第2001回 オランダ、ロシアに連勝(6) 苦手ロシアを4ゴールで粉砕

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■オランダ戦と6人を入れ替えたロシア戦の先発

 本大会のメンバー発表前最後の試合となるロシア戦、スタッド・ド・フランスでも大会前最後の試合となる。スタッド・ド・フランスのピッチに立ったフランス代表のメンバーであるが、オランダ戦とは6人が入れ替わった。GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコー、ジパトリス・エブラである。MFは3人、ラッサナ・ディアラ、を中心に右にエンゴロ・カンテ、左にポール・ポグバ、FWは右にアントワン・グリエズマン、アントニー・マルティアル、中央はアンドレ・ピエール・ジニャックとなる。
 オランダ戦と比較すると、守備陣は主将のロリスをはじめ、ベストメンバーと言えるであろう。ストッパーのサコーがローラン・コシエルニーとのレギュラー争いが焦点となる。中盤は今回唯一の初代表となったカンテが先発に抜擢である。そしてポグバは不動のメンバーであり、昨秋にカムバックしたラッサナ・ディアラも定位置を確保したと言えるであろう。そして模索の続く攻撃陣であるが、カリム・ベンゼマ不在ということも想定し、トップはオランダ戦で得点をあげたジニャックとオリビエ・ジルーの争いとなる。また左ウイングは20歳のマルティアルが先発する。
 片や、ロシアは31歳のイゴール・デニソフがフランス入りしてから発熱し、入院するというアクシデントに見舞われた。30歳以上のベテラン選手が3人先発メンバーに名を連ね、最年少が25歳というメンバーは2年後の自国開催にはやや不安を残すが、経験豊富なメンバーでこの欧州選手権に臨む。
 ベルギーのブリュッセルでもテロが起こったばかりであり、昨年11月13日の同時多発テロの現場のスタッド・ド・フランスは危険なスポットとなったが、6万5000人のファンが集まる。そしてその中には警備の最高責任者ともいえるフランソワ・オランド大統領の姿もある。5月下旬の伊勢志摩サミット前の最後の国際試合である。

■フランスが苦手意識を持つロシア

 前回紹介した通り、ロシアは世界ランキングではフランスとほぼ同順位であるが気になることが3つある。
 まず、ロシアはアウエーの親善試合では滅法強いということである。2008年3月26日にルーマニアに敗れて以来、2勝4分と負け知らずである。
 またこのスタッド・ド・フランスは1998年にオープンしたが、初めてフランスがこのスタジアムで敗れたのがその翌年1999年6月5日に行われた欧州選手権予選のロシア戦である。1998年に世界チャンピオンとなり、2000年には欧州チャンピオンとなる絶頂期のフランスを破ったことは衝撃を与えた。
 さらに今回の欧州選手権に出場するチームのうち、フランスにとって過去の対戦成績が最も悪いのがこのロシアであり、17戦して4勝しかしていない。フランス国内でも1勝3分2敗という成績である。

■エンゴロ・カンテ、ディミトリ・ペイエ、誕生日を飾る代表初ゴール

 試合はフランスが縦横無尽にパスをつなぐ展開でロシアを圧倒した。8分にはグリエズマンからのパスをこの日25歳の誕生日を迎えたカンテが先制点。この試合初めてのシュートがネットを揺らし、スタジアムを揺らした。
 その後もフランスは優勢に試合に進め、ロシアの選手のタックルにフランスの選手が倒れるシーンもあったが、ロシアのゴールにシュートを浴びせる。38分にはグリエズマンのFKをジニャックがヘディングでシュート、追加点をあげる。 後半に入りロシアはFKからヘディングで1点を返すが、フランスはグリエズマンに代わって入ったディミトリ・ペイエが64分に得点、ペイエもまたこの日が29歳の誕生日であった。

■ロシアを意気消沈させたキングスレー・コマンのスーパーゴール

 ロシアも68分にゴールをあげて1点差に詰め寄るが、フランスは後半からマルティアルに代わって入ったキングスレー・コマンが抜群の動きを見せ、76分にゴールを決める。コマンのスーパーゴールでロシアは意気消沈、フランスが4-2で勝利する。
 相変わらずセットプレーからの失点が多いのが気がかりであるが、攻撃陣は収穫があり、ディディエ・デシャン監督は誰を23人に選ぶのであろうか。(この項、終わり)

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