第2372回 2018-19シーズン開幕(2) パリサンジェルマン、チャンピオンズトロフィー6連勝

 1998年の「フランス・サッカー実存主義」で連載を始めて、早いもので20年たちました。第2368回が通算して2500回目の連載となりました。記念すべき節目の連載でフランスのワールドカップ優勝をお伝えできたことをうれしく思います。引き続きよろしくご愛読のほどお願いいたします。

■リーグ2位のモナコがタイトル独占のパリサンジェルマンに挑戦

 チャンピオンズトロフィーは1995年から継続して行われているが、ちょうどこの年にリーグカップも現行の方式になっている。フランスは1988年の欧州選手権、1990年と1994年のワールドカップの本大会出場を逃しているが、国内タイトルをリーグ、カップ、リーグカップ、そしてチャンピオンズトロフィーの4タイトルに整備してからは本大会出場国数の増加もあるが、欧州選手権、ワールドカップに連続出場している。1995年の国内タイトル整備は競技力の向上に貢献しているといえるであろう。
 ところが、このところ、パリサンジェルマンがタイトルを独占することが多く、本来のフランスリーグの優勝チームとフランスカップの優勝チームの対戦となっていない。昨年こそ、リーグ優勝のモナコとフランスカップ優勝のパリサンジェルマンが対戦したが、今年はリーグ戦2位のモナコがパリサンジェルマンと対戦することになった。

■中国で4年ぶり2回目の開催、来年も深圳で開催

 チャンピオンズトロフィーは当初はバカンスシーズンの地方都市で行われていたが、2009年から国外で行われるようになった。2009年はカナダのモントリオール、2010年はチュニジアのラデス、2011年はモロッコのタンジェとフランス語圏で行われてきたが、2012年は米国のニューヨーク、そして2014年には中国の北京で行われた。この時の観客数は史上2位の3万9000人であり、アジアにおけるサッカー熱の高さを感じさせた。前年に就任した習近平国家主席がサッカーファンであることも、中国のサッカーへの関与の度合いは大きくなった。
 そして今年と来年のチャンピオンズトロフィーは中国のシリコンバレーと言われる深圳で行われる。チャンピオンズトロフィーが2年連続で同じ会場で行われるのは初めてのことである。主要なサッカーの試合の後ファンであふれる渋谷が日本のIT産業の中心であるのと同様、ITとサッカーには強い関連があるのであろう。会場は2011年の夏季ユニバーシアードのメイン会場となった深圳ユニバーシアード競技場。日本は史上最多の87個のメダルを獲得、東日本大震災で打ちひしがれた国民に希望を与えた大会であり、特にサッカーは男子が金メダル、女子は銀メダル、日本サッカー界の金字塔である。

■ワールドカップで活躍したメンバーもそろってキックオフ

 中国での開催となったが、パリサンジェルマンは直前までシンガポールでインターナショナル・チャンピオンズ・カップを戦い、アーセナル(イングランド)には敗れたが、アトレチコ・マドリッド(スペイン)に勝利している。
 ワールドカップで優勝したメンバーのキリアン・ムバッペとプレスネル・キンペンベは外れているが、新シーズンにかけるアルゼンチンのアンヘル・ディマリア、フランス代表のバックアップメンバーを拒否してチームから追放されたアドリアン・ラビオ、ワールドカップ出場を逃したイタリア代表GKで新加入のジャンルイジ・ブッフォンが先発メンバーに名を連ね、ブラジルのネイマールもベンチ入りしている。
 一方のモナコであるが、欧州で親善試合を重ね、中国入りする。クロアチア代表として驚異的なPKストップを重ねたダニエル・スバシッチは欠くものの、ポーランドのカミル・グリック、ベルギーのユーリ・ティールマンス、ポルトガルのロニー・ロペスなどロシアで活躍した選手がそろう。

■アンヘル・ディマリアの2ゴールなどでパリサンジェルマンが勝利

 試合は前半の33分にディマリアのゴールでパリサンジェルマンが先制、40分には20歳のクリストファー・エンクンクが追加点、後半に入っても勢いは止まらない。67分にゴールを決めたのはティモシー・ウェア、本連載第2346回で紹介した米国代表の期待の星、リベリアの怪人と呼ばれた現在のジョージ・ウェア大統領の息子である。後半のアディショナルタイムにも追加点をディマリアが決め、パリサンジェルマンは4-0と勝利、ディマリアがマンオブザマッチに選ばれた。パリサンジェルマンのチャンピオンズトロフィー勝利は6年連続8回目のことである。(続く)

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