第2392回 U-21欧州選手権本大会出場権獲得(4) 2017年大会も予選敗退、2019年大会予選は開幕7連勝

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■グループ2位でプレーオフに進出できなかった2017年大会予選

 前回の本連載では今回のワールドカップメンバーで最大勢力となった1993年生まれの選手が主力となった2015年大会もプレーオフでスウェーデンに敗れたことを紹介したが、1995年生まれが主力となる世代はプレーオフに進むことさえできなかった。フランスは第1シードとしてグループ3に入る。ライバルはウクライナ、スコットランドと目されたが、伏兵の第5シードのマケドニアがグループで首位となる。フランスは初戦のアイスランド戦を落とし、終盤のアウエーのウクライナ戦で後半のアディショナルタイムに失点して敗れ、グループ2位となった。フランスの成績は6勝2分2敗の勝ち点20、プレーオフ進出の基準となる最下位チーム以外との対戦成績は4勝2分2敗で勝ち点14、9チーム中6位となり、プレーオフ進出も逃したのである。

■ワールドカップやクラブで活躍するメンバーでも予選落ち

 2015年秋から2016年にかけて行われたこの大会は1994年生まれの選手も出場でき、フランスのメンバーはプレスネル・キンペンベ、トマ・ルマール、バンジャマン・パバール、ルカ・エルナンデス、ウスマン・ダンベレという今回のワールドカップ優勝メンバーに加え、それ以外にフル代表入りしたことにあるメンバーはキングスレイ・コマン、バックアップメンバーにとどまったことを不服としてチームを離脱したアドリアン・ラビオがいる。
 この大会で主力だった選手は代表だけではなく、クラブチームでも活躍し、マルセイユのジョルダン・アマビ、ドイツのRBライプチヒのジャン・ケビン・オーギュスタンもチームの一員であった。順調に彼らがその後キャリアアップしていることはフランスの育成が優れていることを示すとともに、2年後には世界チャンピオンになる彼らの力をもってしても欧州のベスト12(本大会出場国は12)に入ることができなかったという事実は受け止めなくてはならない。
 このように本大会が奇数年開催となった2007年大会以来6回連続で予選落ちをしているフランスの育成世代、結局今回のワールドカップの優勝メンバーで本大会に出場したことがあるのは2006年大会のスティーブ・マンダンダだけである。

■2020年東京オリンピック予選を兼ねた2019年U-21欧州選手権

 2019年大会に向けた戦いは2017年3月から始まった。この2019年大会は翌年の東京オリンピックの予選を兼ねる。したがって、日本のファンにとっては予選段階から注目の大会であろう。東京オリンピックは1997年生まれ以降の選手が対象(これ以外にオーバーエイジ枠3人)であるが、この2019年のU-21欧州選手権は1996年生まれ以降が対象となる。

■開幕7連勝で本大会出場に王手をかける

 フランスは本大会からこれだけ離れているものの第1シードとなり、スロベニア、モンテネグロ、ブルガリア、カザフスタン、ルクセンブルクと対戦する。フランスの初戦は2017年9月のホームのカザフスタン戦である。54分に先制を許したものの、フランスはその後4得点をあげて逆転勝ちする。ここからフランスは連勝街道をひた走る。中にはルクセンブルク相手にアウエーゲームとはいえ、2点を先行されてハーフタイムを迎えたこともあったが、後半に3点あげて逆転勝ちしている。フランスは2018年3月末のアウエーのモンテネグロ戦に勝利して開幕7連勝を飾る。そしてワールドカップをはさんで予選の終盤戦が9月に再開した。この時点でフランスが勝ち点21で首位、2位はフランスより1試合消化試合の少ないスロベニアで勝ち点10で両者の勝ち点の差は11である。したがって、フランスはあと1勝(正確には勝ち点2)で首位を確定し、本大会に出場できる。
 フランスの残りの日程は9月7日にアウエーのブルガリア戦、12日にホームのルクセンブルク戦、10月16日にホームでスロベニアを迎える。ワールドカップが終わってから弟分が初めて試合を行うアウエーのブルガリア戦で勝利することができるであろうか。(続く)

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