第1875回 女子も準々決勝でドイツに敗れる(2) 初戦で世界ランキング6位の難敵イングランドを下す

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■試合に勝って勝負に負けるフランス女子サッカー

 2010年代に入ってから長足の進化を遂げた女子フランス代表、世界ランキングはドイツ、米国に次ぎ、3位になった。そして世界大会では2011年ワールドカップ、2012年オリンピックといずれも相手を圧倒しながら敗れてしまうという、いかにもフランスらしい戦いで4位に終わってしまった。また昨年行われた欧州選手権でも準々決勝でデンマークにPK戦で敗れており、試合内容に結果が見合っていないが、今回こそメダルをつかみたいところである。
 欧州選手権後は11試合戦い、戦績は10勝1敗、この10勝のうちにはドイツ、ブラジル、米国、日本という今大会の優勝候補のチームに対する勝利も含まれている。そして唯一の敗戦は3月のポルトガルのアルガルベカップ決勝の米国戦である。

■イングランドと同じグループFに入ったフランス

 フランスは第1シードになり、グループFに入る。今大会から出場国が24に拡大され、決勝トーナメント進出国はこれまでの8か国から16か国へと増えた。すなわち、グループリーグで3位になった場合でも決勝トーナメントに進出できる可能性はあるが、第1シードとしてグループを首位で突破したいところである。そのフランスのグループリーグの相手はイングランド、コロンビア、メキシコである。出場国数が24に増えたことにより、今回が初出場となる国が7か国あるが、フランスの所属するグループIに初出場の国はない。
 大会は6月6日の土曜日にカナダ-中国戦で開幕したが、フランスが登場するのは火曜日の6月9日、相手はイングランドである。イングランドは世界ランキングは6位、2013年の欧州選手権ではまさかのグループリーグでの敗退、フランス同様に監督を代え、ホープ・パウエル監督に代わってマーク・サンプソン監督が就任する。チェルシー、アーセナル、マンチェスターシティという国内のビッグクラブに所属する選手で再起しようとしている。

■イングランドに対して相性のいいフランス

 しかし、グループFの中で最大のライバルであるイングランドに対してフランスは相性がいい。フランスがイングランドに最後に負けたのは1974年のことであり、それ以降の戦績はフランスの8勝7分である。前回のワールドカップでも準々決勝で対戦し、フランスがPKで勝利(記録上は引き分け)している。
 また、今大会は来年のリオデジャネイロオリンピックの予選も兼ねている。今大会で欧州勢で成績の良かったチームはリオデジャネイロへのチケットをつかむことになるが、イングランドの場合はオリンピックに出場資格のある英国ではないため、今大会はオリンピックへとつながらないが、フランスに41年ぶりの勝利をあげたいところである。

■ユジェーニ・ルソメの強烈なシュートでフランスが勝利

 試合はモンクトンのモンクトン競技場、人工芝の上での戦いとなる。技術に上回るフランスであるが、イングランドの組織力の前に得点の機会を序盤はなかなか作ることができない。欧州予選で54得点、3失点という圧倒的な強さを誇ったフランスも世界のトップレベル相手、しかもワールドカップ初戦ということで攻撃のリズムをつかむことができなかったが、試合の3分の1が過ぎようとしている頃にエンジンがかかる。ルイーザ・ネシブからパスを受けたガエタン・ティネのシュートはイングランドのGKカレン・バーズリーに阻まれたが、29分にはティネからユジェーニ・ルソメがパスを受け、強烈なシュート、今度はバーズリーも及ばず、ネットが揺れる。ルソメ、代表106試合目にして45回目の得点である。
 その後もフランスは持ち前の攻撃力でイングランドを圧倒し、攻めるフランス、守るイングランドという対照的なゲーム運びをするが、フランスは追加点を奪うことはできず、試合は1-0のまま終わる。
 フィリップ・ベルジュロー監督就任以来この試合が32試合目、この間敗れたのは米国に2回だけ、という強さをイングランド戦でも見せたのである。(続く)

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