第1506回 政情不安の中でアフリカ選手権開幕(3) アフリカ選手権によるフランスのクラブへの影響

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■アフリカ人選手への依存度の低いパリサンジェルマンとリヨン

 前回の本連載では今回のアフリカ選手権にフランスのクラブに所属する選手の数がこれまでの60人前後から49人へと大幅に減少したことを紹介したが、選手の所属クラブについては大きな偏りがあり、アフリカ選手権の期間もリーグ戦が行われるためチームによっては大きな影響がある。
 前半戦を勝ち点38で折り返した首位グループの3チームに所属している選手を見ると、各チームの選手の国籍を反映しており、対照的である。
 パリサンジェルマンは所属選手のほとんどが代表クラスの選手であるが、国外組は南米勢、イタリア勢が中心である。今回のアフリカ選手権に出場するのはコートジボワールのシアカ・ティエネとマリのモハメド・シソッコの2人である。昨年はシソッコは直前に代表から外れ、ティエネだけがアフリカに渡った。パリサンジェルマンは今回のアフリカ選手権による打撃は少ないであろう。
 リヨンは選手の多くがフランス人である。今回のアフリカ選手権に出場するのはブルキナファソのバカリ・コネだけである。昨年はリヨンから3人がアフリカ選手権に出場したが、ガーナのジョン・メンサーはレンヌに移籍し、今回も出場している。マリのシディ・コネは代表メンバーから外れている。

■前回4人をアフリカに送ったマルセイユ、今回は2人

 マルセイユはリヨンとは対照的であり、多くのアフリカの選手を抱えており、昨年のアフリカ選手権には4人の選手を送り込み、戦力ダウンした中で戦った。しかし、アフリカ選手権による影響は大きくはない。まずアフリカ人選手のうち多くが今回予選落ちしたセネガルの選手であること、そして昨年の大会では決勝で大活躍したガーナのアユー兄弟が今年の初めに代表から外れていること、この2つの理由によりダメージは小さい。アフリカ選手権に出場しているのはアルジェリアのフェド・カディールとブルキナファソのシャルル・カボレの2人だけである。2人ともレギュラークラスの選手であり、上位3チームの中では一番影響を受けることになるであろう。

■アフリカ勢への依存度の高いブレスト、エビアン、アジャクシオ

 このように、上位3チームに関してはそれほど大きな影響を受けないが、逆に大きく影響を受けるチームがある。その代表がブレストであろう。前半戦を14位で折り返したブレストには多くの外国人選手がいるが欧州勢3人、南米勢1人に対し、アフリカ勢が8人もいる。この8人のアフリカ人選手のうちモロッコのアーメッド・カンタリとカメル・シャフニ、コートジボワールのイスマエル・トラオレ、マリのウスマン・クリバリー、トーゴのジョナタン・アイテと5人がアフリカ選手権に出場している。
 前半戦17位で降格争いを回避したいエビアンも9人のアフリカ勢を抱え5人がアフリカに向かう。ガーナのジョナタン・メンサーとモハメド・ラビウ、ブルキナファソのジャカリジャ・コネ、チュニジアのサベル・カリファ、コンゴ民主共和国のセドリック・モンゴングというメンバーである。
 前半戦16位のアジャクシオも似たような状況である。アジャクシオは外国人選手12人のうち8人がアフリカ勢である。この8人のうちマリのフシェミ・ディアワラとシガマリー・ディアラ、アルジェリアのカール・メジャニ、モロッコのシャイール・ベルガズワリの4人が欠けることとなる。

■4人をアフリカに送り、首位争いが遠くなるレンヌ

 アフリカ人選手への依存度が高い下位のチームにとって、アフリカ選手権期間中のリーグ戦は正念場であると言えよう。また、首位3チームを追う4位のレンヌも12人のアフリカ人選手を抱えており、予選落ちの国の選手が多いものの、ガーナには先述のメンサーとジョン・ボイエ、マリのシェイク・ディアラ、ブルキナファソのジョナタン・ピトロイパ、と4人がレンヌを離れることになる。前半戦を4位で折り返したレンヌであるが、アフリカ選手権期間中の4人の選手の離脱は首位争い参入に大きな壁となるであろう。(続く)

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