第2054回 金メダルを狙う女子サッカー(5) ニュージーランドに快勝し、決勝トーナメント進出

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■初の国際大会での対戦となるフランスとニュージーランド

 1勝1敗の勝ち点3同士でグループリーグ最終戦で戦うフランスとニュージーランド、過去の対戦成績は2勝1分である。両国は最初に2009年にキプロスのニコシアで対戦し、引き分けたが、2011年には同じくニコシアで対戦し、フランスが5-2と勝利、そして直近の対戦は2014年にラバルで対戦し、フランスが2-1と競り勝っている。これまでオリンピック、ワールドカップという国際大会での対戦はなく、これが最初の国際大会での対戦となる。

■全グループの6試合が行われる8月9日

 この1戦に引き分け以上であればフランスは決勝トーナメント進出となる。この8月9日にはブラジル各地で3グループの最終戦6試合が行われ、まずグループFのドイツ-カナダ戦と豪州-ジンバブエ戦が行われ、続いてフランスの所属するグループGのフランス-ニュージーランド、そして最後にグループEのブラジル-南アフリカ、中国-スウェーデンが行われる。フランスはニュージーランドに勝利して、米国に次ぐ2位という予想が大半である。グループGの2位チームは決勝トーナメントの準々決勝でグループFの首位チームが対戦することになる。フランスのファンはグループFの首位争いにも関心を寄せたが、カナダがドイツを2-1で下して3戦全勝で首位通過する。今回のオリンピックでは球技を中心に番狂わせが少なくなかったが、女子サッカーも例外ではなく、このカナダのドイツ戦勝利はグループリーグにおける最大の番狂わせであった。

■マリー・ロール・デリーの1トップに戻したフランス

 フランスの布陣はGKはサラ・ブハディ、DFは右からジェシカ・ウアラ、ウェンディ・ルナール、サブリナ・ドラノワ、サキナ・カルシャウィの4人、MFはアマンディーヌ・アンリ、エリーズ・ビュサグリアの2人が低い位置に入り、攻撃的な位置には右にエロディ・トミ、中央にルイーザ・ネシブ、左にクレール・ラボジェ、そして1トップにマリー・ロール・デリーが入る。米国戦は2トップであったが、コロンビア戦と同じ1トップに戻した。

■采配的中、前半に交代出場したユージェニ・ルソメが先制点

 試合は立ち上がりから世界ランキング3位のフランスが17位のニュージーランドを圧倒するが、なかなか試合を組み立てることができない。これもやはりオリンピックという舞台のグループリーグ最終戦からくる緊張であろうか。ボール支配率で7割近くを誇るフランスは得点をあげることができず、フィリップ・ベルジュロー監督は35分に荒療治にでる。トップのデリーを下げてユージニー・ルソメを投入する。この交代が見事に的中する。フランスはその直後にニュージーランドに初めての枠内シュートを放たれ、ひやりとしたが、ルソメが37分に先制点をあげる。前半のアディショナルタイムにもルソメはニュージーランドのゴールを脅かし、代表出場125試合で55得点という存在感を見せる。
 エンドが変わった後半、63分にはビュサグリアからトミにつなぎ、最後はネシブがヘディングで追加点をあげ、2点差をつける。ネシブも代表出場144試合目で通算35ゴール目となる。その後もフランスは、ビュサグリアに代えてカミーユ・アビリー、アンリに代えてケイラ・アマラウイと攻撃陣を入れ替えて攻め続ける。2点リードしたこともあり、ボール支配率は下げたものの、幾たびかチャンスが訪れた。これらのチャンスに得点を決めることができず、2-0のまま試合終了かと思われた後半のアディショナルタイム、ペナルティエリアに攻め込んだトミがファウルを受ける。主審はPKをフランスに与え、このPKをネシブがグラウンダーのキックで確実に決める。
 フランスは3-0とニュージーランドを下す。またグループGのもう1試合は米国とコロンビアが引き分ける。この結果、グループGは首位の米国と2位のフランスが決勝トーナメントに進出することになったのである。(続く)

このページのTOPへ