第2309回 コロンビア、ロシアと連戦(3) 新旧モナコの主力のそろうコロンビア

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3年ぶりとなる南米の強豪との対戦

 新人のルカ・エルナンデスとウィサム・ベンイェデルの2人を含む24人で臨むコロンビアとロシアとの連戦、それぞれの戦いには異なった狙いがある。コロンビアは南米勢対策であり、ロシアは欧州勢対策というよりはアウエーで戦い、ロシアでの戦いに選手たちが順化することが狙いであろう。
 南米勢対策という点については、本大会でフランスはグループリーグではペルーと対戦するが、決勝トーナメントでの上位進出を考えるとブラジル、アルゼンチンというチームとの対戦は不可避であろう。フランスが南米勢と最後に対戦したのは昨年6月のレンヌでのパラグアイ戦、5-0と大勝しているが、南米のトップクラス相手となると3年前の3月のブラジル戦までさかのぼらなくてはならない。スタッド・ド・フランスで行われたこの試合でフランスは1-3と敗れている。その前は2014年のワールドカップのグループリーグのエクアドル戦となる。したがって、南米の強豪との対戦の経験を積むためにもコロンビアとの対戦は良い機会である。

■貴重な欧州の強豪との対戦となるコロンビア

 逆にコロンビアの狙いも明確である。南米の強豪の宿命として選手のほとんどが欧州のクラブに所属しており、ホームではなかなか親善試合を組むことができない。昨年の11月のインターナショナルマッチデーは、欧州ではワールドカップ予選のプレーオフが行われていたこともあり、欧州勢とのマッチメイクに苦労し、東アジアに遠征し、韓国、中国と試合を行い、それ以来の代表戦となる。ワールドカップでは避けて通ることのできない欧州勢との対戦を考えれば、コロンビアにとって欧州の強豪であるフランスは絶好の相手である。コロンビアはフランス戦の3日後にはイングランドのロンドンで豪州と対戦する。これは明らかにグループリーグで対戦する日本を意識したマッチメイクである。フランスと豪州の力量の差を考えれば、コロンビアはこのフランス戦はベストメンバーで臨んでくるであろう。

■モナコのヒーロー、ハメス・ロドリゲスとラダメル・ファルカオ

 コロンビアのスターティングメンバーはGKはダビド・オスピナ、DFは右からサンティアゴ・アリアス、ダビンソン・サンチェス、ジェリー・ミナ、フランク・ファブラ、守備的なMFはアベル・アギラールとカルロス・サンチェス、攻撃的なMFは右にマテウス・ウリベ、左にルイス・ムリエル、トップ下となる中央にはハメス・ロドリゲス、そして1トップはラダメル・ファルカオである。
 フランスのファンにとってはモナコに所属するファルカオ、かつてモナコに所属していたハメス・ロドリゲス(スペインのレアル・マドリッドを経て現在はドイツのバイエルン・ミュンヘンに所属)の新旧モナコペアのプレーがスタッド・ド・フランスで見られることは大きな楽しみである。

■PKでしか得点をあげていない国内の今世紀の戦い

 コロンビアとの対戦は10年ぶり、通算しても過去に3回しか対戦していない。直近は2008年の欧州選手権の直前のスタッド・ド・フランスで親善試合である。この試合はフランク・リベリーのPKによりフランスが1-0と勝利している。その前は2003年のコンフェデレーションズカップの初戦である。この当時のコンフェデレーションズカップは欧州のリーグ戦と重なり、フランスはスペインリーグに所属するジネディーヌ・ジダンやクロード・マケレレを欠くメンバーでの対戦であった。しかし、当時の代表監督のジャック・サンティーニの古巣であるリヨンでの試合はティエリー・アンリのPKで1-0で勝利している。
 今世紀に入って国内で2勝しているフランスであるが、得点はいずれもPKである。PK以外の得点となると最初の対戦、1972年にブラジルで行われたインデペンデントカップにまでさかのぼらなくてはならない。フランスは3-2で勝利し、スコアラーの名前を見るとマルク・モリトール、シャルリー・ルーベ(2得点)と懐かしい名前が並ぶ。
 さて、今世紀初めてフランス国内でのコロンビア戦で、PK以外でスコアをあげるのは誰であろうか。(続く)

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