第937回 アルゼンチンに完敗(1) 2年前とは大きく異なる逆風の環境

■2年前は順調な状態の中で迎えたアルゼンチン戦

 年初めから国内のタイトルを争ってきたフランスサッカー界であるが、いよいよ今年初めての国際試合の日がやってきた。2月11日のアルゼンチンとの親善試合である。アルゼンチンとは2年前にも2月にサンドニで対戦しており、フランスは0-1で敗れている。今回はマルセイユでの対戦となるが、2年前と異なるのは試合会場だけではない。
 2年前の試合については本連載の第674回から第681回にかけて紹介しているが、この時とはフランス代表の置かれた位置づけは大きく異なる。2年前は2006年のワールドカップで準優勝に輝いた余韻も残り、2008年の欧州選手権の予選を半分消化していたときであった。この予選ではフランスはイタリア、スコットランド、ウクライナと言う強豪と同じグループに入っている。その欧州選手権予選は2006年9月と10月に行われ、フランスはイタリアに勝利、スコットランドに敗れながらも3勝1分でスコットランドと並んで首位をキープしていた。また、11月には2004年の欧州選手権のチャンピオンチームとなったギリシャをフランスに迎えて親善試合を行い、1-0と勝利した上に若手選手のテストにも成功している。2年前はこのように順調にチーム作りが進行している中での南米の強豪を迎えたのであった。

■予選のグループ3位で低迷する現在のフランス代表

 一方、現在のフランス代表は昨年の6月には欧州選手権で惨敗し、昨年の秋からは2010年のワールドカップ予選を戦っている。フランス代表は本連載で紹介している通り、グループ7に所属し、3試合を消化して1勝1分1敗である。グループ7の現在の順位は1位セルビア(3勝1敗、得失点差+6)、2位リトアニア(3勝1敗、得失点差+3)であり、フランスは3位にとどまっている。フランスは消化試合数が1試合少ないとはいえ、セルビア、リトアニアとの勝ち点差は5であり、消化試合数が同じであったとしても3位以下なのである。
 また、その後の親善試合も10月のチュニジア戦は快勝したものの、観客が国歌斉唱中にブーイングを起こし、社会問題になった。また、11月には南米の古豪ウルグアイを迎えたが、スコアレスドローに終わり、レイモン・ドメネク監督に対する風当たりの強さは変わっていない。
 このような逆風の下で、フランス代表は強豪アルゼンチンを迎えることになる。アルゼンチンは南米予選を戦っているが、南米予選は18試合中10試合を終えたところで、アルゼンチンは4勝4分2敗の勝ち点16であり、パラグアイ(7勝2分1敗、勝ち点24)、ブラジル(4勝5分1敗、勝ち点17)に次いで3位であり、上位4チームまでが無条件で出場権が与えられると言う条件の中で、当選圏内にいる。

■選出前に注目されたパトリック・ビエイラとスティーブ・サビダン

 批判の波にさらされているドメネク監督は2月5日に21人の代表メンバーを発表した。メンバー発表前に注目を集めた次の2人の選手がメンバーに入るかどうかである。
 まず、長らくフランス代表から声がかかっていないパトリック・ビエイラをドメネク監督が呼び戻すかどうかである。所属チームのインテル・ミラノでも練習を再開し、苦しくなった時にベテランを呼び戻すのは世の常である。予選序盤で苦戦した1990年のワールドカップ予選ではジャン・ティガナ、パトリック・バチストンを一時的にカムバックさせた。
 この予選は盛り返したものの、最終的に予選突破はならなかった。この盛り返しの原動力はティガナやバチストンというベテランではなく、ディディエ・デシャンなどの若手の台頭が予選終盤にあったからである。その若手と言う点では昨年11月のチュニジア戦で抜擢されたスティーブ・サビダンをFWの軸として起用するかどうかが、第2の注目点である。
 しかし、発表された21人のリストにはビエイラの名前もなければ、サビダンの名前もなかった。

■唯一の初選出は第3GKのセドリック・カラッソ

 そのかわりに唯一初選出となった選手が1人だけいた。それはトゥールーズの27歳のGK、セドリック・カラッソである。しかし、第1GKのスティーブ・マンダンダ、第2GKのウーゴ・ロリスが選出されており、カラッソは第3GKの位置づけであろう。ドメネク監督はベテランにチームの再生を託すこともなければ、若手に期待することもしなかったのである。(続く)

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