第1974回 リーグカップ、ファイナリスト決定(2) パリサンジェルマン、最初のタイトルに王手

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■メンバーを入れ替えたパリサンジェルマン

 前回の本連載ではリーグカップ決勝にリールが進出したことを紹介したが、リールの決勝の相手が1月27日に決まった。
 もう1つの準決勝はパリサンジェルマン-トゥールーズ戦である。これまでに紹介してきたとおり、この両チームは1月16日のフランスリーグ第21節、1月19日のフランスカップベスト16決定戦で顔を合わせ、パリサンジェルマンが連勝している。
 パリサンジェルマンの本拠地パルク・デ・プランスで行われたこの試合、パリサンジェルマンはリーグ戦とはメンバーを入れ替えて臨む。チアゴ・モッタ、ズラタン・イブラヒモビッチ、ブレーズ・マツイディはベンチスタート、そしてダビド・ルイスはメンバーから外れている。リーグ戦以外の試合が入った過密日程で、大型補強を続けてきたパリサンジェルマンのなせる業である。

■GKはニコラ・ドゥーシェ、CFはエディンソン・カバーニ

 最大の驚きはGKであった。昨年までは第1GKはイタリア代表のサルバトーレ・シリグ、第2GKはニコラ・ドゥーシェという体制であったが、今季はケビン・トラップを獲得したことにより、トラップが第1GKとなり、シリグがベンチに控え、フランス代表歴もあるドゥーシェはメンバー外となってきた。ローラン・ブラン監督はこの試合でドゥーシェを起用、ベンチにトラップを入れ、シリグをメンバーから外した。
 イブラヒモビッチが先発から外れたこの試合、CFを務めたのはエディンソン・カバーニであった。4万観衆の見守る試合、今後もチャンピオンズリーグなどでイブラヒモビッチに代わるストライカーとして期待されるカバーニであったが、決して調子はよくない。ボールタッチの数も少なく、ファンからは不満のため息が漏れる。

■直前のモナコ戦で大敗、GKを入れ替えたトゥールーズ

 一方のトゥールーズ、11月7日に行われた前半戦のリーグ戦ではパリサンジェルマンに0-5と大敗している。しかし、1月16日の後期のリーグ戦での対戦は0-1、そしてフランスカップでは先制し1-2と逆転負け、と善戦している。リーグ戦での順位でははるか遠方にある首位チームに対して、一発勝負のカップ戦では十分に勝利のチャンスはある。古豪トゥールーズは1957年のフランスカップ獲得が最後のタイトルである。59年ぶりのタイトルに向けてあと2勝である。
 ところが、パリサンジェルマンとの連戦の疲れの影響か、直前の1月24日に行われたリーグ戦のモナコ戦では0-4と大敗を喫した。この大敗を受け、トゥールーズのドミニク・アリバジェ監督はGKを17歳のアルバン・ラフォンから代える。本来ならばベスト16決定戦のオセール戦のPK戦勝利の立役者であり、準々決勝にも出場したアリ・アハマダを起用したいところであるが、トルコのカイセリスポルへの移籍が決まり、ウルグアイ人のマウロ・ゴイコエチアに入れ替えた。

■後半の2得点、ドゥーシェのPKストップでパリサンジェルマンが3連勝

 パリサンジェルマンは直前のアンジェ戦で5-1と大勝しているが、このトゥールーズ戦はなかなか思うような試合展開にならず、前半は両チーム無得点で終わる。パルク・デ・プランスのファンからは「イブラ、イブラ」とエースの投入を催促する大合唱が起こる。このファンの不満を表す声に奮起したパリサンジェルマン、65分にエセキエル・ラベッシが先制点をあげる。さらに72分にもアンヘル・ディマリアが追加点をあげてリードを広げる。さらに後半の終了間際の89分、トゥールーズはペナルティエリア内でマルティン・ブレイスワイトが倒され、PKを得る。デンマーク代表であるブレイスワイト自身がPKを蹴るが、ドゥーシェが見事にセーブし、イレブンとファンから祝福される。
 パリサンジェルマンは決勝進出、国内三冠、欧州一冠の四冠を狙うパリサンジェルマンは4月23日に決勝が行われる最初のタイトルであるリーグカップに王手をかけたのである。(この項、終わり)

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