第2250回 ワールドカップを目指し、発進(4) 最終戦のホームゲームで初黒星を喫したウェールズ

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■セルビアを追うウェールズとアイルランドが直接対決

 フランスが11月10日に対戦するウェールズが所属していたグループDは最終戦を前にして、首位セルビアの勝ち点は18、2位ウェールズの勝ち点17、3位アイルランドの勝ち点16という大混戦となった。
 注目の最終戦は10月9日、ウェールズ-アイルランド、セルビア-ジョージア、モルドバ-オーストリアの3試合が(20時45分にキックオフされた。注目はウェールズのカーディフの試合とセルビアのベオグラードの試合である。セルビアは勝利すれば首位を確定し、本大会出場が決まる。セルビアが引き分け以下の場合、順位はウェールズ-アイルランド戦の結果次第となるが、セルビアが引き分け以下でウェールズが勝利した場合は、ウェールズは最後の最後で首位になり、本大会出場を決定することができる。またセルビアが破れてアイルランドが勝利した場合はセルビアとアイルランドが勝ち点で並び、得失点差の勝負となる。ちなみに最終戦を迎える時点の得失点差はセルビアが+20、アイルランドが+18であり、得失点差で並んだ場合は得点の多いセルビアが首位となる。
 すなわち、セルビアは1位か2位の可能性があり、ウェールズとアイルランドは1位から3位までの可能性がある。

■引き分けで2位の場合は厳しくなるウェールズのプレーオフ進出

 また、2位になった場合、プレーオフ出場チームは最下位チームとの対戦成績を除外して9チーム中8チームを決定する。ウェールズは2位になった場合、最下位が濃厚なモルドバに連勝しているため、モルドバ戦の勝ち点6が差し引かれてしまう。同じ2位でも最終戦に引き分けた場合は、勝ち点が12にとどまり、予選グループで2位となった9チームのうちで最下位になる公算が高い。したがって、ウェールズはセルビアの試合に関係なく最終戦をなんとしても勝利で飾りたいところである。

■予選3連勝、ホームで10戦無敗と勢いに乗るウェールズが試合を支配

 運命の一戦はカーディフ市営競技場で行われた。同じカードのダブリンでの試合は0-0のスコアレスドロー、今度は赤く染まったスタジアムでの戦いである。ウェールズはホームゲーム過去10試合で6勝4分と負けしらずである。ウェールズはエースのギャレス・ベイルを負傷のため欠くが、立ち上がりから攻勢に出て、3分には早くもCKのチャンス。その後も大声援を受けて試合を支配し続ける。前半のボール保持率は7割を超え、アイルランドはファウルでしかウェールズの攻撃を止めることができない。30分過ぎにはアイルランドのファウルを受けてジョー・アレンがピッチを去る。ボール保持率は高かったものの、負傷による数的不利の影響もあり、前半は両チーム無得点。

■少ないチャンスをものにしたアイルランド、8番目のチームとしてプレーオフ進出

 後半に入ってもリズムは変わらず、50分過ぎにウェールズは立て続けにビッグチャンスを逃す。ところが57分、ウェールズは不用意なパスをカットされ、それがアイルランドのジェームズ・マックリーンのゴールにつながってしまう。まさかの失点となったウェールズ、そこあら何とか追いつき、追い越そうとするが時計の針は止まらない。次第にウェールズはボール保持率も落ち、アイルランドと互角の戦いになっていく。それでも88分、長いクロスにジョナサン・ウィリアムズがヘディングで合わせるがアイルランドがクリアし、CKに逃れる。続くCKもペナルティエリア内に固まったアイルランドの守備陣にクリアされ、試合はアディショナルタイムへと突入した。アディショナルタイムの表示は5分、ロングボールを多用し、ゴール前にボールを放り込み続けたウェールズであったが、ゴールは遠く、0-1で敗れ去った。ウェールズは今予選初めての黒星となり、それが最終戦のホームゲーム、そして大一番の試合という厳しい結果となった。
 セルビアは終盤のゴールでジョージアに勝利して首位確定、2位となったアイルランドは9グループの2位チームの中で8番目となり、辛うじてプレーオフに進むこととなったのである。(続く)

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