第1178回 イングランドと親善試合 (3) エリック・アビダル復帰、守備陣と左サイドの強化

■22人のメンバーを発表したローラン・ブラン監督

 グループGで大躍進したモンテネグロと引き分けたとはいえ、イングランドのワールドカップ以降の戦績は3勝1分と無敗であり、フランスにとっては強敵である。フランスもノルウェー、ベラルーシに連敗したが、その後はチームが立ち直り、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ルーマニア、アルバニアと3連勝した。
 ローラン・ブラン監督にとっても就任直後の連敗から抜け出し、ようやくチームを組み立てていく余裕ができたといえるであろう。就任直後のノルウェー戦以来の親善試合となるイングランド戦に向け、11月10日にブラン監督は選手を発表した。ルーマニア、アルバニアとの連戦の際は23人を発表したが、今回は1試合ということで1人少ない22人がリストに入った。

■メンバーの入れ替えのあったDFとMF

 GKはワールドカップ以来定着したウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、セドリック・カラッソの3人である。
 DFは10月の連戦よりも1人多い7人、ガエル・クリシー、バカリ・サーニャ、アディル・ラミ、フィリップ・メクセス、ママドゥ・サコ、アントニー・レベイエール、エリック・アビダルとなる。10月の連戦のメンバーからブノワ・トレムリナスが外れ、レベイエール、アビダルが加わった。
 MFはアルー・ディアラ、ヤン・エムビラ、フローラン・マルーダ、マチュー・バルブエナ、サミール・ナスリ、ヨアン・グルクフ、ヨアン・カバイエの6人であり、ブレーズ・マツイディ、アブー・ディアビ、ラッサナ・ディアラの3人が外れ、カバイエが加わった。
 最後にFWはカリム・ベンゼマ、ロイック・レミー、ギヨーム・オラオ、ケビン・ガメイロ、ディミトリ・ペイエの5人であり、10月の連戦と同じメンバーである。

■守備陣の強化のためにアントニー・レベイエール、エリック・アビダルを招集

 選手の入れ替えをみると、MFの選手を減らし、DFの登録を増やし、DFではレベイエール、アビダルという31歳のベテラン選手を招集したことに注目したい。ルーマニア戦、アルバニア戦は失点こそなかったものの守備面で危ないシーンが続き、守備の強化が必須であることから、守備陣に2人のベテラン選手を呼び戻したのであろう。
 この2人は黄金期のリヨンの守備陣を支えた選手であり、レベイエールは現在でもリヨンに所属しているが、8月のノルウェーとの親善試合以来のフランス代表である。この試合は南アフリカのワールドカップ組が出場しなかったため、レベイエールにチャンスが巡ってきたわけである。もう1人のアビダルはリヨンを年に去り、現在はスペインのバルセロナの一員である。アビダルは南アフリカで練習ボイコットの首謀者であったということでその責任を問われ、このノルウェー戦から出場停止となっている。
 つまり、アビダルがレベイエールのフランス代表復帰の機会を創出したわけであるが、レベイエールはアビダルも招集されたこのイングランド戦でその必要性を乞われての復帰となったわけである。

■左サイドバックのアビダルにかかる期待

 また、アビダルに関しては5試合出場停止という処分明けでの出場となるが、最後の代表での試合は南アフリカワールドカップの第2戦のメキシコ戦である。アビダルは人材難により、本来の左サイドバックではなくフランス代表ではセンターバックを守っていた。そして現在所属するバルセロナではセンターバックと左サイドバックをその時の布陣に合わせて務めている。しかし、バルセロナでは明らかに左サイドバックで起用された方がよい動きをしており、ブラン監督は今回のイングランド戦では左サイドバックでの起用を意図している。
 さらに、アビダルを左サイドバックで起用した場合、その前方の左サイドのMFにはマルーダが配置される。マルーダは現在イングランドのチェルシーに所属しているが、実はマルーダもまたかつてのリヨンの選手であり、リヨン黄金期の左サイドのアビダル-マルーダのホットラインが復活するわけである。(続く)

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