかけをつかみたいところである。

■クラブチームではタイトルと無縁のウーゴ・ロリス

 試合はこのリーグカップ決勝にかける両チームの意気込みの差が明確になったといえるであろう。リヨンは負傷で出場が危ぶまれていたストッパーのクリスがやはり先発メンバーから外れ、サムエル・ウムティティが先発する。一方のマルセイユも選手を入れ替え、ストッパーにはニコラ・ヌクルを起用する。前半はこの両ストッパーの活躍が目立ち、両チーム無得点のまま後半が始まる。後半に入ると試合は激しくなり、イエローカードが掲げられる。そして64分、マルセイユはチャンスを迎える。マチュー・バルブエナノセンタリングをモルガン・アマルフィターノが頭で合わせ、リヨンのGKウーゴ・ロリスの届かないコースのボールは飛ぶ。フランス代表では正GKであるロリスがニーズからリヨンに移籍してきたのはリヨンが7連覇を果たした直後の2008年のことであり、実はロリスはクラブレベルではタイトルを獲得したことがない。初タイトルに執念を燃やすロリスの思いが通じたのかアマルフィターノのヘディングシュートはゴールポストが救い、依然として両チーム得点なく、前後半を終えて試合は延長戦となる。

■3連覇を決めたブランドンのゴール

 延長戦に入るとボール保持率はマルセイユがリヨンを圧倒する。そして97分にマルセイユのディディエ・デシャン監督は1トップのロイック・レミに代えてブランドンを投入する。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でも活躍したブランドンはその7分後にしっかりと結果を出す。左サイドからブノワ・シェイルーが攻め上がり、クロスをブランドンに合わせる。ここまでよく守っていたリヨンのウムティティが対応できず、ブランドンのシュートに初タイトルを目指すロリスも足を出したが届かず、これが決勝点となる。
 マルセイユはリーグカップ3連覇、もちろんリーグカップでは初めてのことであり、カップ戦の3連覇はフランスカップでも今までに1921年から1923年にかけてのレッドスター、1946年から1948年のリールの2チームしか成し遂げていない偉業である。(この項、終わり)

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