第2377回 23人の世界チャンピオンたちの新シーズン(1) 疲労知らずのエンゴロ・カンテとポール・ポグバ

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスリーグ勢はトマ・ルマールだけが国外移籍

 フランスではリーグ戦が8月8日に開幕したが、ワールドカップで世界チャンピオンとなった23人も所属クラブによって、その再起動はまちまちである。
 まず今季もフランスリーグに所属している選手は7人だけである。パリサンジェルマンのアルフォンス・アレオラ、プレスネル・キンペンベ、キリアン・ムバッペ、モナコのジブリル・シディベ、マルセイユのスティーブ・マンダンダ、アディル・ラミ、フローリアン・トーバン、リヨンのナビル・フェキルである。昨季までモナコに所属していたトマ・ルマールはスペインのアトレチコ・マドリッドに移籍した。

■トロフィーとともに歓迎されたヒーロー

 ワールドカップに出場した選手は試合前にワールドカップとともに紹介され、ホームに凱旋した。しかし、リヨンのグルーパマ競技場でワールドカップとともにファンにあいさつしたフェキルはユニフォーム姿でなかったことが象徴するように、この8人の中で第1節に先発した選手は誰もいなかった。かろうじてトーバンが試合の終盤に交代出場したにとどまった。そのトーバンはロシアでの出場は決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦の2分間だけである。それだけ異国の地における7試合の疲労はたまっていたのであろう。

■チェルシーで先制点をマークしたエンゴロ・カンテ

 一方、同時期に開幕した各国リーグ戦でワールドカップでの疲労を感じさせない活躍をした選手もいる。例えばイングランドのチェルシーに所属するエンゴロ・カンテである。ロシアではまさにMVP級の活躍をしたが、クロアチアとの決勝では精彩を欠き、前半に警告を受けたこともあり、後半の55分に交代する。それまでの6試合はすべてフル出場であり、残り35分で皆勤を逃したが、チェルシーに戻って初戦はプレミアリーグに昇格してきたハダーズフィールド・タウンとアウエーで対戦、カンテは先発出場する。オリビエ・ジルー、ベルギー代表のエデン・アザールがベンチスタートという中でカンテは真価を見せ、34分には先制点を奪うだけではなく、グラウンドを自由自在に走り回り、ゲームをコントロールした。

■プレミアリーグはマンチェスター・ユナイテッド-レスター・シティ戦で開幕

 同じプレミアリーグで開幕戦に登場したのがマンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバである。ポグバもグループリーグ第3戦のデンマーク戦以外の6試合で先発し、ほぼフル出場している。プレミアリーグも8月10日の金曜日に1試合だけ行われ、それがマンチェスター・ユナイテッドとレスター・シティの試合であった。マンチェスター・ユナイテッドのアシュリー・ヤング(イングランド)、マルーアン・フェライニ、ロメル・ルカク(以上ベルギー)はベンチスタート、対するレスター・シティもジェミー・バーディ(イングランド)、岡崎慎司(日本)というロシア大会を盛り上げた選手が先発メンバーに入っていない。
 ワールドカップで4位に躍進したイングランドを支えているのはプレミアリーグである。数多くの国外の選手が活躍していることは事実であるが、地元イングランドの選手が外国人選手との厳しい競争の中で戦っていることは今回の躍進とは無関係ではない。そういう意味で注目を集めた中での開幕戦、今世紀に入って最多の優勝回数を誇るマンチェスター・ユナイテッドが本拠地のオールドトラフォードに2年前に奇跡の初優勝を果たしたレスター・シティを迎えるとあって注目の一戦となった。開始早々の3分にレスター・シティはガーナ代表のダニエル・アマーティがペナルティエリア内でハンドの反則を取られる。いきなりPKのチャンスを得たマンチェスター・ユナイテッド、ペナルティスポットに立ったのがポグバであった。レスター・シティのゴールを守るのはデンマーク代表でフランスを無得点に抑えたカスパー・シュマイケルである。ポグバ対シュマイケル、ロシアでは実現しなかった対決にファンは注目したのである。(続く)

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