第1965回 四強が出そろったリーグカップ (4) ボルドー、トゥールーズ、リールが準決勝進出

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ロリアンを下したボルドー

 準々決勝最大の注目カードとなったパリサンジェルマン-リヨン戦は1月13日の21時にキックオフされる。この試合がキックオフを迎える段階で他の3試合はすべて終了している。
 まず前日の12日にはボルドー-ロリアン戦が行われた。ボルドーはヨーロッパリーグはグループリーグ敗退、リーグ戦でもこの時点で12位と精彩を欠く印象を持たれる読者の方も少なくないと思うが、昨年12月2日にバスティアに敗れてからは7戦無敗と復調気味である。また直前の週末にはリーグ戦を戦い、アウエーでモンペリエを下している。ホームのシャバン・デルマス競技場の観衆は8千人台とさびしいが、厳寒の夜に集まったファンを納得させる内容となり、前半と後半にそれぞれ1点ずつ入れて、リーグ戦の順位では上位のロリアンに勝利し、準決勝進出一番乗りとなった。

■ウィサム・ベンイェデル、リーグカップで3試合連続のゴール

 1月13日には17時にトゥールーズ-マルセイユ戦がキックオフされた。名門トゥールーズも現在降格圏内の18位であるが、12月9日のリーグ戦でロリアンに負けた以降は8試合連続で負けなしである。年が明けて初めて本拠地で迎える試合で勝利して後半戦での巻き返しを期待したいところである。1万8000人以上のファンが集まったことからも期待がうかがえる。一方のマルセイユも年が明けて4つのタイトルをかけて戦うことであるが、最も現段階で頂点に近いのがこのリーグカップ、あと3勝である。
 先手を取ったのは地元のトゥールーズ、ウィサム・ベンイェデルである。ベンイェデルはリーグカップでは好調で、ベスト16決定戦のオセール戦、ベスト8決定戦のレンヌ戦、いずれの試合でも2得点をあげ、これで3戦連続の得点である。

■マルティン・ブレイスワイトが決勝点、トゥールーズがマルセイユを下す

 この直後、マルセイユは追いつく。後半はマルセイユの動きが良くなったが、両チームとも得点をあげることができず、試合は1-1のタイスコアのまま前後半の戦いを終え、90分が経過する。延長前半の99分、トゥールーズはデンマーク代表のマルティン・ブレイスワイトが得点をあげる。ブレイスワイトは延長後半にもオフサイドの判定でゴールは認められなかったが、しばしばマルセイユのゴールを脅かす。ブレイスワイトの活躍でトゥールーズが2-1でマルセイユを下し、2010年以来6年ぶりの準決勝進出を決めたのである。

■ビンセント・エニェアマがPK戦で2本ストップ、昨年に続きリールも四強入り

 トゥールーズでの試合が延長戦へと突入するころの18時45分に、ギャンガン-リール戦がキックオフされた。リーグ戦では19位のギャンガン、フランスカップでは2009年と2014年の2回にわたって優勝しているが、リーグカップでは上位進出がままならず、1996年に準決勝に進出しただけである。リールはこのところ負けておらず、12月以降は5勝2分と負けたことがない。両チームはリーグ戦の前半戦では1-1のドロー、この試合で得点をあげたギャンガンのジミー・ブリアンとリールのソフィアン・ブファルともに先発メンバーに名を連ねる。そして1月にドイツのハノーバーからギャンガンにレンタル移籍してきたフランス生まれのトルコ代表、メフルト・エルディンはベンチからのスタートで移籍後初の出場を地元ファンは期待する。
 ギャンガンで行われたこの試合はリーグ戦での戦いを思い出させるような拮抗した内容となった。前半はギャンガンが押し気味に攻め、後半は激しい試合となり、両チームにイエローカードが次々に出されるが、得点シーンは生まれない。
 結局試合は延長戦に入ってもノーゴール、延長前後半まで終わるが、ファンのエルディンは後半途中から出場したものの得点はなく、PK戦となる。先蹴のリールはブファルがまず成功する。リールはナイジェリア代表のGKビンセント・エニェアマが2本ストップする大活躍で、PK戦を制す。リールは昨年に続き準決勝に進出したのである。
 今回紹介したボルドー、トゥールーズ、リールとも昨年12月から負けておらず、好調なチームが勝ち抜いたのである。(続く)

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