第101回 新生フランス代表、チュニジアでスタート(2) 返り咲きの3人とワールドカップ組の15人

■リーグ初制覇のリヨンからジェレミー・ブレシュとエリック・カリエール

 前回の本連載は初選出の4人を紹介したが、次に返り咲きの3人を紹介したい。DFのジェレミー・ブレシュ(リヨン、23歳)、MFのエリック・カリエール(リヨン、29歳)、FWのスティーブ・マルレ(フラム、28歳)の3人がワールドカップ出場はならなかったものの、今回再びブルーのユニフォームを着ることになった。3人とも韓国と日本で昨年行われたコンフェデレーションズカップのメンバーであり、日本の皆さんはよくご存知のことであろう。
 ブレシュは23歳であり、前回紹介した初選出の4人と同世代である。代表での経歴はコンフェデレーションズカップの豪州戦だけであり、代表デビューは黒星となってしまったが、昨シーズンはリヨンのリーグ初優勝に貢献し、スイスで5月に行われた欧州U-21選手権の準優勝メンバーである。
 カリエールも代表デビューはコンフェデレーションズカップ。ジネディーヌ・ジダンを欠く遠征メンバーのゲームメーカーとして活躍した。代表2試合目のメキシコ戦で初ゴールを決めている。コンフェデレーションズカップで代表デビューした7人の選手のうち唯一その後も代表に定着し、7試合に出場したが、結局ワールドカップのメンバーから外れた。ジダンの負傷がフランス惨敗の一因であるが、カリエールがメンバーに入っていれば、と回顧する意見は少なくない。すでに29歳であるが今回の代表復帰は当然のことであろう。また、一昨年ナント、昨年リヨンと所属したチームを2年連続でリーグ制覇に導いた。国内リーグで優れた成績を残したチームの選手が代表に選出された例である。

■稲本潤一のチームメート、スティーブ・マルレ

 そして日本の皆さんもおなじみのプレミアリーグのフラム。ジャン・ティガナ監督率いるフランス人軍団には日本の稲本潤一も今季加わった。稲本だけではなく多くのフランス人選手にも注目していただきたいが、その中の1人がマルレである。代表デビューは3人の中では最も古く、前世紀のことである。2000年11月にイスタンブールで行われたトルコ戦の試合終盤に交代出場している。コンフェデレーションズカップにも出場し、日本との決勝戦では先発メンバーであった。最後のブルーのユニフォームは4月のロシア戦。スコアレスドローに終わったこの試合、なんとか得点を取ろうというロジェ・ルメール監督は、ジダンとともにゲームを組み立てていたユーリ・ジョルカエフに代えてマルレを投入した。

■捲土重来を期す15人のワールドカップ組

 以上のように4人の初選出、3人の返り咲きを紹介したが、やはり残りの15人を紹介しなくてはならない。ワールドカップでの結果こそ悪かったが、各選手の自力は疑う余地もなく、年齢的な問題を抱える選手以外は引き続きブルーのユニフォームで捲土重来を期すのである。
 GKはグレゴリー・クーペ(リヨン)とウルリッシュ・ラメ(ボルドー)、DFはバンサン・カンデラ(ローマ)、フィリップ・クリスタンバル(バルセロナ)、マルセル・デサイー(チェルシー)、ビリー・サニョル(バイエルン・ミュンヘン)、ミカエル・シルベストル(マンチェスター・ユナイテッド)、リリアン・テュラム(ユベントス)、MFはクロード・マケレレ(レアル・マドリッド)、エマニュエル・プチ(チェルシー)、パトリック・ビエイラ(アーセナル)、ジネディーヌ・ジダン(レアル・マドリッド)、FWはジブリル・シセ(オセール)、ティエリー・アンリ(アーセナル)、シルバン・ビルトール(アーセナル)である。
 結局23人のワールドカップ出場選手でメンバーから外れたのは負傷しているGKのファビアン・バルテス(マンチェスター・ユナイテッド)、DFのビシャンテ・リザラズ(バイエルン・ミュンヘン)、FWのダビッド・トレゼゲ(ユベントス)の3人、代表から引退を表明したDFのフランク・ルブッフ(マルセイユ)、FWのユーリ・ジョルカエフ(ボルトン)とクリストフ・デュガリー(ボルドー)の3人、そして監督の選択からもれたのがMFのアラン・ボゴシアン(パルマ)とジョアン・ミクー(パルマ)である。

■リヨンの4人を含むフランスリーグから8人の選出

 実際にはワールドカップに出場した4分の1の選手が入れ替わることになるのであろうが、注目すべきは選手の所属しているクラブである。22人中8人がフランスのクラブに所属している。特に初選出、返り咲きの7人のうち5人がフランスリーグの選手である。ワールドカップの際はフランスのクラブに所属している選手は23人中わずか5人であった。また8人のうち4人は昨季優勝し、新監督に就任したジャック・サンティーニの出身母体であるリヨンの選手である。現在フラムのマルレも代表デビュー時はリヨンの選手であった。
 このようにフランスを代表するビッグクラブからの大量選出は1990年代初めのマルセイユ以来のことであり、代表がフランスらしいサッカーを繰り広げ、クラブレベルでも欧州の頂点を目指す、ファンにとってはそのような夢が広がる新監督の選択なのである。(続く)

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