第1387回 マルセイユ、リーグカップ3連覇(1) 国内カップ二冠を狙うリヨンと3連覇のかかるマルセイユ

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チャンピオンズリーグで敗退した両チーム

 前回までの本連載では4月28日に行われるフランスカップの決勝にリヨンとナショナルリーグのクビリーが進出したことを紹介したが、フランスカップの準決勝が行われた直後の4月14日にリーグカップの決勝が行われた。
 リーグカップの決勝にはリヨンとマルセイユが残っており、両チームの準決勝までの足取りについては本連載第1363回と第1364回で紹介したとおりであるが、リーグカップの場合、準決勝から決勝まで1月半の間隔がある。
 準決勝を勝ち抜いた時点ではリヨンもマルセイユもチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを控えた段階であったが、リヨンは2月から3月にかけて行われた1回戦で敗れ、マルセイユは1回戦は勝ち抜いたものの、3月から4月にかけて行われた準々決勝で敗退している。

■14年ぶりの国内カップ二冠のかかるリヨン

 また、国内リーグの順位であるが、リヨンの2月の成績は2分2敗と勝ち星がなかったが、3月になってから復調し、順位を2月初めの4位に戻している。そしてフランスカップとリーグカップの両方の国内カップ戦で決勝に進出している。フランスのサッカークラブがスタッド・ド・フランスで試合をすることは基本的に年に2回だけ、フランスカップの決勝とリーグカップの決勝だけである。国内の2つのカップ戦の決勝に同一年に出場したチームはこれまでに2チーム、まずパリサンジェルマンはリーグカップが実質的に始まったといってもよい1995年、ワールドカップの国内開催に向けてスタッド・ド・フランスがオープンした1998年、そして地元選出のニコラ・サルコジ大統領が大統領として初めて臨席した2008年の3回に両カップの決勝に進出しており、まさにカップ戦のスペシャリストの異名通りに実績である。そしてもう1チームは2002年のロリアンである。
 これら過去4回のうち、二冠を達成したのは1995年と1998年のパリサンジェルマンである。スタッド・ド・フランスがオープンしてから、まだ1チームしか達成していない国内カップ二冠をリヨンは狙っている。

■2月以降、どん底にあるマルセイユ

 一方のマルセイユは本連載でも紹介してきたとおり、リーグカップの準決勝でニースに勝ってからはリーグ戦は3分7敗、2月近く勝ち星から見放されており、順位も5位から9位へと大きく後退した。国内リーグ戦以外の戦績であるが、チャンピオンズリーグは1勝3敗、フランスカップは1勝1敗である。このリーグカップ決勝の直前の試合も、フランスカップ準決勝でGFCOアジャクシオに快勝したリヨンとは対照的である。ライバルのパリサンジェルマンに1-2と敗れ、リーグ首位のモンペリエに1-3と敗れている。そしてその前にはチャンピオンズリーグ準々決勝でドイツのバイエルン・ミュンヘンに連敗し、4連敗中でリーグカップ決勝を迎える。

■2連覇、11連勝中とリーグカップに相性のいいマルセイユ

 しかし、マルセイユは昨年、一昨年とこのリーグカップで優勝しており、現在までリーグカップで11連勝中である。また、マルセイユのディディエ・デシャン監督は、このリーグカップが現行の大会形式になったときはすでに国外のユベントス(イタリア)に移籍しており、選手としてリーグカップに出場したことはない。しかし、監督としては2003年にモナコの監督として優勝し、監督として初めてのタイトルを獲得したほか、一昨年、昨年はマルセイユを率いて優勝し、通算3回も優勝監督となっている。3回優勝監督になっているのはデシャン監督だけである。
 さらに、印象的だったのが一昨年のリーグカップである。1993年の国内リーグとチャンピオンズリーグ優勝(いずれも八百長事件によりタイトル剥奪)以来、国内外のタイトルから遠ざかり、シルバーメダルコレクターとなっていたマルセイユはリーグカップ決勝でボルドーを破り、1992年の国内リーグ優勝以来18年ぶりのタイトルを獲得する。そして、リーグ戦でもボルドーの独走態勢かと思われたリーグ戦でも、勢いに乗ったマルセイユは逆転優勝を果たし、名門がようやく復活した。その2年前の記憶を選手もファンも、そして誰よりもデシャン監督は忘れていないのである。(続く)

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