第1906回 ポルトガル、セルビアに連勝(1) 19歳のアントニー・マルティアル、代表初選出

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■6月以来久しぶりの代表戦となる9月の連戦

 今年は奇数年、シーズンオフにワールドカップ、欧州選手権が開催されず、代表の試合は6月初めから9月まで行われない。
 ランスは6月にベルギー、アルバニアと連戦し、いずれも敗れてしまったことから、世界ランキングを落とし、2018年のワールドカップ・ロシア大会の予選の第1シードから外れてしまったことはこれまでの本連載で紹介した通りである。
 9月のインターナショナルマッチデーにフランスは4日にアウエーでポルトガル、7日にボルドーでセルビアと対戦する。
 フランス代表の試合は9月、10月、11月とそれぞれ2試合ずつ組まれており、本大会まで1年を切った段階で、6月の連敗からチームを立て直すという目的に加え、新戦力を発掘していきたいところである。その秋の一連の秋の親善試合の第一幕がこの9月の連戦である。

■予選では対照的な成績のポルトガルとセルビア

 ポルトガルは開幕戦でアルバニアに敗れてからは4連勝、ここまで4戦1敗の首位である。一方のセルビアは昨年10月15日のアルバニア戦が没収試合で敗戦扱いになったこともあり、ここまでの成績は1分4敗と最下位を低迷している。
 対照的な成績ではあるが、両チームとも本大会出場の実力を持つことに疑いの余地はない。そういうチームとの連戦でフランスは手ごたえをつかんでおきたいところである。

■ディディエ・デシャン監督が選んだ23人

 この9月の連戦に向けてディディエ・デシャン監督は8月27日に23人の選手を選出した。
 GKはスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリス、ステファン・ルフィエ、DFはパトリス・エブラ、マチュー・ドビュッシー、ローラン・コシエルニー、エリアキム・マンガラ、バカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、ブノワ・トレムリナス、クルト・ズーマ、MFはヨアン・カバイエ、ジョフレイ・コンドグビア、ブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、モルガン・シュナイデルラン、ムーサ・シソッコ、マチュー・バルブエナ、FWはカリム・ベンゼマ、ナビル・フェキル、オリビエ・ジルー、アントワン・グリエズマン、アントニー・マルティアルというメンバーである。
 6月の連戦時と比較すると、クリストフ・ジャレ、ママドゥ・サコー、マキシム・ゴナロン、ディミトリ・ペイエ、アレクサンドル・ラカゼット、ポール・ジョルジュ・ヌテップがメンバーから外れ、負傷等の理由でメンバーから外れていたドビュッシー、ズーマ、シュナイデルラン、ベンゼマが復帰し、唯一の新人としてマルティアルが加わった。
 外れたメンバーに関していうならば、ジャレとヌテップは負傷のためメンバー外となり、ペイエとゴナロンについては6月の連戦の際のパフォーマンスが悪く、10月と11月の連戦で再チャレンジのチャンスをつかみたいところである。

■唯一の新人、アントニー・マルティアル

 一方、マルティアルに関してはモナコ所属の19歳である。本連載ではチャンピオンズリーグの予備戦、プレーオフにモナコが参戦した際に紹介してきたが、予備戦3回戦のヤングボーイズとの第2戦では得点を記録している。
 マルティアルはパリ南方の交通の要地マッシーの出身であり、2013年にモナコに移籍し、昨季はほぼ全試合に出場している。モナコに所属する前はリヨンに所属していた。2000年代にリーグ7連覇を達成した後は、リーグチャンピオンから離れて久しいリヨンであるが、下部組織は多くの逸材を輩出している。特に攻撃陣に関しては人材の宝庫であり、今回の23人の中でもベンゼマ、フェキルはリヨンの育成組織育ちであり、マルティアルが3人目となる。これ以外に代表経験者としてはロイック・レミー、ハテム・ベンアルファ、アレクサンドル・ラカゼットといつ代表に復帰してもおかしくない名前が並ぶ。
 年代別の代表に継続して選出されてきたマルティアルであるが、19歳にしてフル代表に選ばれた。この代表選出発表の後にイングランドのマンチェスター・ユナイテッドへの移籍が決まったのである。(続く)

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