第735回 グアドループ、ゴールドカップで大活躍(4) ゴールドカップ初出場を決める

■過去の名選手の名を冠した3次リーグ

 ゴールドカップへの最終関門となるカリブカップの3次リーグは1月に行われた。2次リーグを勝ち抜いた7チームと、開催国であり昨年のワールドカップにも出場しているトリニダード・トバゴを加えた8チームが2つのグループに分かれてリーグ戦形式で戦うことになる。ここまでのグループはグループA、グループBなどアルファベットがつけられていたが、シドレー・ジョセフ・グループとボビー・スークラム・グループとかつてトリニダード・トバゴ代表として活躍した選手の名前が冠されている。

■ジョセリン・アングロマ、殊勲の決勝点

 グアドループは幸運な組み合わせとなり、トリニダード・トバゴとは異なるボビー・スークラム・グループに入る。初戦の相手はキューバである。この試合でグアドループは先制するが、追いつかれ、試合はドローかと思われた。ところが85分にジョセリン・アングロマが決勝点を挙げて、グアドループは幸先よい勝利を挙げた。
 第2戦は2次リーグに続いてガイアナとの対戦となった。この試合も点の取り合いとなり、グアドループは逆転したものの、3点連取され、試合終盤に1点を返すが、3-4と惜敗する。初戦でグアドループに敗れたキューバはセントビンセントおよびグレナディーン諸島に勝利し、4チーム全てが1勝1敗で並ぶという混戦となった。
 そして最終日、第1試合でキューバとガイアナはスコアレスドローとなる。グアドループはセントビンセントおよびグレナディーン諸島と第2試合で戦うことになるが、勝てば首位となり、引き分けても得失点でガイアナ、セントビンセントおよびグレナディーン諸島を上回ることから2位以内に入ることができる。引き分けでも良いこの試合、グアドループは前半に奪った1点を守りきって、勝利し、グループ首位で準決勝に進出したのである。

■混戦から抜け出し悲願の初出場決定

 ゴールドカップ出場という大きな目標を達成したグアドループにとって準決勝以降の試合はカリブ海で拾った大きなプレゼントだった。ゴールドカップ出場を決めた翌々日の準決勝のハイチ戦は1-3と敗れ、3位決定戦でもキューバに1-2と敗れ、4位に終わる。グアドループは初優勝したハイチ、準優勝のトリニダード・トバゴ、3位のキューバとともにゴールドカップ出場権を確保したのである。
 フランスの海外県のチームとしてはマルティニックが1993年大会、2002年大会、2003年大会に出場しているが、グアドループは初出場である。

■招待国なしで12チームが出場する2007年ゴールドカップ

 そのゴールドカップはワールドカップや欧州選手権と同じ6月に行われ、現在ではワールドカップの常連国となった米国が開催国となった。本連載第732回で紹介したとおり米国、メキシコ、カナダの3か国が予選免除で出場権がある。またカリブからの出場国4か国(ハイチ、トリニダード・トバゴ、キューバ、グアドループ)そして中米選手権の上位5チームのコスタリカ、パナマ、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスの合計12チームで争われた。
 韓国やブラジルなどこれまでに他大陸からチームを招待してこともあったが、今回は招待国がなく、12チーム全てがこのエリア内のチームであった。したがって今回は広き門となり、カリブ地域から最下位で出場権を得た唯一の初出場国のグアドループの活躍を期待する人は少なかった。同じフランスの海外県のマルティニックはこれまでに3回出場している。しかしその戦跡は、2002年大会はグループリーグを勝ち抜き、ベスト8に入ったが、1993年大会は1分2敗、2003年大会は2敗とグループリーグで敗退している。たくさんの名選手を輩出しているグアドループではあるが、マルティニック以上の成績を残すとは誰も予想していなかった。
 12チームが参加するゴールドカップはまず4チームずつの3つのグループに分かれ、リーグ戦形式で戦い、各グループの上位2チームと、3位チームの中で成績の良い2チームが決勝トーナメントに進出することができる。グアドループはグループAに入り、ハイチ、カナダ、コスタリカの順に対戦することとなった。(続く)

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