第1460回 日本と6度目の対戦(1) カムバック組のラッサナ・ディアラは負傷で離脱

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップ予選のスペイン戦の前に控える日本戦

 9月に始まったワールドカップ予選でフランスはフィンランド、ベラルーシに対し連勝するというこの上ない好スタートとなった。フランスはこれまでのワールドカップや欧州選手権の予選の序盤でもたつくことが多かったが、ディディエ・デシャン率いる新チームはその課題を克服したと言ってもいいであろう。
 しかし、この予選ではグループで首位にならないと本大会への出場権が直接与えられない。2位になった場合はプレーオフを戦わなくてはならない。好調なスタートを切ったフランスはグループで首位の座を確保したいところである。その首位を狙うフランスにとっての序盤の最大の山が10月16日にマドリッドで行われるスペイン戦である。ワールドカップと欧州選手権という2つのタイトルホルダーであり、さらにこのところの親善試合では連敗しているスペイン相手に何とか勝ち点、あわよくば勝利を得たいと選手、スタッフは考えているであろう。10月にはインターナショナルマッチデーが2日間設定されているが、もう1つの12日はフランスは予選の試合がなく、スタッド・ド・フランスで日本と親善試合を行う。この試合は日本の皆様も心待ちにしているであろう。

■出場停止明けのサミール・ナスリは選出されず

 デシャン監督は10月4日に日本戦、スペイン戦に臨む23人のメンバーを発表した。GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、ミカエル・ランドローの3人、DFはガエル・クリシー、パトリス・エブラ、クリストフ・ジャレ、ママドゥ・サコ、アディル・ラミ、マプー・ヤンガ・エムビワ、ローラン・コシエルニー、マチュー・ドビュッシーの8人である。MFはヨアン・カバイエ、ブレーズ・マツイディ、ラッサナ・ディアラ、マチュー・バルブエナ、エチエンヌ・カプー、ムーサ・シソッコの7人、FWはジェレミー・メネス、カリム・ベンゼマ、オリビエ・ジルー、バフェタンビ・ゴミス、フランク・リベリーの6人である。
 9月の連戦と比較すると、負傷のためリオ・アントニオ・マブーバ、アブー・ディアビが離脱している。注目されたのは欧州選手権で問題を起こし、3試合の出場停止となったサミール・ナスリの動向であるが、この日本戦がそれ以来4試合目となるがデシャン監督はナスリを招集しなかった。

■今回もカムバック組、ロシアリーグからラッサナ・ディアラ

 デシャン監督はサプライズのカムバックを今回も行った。2年ぶりの代表復帰となるラッサナ・ディアラである。この夏、レアル・マドリッド(スペイン)からロシアのアンジ・マハチカラへ移籍した守備的MFである。おそらくロシアのクラブの所属した選手として初めてのフランス代表入りであるが、現在アンジ・マハチカラはロシアリーグの首位を走っている。デシャン監督並びスタッフが幅広いスカウティングをしていることがよくわかる。
 ラッサナ・ディアラはレアル・マドリッドではクロード・マケレレの再来と期待され、背番号10を付けてプレーしたこともあった。フランス代表には2007年から入り、これまでに代表出場試合は28試合を数えるが、2008年欧州選手権、2010年ワールドカップのメンバーには選出されなかった。ちなみに最後にフランス代表としてプレーした試合は2010年8月のノルウェー戦、この試合は南アフリカでのワールドカップでの練習ボイコット問題でワールドカップのメンバーが全員選ばれず、それ以外のメンバーで代表を構成した。したがって、ラッサナ・ディアラの代表での実質的に最後の試合は2010年3月のスペインとの親善試合である。

■ラッサナ・ディアラ離脱、パリサンジェルマンからクレマン・シャントム

 またラッサナ・ディアラはその前年に行われたスペインとの親善試合にも出場している。久しぶりの代表戦にスペインとの対戦が含まれていることでラッサナ・ディアラは期待に胸を膨らませていたが、負傷により無念の離脱、パリサンジェルマンのクレマン・シャントムがメンバー入りした。
 シャントムはパリサンジェルマンの選手であり、初の代表入りである。久しぶりに首位をマルセイユとパリサンジェルマンが争っている中で、今回の代表にはパリサンジェルマンは5人(メネス、ジャレ、サコ、マツイディ、シャントム)を送り出し、マンダンダ1人のマルセイユに大きく水をあけたのである。(続く)

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