第2391回 U-21欧州選手権本大会出場権獲得(3) 人材豊富な1993年世代もプレーオフで敗れる

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■出場停止処分からフル代表入りしたアントワン・グリエズマン、ウィッサム・ベン・イェデル、クリス・マビンガ

 U-21欧州選手権の2013年大会の予選で5人の処分が下されたが、その中でアントワン・グリエズマンは現在のフランス代表には欠かせない存在となり、ウィッサム・ベン・イェデルも代表に復帰している。また、クリス・マビンガはフル代表はコンゴ民主共和国のユニフォームを選んでいる。しかし、ヤン・エムビラはすでにフル代表の経験が22試合もあったが、その後は全くブルーのユニフォームを着ることなく今日に至っている。U-21代表というチームも2015年大会、2017年大会の予選を突破することはできなかった。

■予選メンバーに招集されなかったエンゴロ・カンテとジブリル・シディベ

 前回の本連載でも紹介した通り、今回のワールドカップ優勝メンバーのうち27歳以下は4分の3の17人である。2013年大会の予選に出場したアントワン・グリエズマンがちょうど27歳であるから、フランス代表のメンバーの4分の3は2013年大会以降の大会で活躍していてもおかしくはない。しかし、彼らには活躍の機会がなかったのである。  2013年大会予選の例を取るならば、1991年生まれ以降が対象となる。今回のワールドカップの優勝メンバーで1991年生まれはグリエズマンとエンゴロ・カンテ、1992年生まれはジブリル・シディベであるが、カンテとシディベは全部で10試合行われた予選に出場していないどころかメンバーにも招集されていない。

■グループリーグでは無敗、プレーオフでは得失点差に泣く

 続く2015年大会はどうだろうか。2013年秋から2014年9月まで行われたグループリーグでは7連勝し、プレーオフ進出が決定していた最終戦でアイスランドに引き分けるだけという強さを見せた。グループリーグで無敵というのは2013年大会予選と同様である。そしてプレーオフの相手はスウェーデン、10月10日にルマンで行われた第1戦でフランスは前半終了間際にフローリアン・トーバンがPKを決めて先制、後半も終盤にジョフレイ・コンドグビアの追加点で2-0として10月14日のアウエーゲームを迎える。ところがハルムスタッドで行われた第2戦はスウェーデンが3分と35分に得点をあげ、早くも前半のうちにタイスコアになってしまう。さらに77分にはスウェーデンが3点目をあげ、通算得点でリードする。しかし、87分にフランスはレイバン・クルザワがゴールをあげ、通算スコアを3-3とし、アウエーゴールで上回る。しかしながらスウェーデンはその1分後に得点をあげ、この試合を4-1と勝利、通算得点でも4-3と上回り、チェコで開催された本大会に出場する。そしてスウェーデンは本大会では決勝に進み、ポルトガルをPKで下して優勝したのである。

■ワールドカップ優勝メンバーの最大勢力の1993年生まれ

 上記の説明にトーバンの名が出てきたが、このチームの主力は1993年生まれである。今回のワールドカップのメンバーで最もたくさんの選手が生まれたのがこの1993年であり、トーバン以外にアルフォンス・アレオラ、ポール・ポグバ、ラファエル・バラン、ナビル・フェキル、サミュエル・ウムティティと6人が名を連ねる。また1つ下の1994年生まれにはバンジャマン・マンディとコランタン・トリッソがいる。これらの8人のうち、ポグバ、バラン以外の6人が予選のメンバーに入っていたのである。なお、ポグバ、バランはこの予選開催時点ですでにフル代表に選出されており、飛び級のような扱いを受け、実質この世代のワールドカップ優勝メンバーは実質的に全員、5年前から4年前にかけて行われた予選に出場していることになる。
 ただし、彼らはこのチームの主役ではなかった。プレーオフの主将こそウムティティが務め、得点トップはたが、このチームの主力はポール・ジョルジュ・ヌタップであり、アントニー・マルシャルであった。いずれも後にフル代表入りしているが、それ以外にも代表入りしたのはクルト・ズーマ、クルザワ、コンドグビア、キングスレイ・コマンがおり、人材豊富なこの世代をしても本大会の出場権を得ることができなかったのである。(続く)

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