第1939回 本年最終戦のイングランド戦(3) 若手中心のチーム構成となったイングランド

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■両国の万全の警備で試合を準備

 フランス代表にとって9回目となるサッカーの聖地ウェンブリー、これまでとは違う意味を持つものになった。それはこれが単なるサッカーの試合ではなく、同時多発テロにあったばかりのフランスのサッカーをイングランドが迎え入れるということであり、サッカー界の平和に対する強い意思の表れである。前回の本連載で紹介した通り、ウェンブリーで初めてフランスが試合をしたのは第二次世界大戦でドイツが降伏し、欧州に平和が訪れて間もない、1945年5月のことであった。奇しくも欧州の平和に危機が訪れた2015年11月、フランスはまたイングランドを訪問する。もっと正確に言えばイングランドがフランスを迎え入れたということであろう。
 テロの標的になりそうになったフランス代表は試合の前々日の11月15日にロンドン入りするが、フランス警察の精鋭がロンドンに帯同し、警備にあたる。もちろん英国警察も精鋭をそろえ、共同して試合の安全な運営を担保する。
 また、審判団についても通常は試合の数日前に公開されるが、審判団の安全を確保するという観点から、開示されないという措置を取った。
 青白赤のフランスの三色旗に彩られた競技場、試合前のキックオフは両チームの選手、審判がセンターサークル上に集まり、黙とうをささげる。

■イングランドの先発イレブン

 この記念すべき試合の先発メンバーとなった選手を紹介しよう。まずは純白の伝統のユニフォーム、胸にスリーライオンズのエンブレムを抱くイングランド代表、GKはジョー・ハート、DFは4人、右からナサニエル・クライン、ジョン・ストーンズ、ギャリー・ケーヒル、キーラン・ギブス、MFは守備的な位置に2人、右にエリック・ダイアー、左にデル・アリ、攻撃的な位置に3人、右にラーヒム・スターリング、中央にロス・バークリー、左にウェイン・ルーニー、そしてFWは1トップでハリー・ケインという陣容である。

■3人が先発に選ばれたプレミアリーグ5位のトットナム・ホットスパー

 テオ・ウォルコット、ジャック・ウィルシャー、ダニエル・ウェルベックといったアーセナル勢が負傷のためメンバーから外れている。
 メンバーは全員プレミアリーグのクラブに所属しているが、この時点(第12節終了時)でプレミアリーグの首位は大混戦、マンチェスター・シティ、アーセナルが勝ち点26で並び、勝ち点25でレスター、勝ち点24でマンチェスター・ユナイテッドが続いているが、これらのチームに所属しているのはハートとスターリング(以上マンチェスター・シティ)、ギブス(アーセナル)、ルーニー(マンチェスター・ユナイテッド)だけであり、最も多くの選手を送り出しているのが5位のトットナム・ホットスパー(ダイアー、アリ、ケイン)の3人であり、それに次ぐのは、2人が選ばれている9位のエバートン(ストーンズ、バークリー)と首位のマンチェスター・シティである

■若手中心のメンバー構成

 また、30歳を超えているのは主将のルーニーだけであり、代表出場歴が20試合以上有するのもルーニー(108試合)、ハート(56試合)、ケーヒル(39試合)の3人だけである。代表歴が1ケタという選手が4人おり、ダイアーはこの11月の連戦で初めて代表に選ばれ、スペイン戦でデビューしたばかりである。
 またロイ・ホジソン監督はダイアーとともにジェシー・リンガードを選出している。リンガードはマンチェスター・ユナイテッドに所属し、今季はまだリーグ戦2試合、チャンピオンズリーグ2試合にしか出場していない22歳の選手である。
 そしてストッパーはスペイン戦ではクリス・スモーリングとフィル・ジョーンズというマンチェスター・ユナイテッドに所属する2人が務めたが、フランス戦では21歳のストーンズと29歳のケーヒルのコンビを起用、ルーニーに次ぐ年長者のケーヒルが守備ラインをまとめる。
 チーム再構築中のイングランド、若い選手の多いチームがフランスを迎えるのである。(続く)

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