第2130回 カメルーン、5回目のアフリカ王者 (3) ブルキナファソ、エジプトが準決勝進出

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■大混乱となった昨年のガボンの大統領選挙

 第1シードの4チーム中3チームがグループリーグで敗退するという波乱となった今回のアフリカ選手権、本連載第2119回で紹介したとおりガボンは政情不安定なリビアに代わって代替開催したわけであるが、このガボンも安定しているわけではない。昨年最も注目を集めた大統領選挙はドナルド・トランプがヒラリー・クリントンを破った米国の大統領選挙であり、選挙後、そして新大統領の就任後の混乱は世界の注目の的となっている。
 ガボンもまた昨年大統領選挙が行われたが、新大統領就任後の混乱が続いている。ガボンでは昨年8月27日に大統領選挙が行われ、現職のアリ・ボンゴ大統領と外務大臣やアフリカ連合の議長を経験したジャン・ピネの争いとなった。アリ・ボンゴの父は1967年から41年間も大統領の座にいたオマール・ボンゴであり、2009年に父が亡くなったのを受けて行われた大統領選で当選した。ボンゴ親子は50年近くガボンにおいて独裁的な体制を築き、リオネル・メッシが数年前に大統領を表敬訪問した際には人権団体から非難の声を浴びている。
 またガボンは産油国であり、アフリカ諸国の中でも裕福な国であることから独裁体制でも国民の不満が爆発することはなかったが、近年の原油価格の低下は国民の生活レベルを下げ、長期独裁体制に対する不満となる。事前の予想ではピネが優勢であったが、選挙は僅差となる。さらに最後に開票された州の開票結果は不自然であり、投票率が99.9%、ボンゴの得票率が95.5%というものであった。この選挙権アを見て国内が混乱し、暴動が起こり、民衆と治安部隊が衝突し、少なくとも7人が死亡し、多数の負傷者がでている。そしてその混乱は現在もまだ続いている中でのアフリカ選手権開催となった。

■準々決勝の組み合わせ

 さて、開催国のいなくなった準々決勝の組み合わせであるが、ブルキナファソ(グループAの1位)-チュニジア(グループBの2位)、カメルーン(グループBの1位)-セネガル(グループAの2位)コンゴ民主共和国(グループCの1位)-ガーナ(グループDの2位)、エジプト(グループDの1位)-モロッコ(グループCの2位)となった。

■終盤に2得点をあげたブルキナファソ

 今大会を開催した4会場で1試合ずつ行われ、本来は開催国ガボンを迎えるはずだったメイン会場のリーベルビルではブルキナファソとチュニジアが対戦した。グループリーグではブルキナファソは2引き分けの後初勝利、セネガルは黒星の後2連勝と両チームとも上り調子でこの準々決勝を迎える。チュニジアの注目はマジックトリオと言われる攻撃的MFのワービ・カズリ、ナイム・スリティ、ユセフ・ムサクニの3人である。
 序盤はチュニジアが優勢であったが、次第にブルキナファソも調子をつかみ、前半は両チームとも決定機を1回ずつ作ったが、ノーゴールでエンドが入れ替わる。試合の終盤にブルキナファソが連続得点をあげる。81分には相手のハンドで得たゴール前20メートルのFKからアリスティッド・バンセがゴールを決める。この得点でブルキナファソは活気づき、その直後の得点チャンスは逃したものの、84分にはチュニジアのCKのクリアボールをカウンターアタック、ナントに所属するプレジュス・ナクルマが独走ドリブル、最後はチュニジアのGKもかわし、無人のゴールにシュートする。ブルキナファソは2-0と勝利し、準決勝一番乗りとなったのである。

■後半唯一のチャンスで得点を奪ったエジプト

 準決勝でのブルキナファソとの対戦をかけてエジプト-モロッコ戦が行われたが、この試合は非常にファウルの多い厳しい試合となった。後半に入るとモロッコが一方的に試合を支配するようになる。しかし、モロッコは次々にチャンスでシュートを外し、得点をあげることができない。逆にエジプトは87分にCKを得る。後半唯一のチャンスにエジプトはマムード・カラバがヘディングで得点をあげ、3連覇を果たした2010年大会以来の準決勝進出を決めたのである。(続く)

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