第2525回 フランス男子、24年ぶりにオリンピック出場(2) 13年ぶりに21歳以下の欧州選手権予選を突破

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■オリンピック予選を兼ねる21歳以下の欧州選手権

 プロ選手の出場が初めて容認された1984年のロサンゼルスオリンピックで優勝したフランス、西欧勢として32年ぶりに東欧の牙城を崩した。しかし、その後のオリンピック出場は1996年のアトランタオリンピックのみ、5大会連続で予選落ちとなっている。フランスのサッカーにとって最も長いブランクとなっている。
 オリンピックの欧州予選は2012年のロンドン大会以降オリンピックの前年に行われる21歳以下の欧州選手権が兼ねている。

■オリンピック出場だけではなく21歳以下の欧州選手権からも遠ざかっているフランス

 前回のリオデジャネイロオリンピックの欧州予選は2015年の21歳以下の欧州選手権、フランスは予選を首位で突破したものの、本大会出場をかけたホームアンドアウエー方式のプレーオフでスウェーデンに敗れている。8チームが出場する本大会に出場しても、上位4チームに入らなければ、オリンピックに出場することができない。また、ロンドンオリンピックの前年の2011年大会はプレーオフにも出場できず、予選落ちしている。オリンピック予選を兼ねた大会だけではなく、2年ごとに行われる21歳以下の欧州選手権では予選落ちが続いており、フランスが最後に本大会に出場したのは2006年大会(2006年までは偶数年に開催、2007年から奇数年に開催)のことである。2008年から2012年にかけてはその後。日本の横浜Fマリノスを指揮したエリック・モンバエツが監督を務めたが、オリンピックだけではなく、欧州選手権にも出場できなかった。フル代表の成績を考えるならば、この10年あまりかなり低調な結果に終わっている。

■7大会ぶりに21歳以下の欧州選手権に出場決定

 そして来年の東京オリンピックの予選を兼ねてイタリアとサンマリノで行われたのが2019年の21歳以下の欧州選手権である。2017年大会から本大会出場チームが12に拡大している。フランスは予選を9勝1分で突破し、13年ぶり、7大会ぶり、10回目に欧州の舞台への出場を決めたのである。
 2020年のオリンピックの出場資格は1997年1月1日以降生まれであるが、この21歳以下の欧州選手権の出場資格は1996年1月1日以降生まれである。予選がスタートした時点では後にワールドカップ優勝メンバーとなるバンジャマン・パバール、ルカ・エルナンデスという選手も名を連ねていたが、フル代表に招集されるとともに、メンバーから外れていった。そして、キリアン・ムバッペ、キングスレー・コマンとなると当初からフル代表のメンバーとなっている。

■予選を支えたメンバーと本大会に臨むメンバー

 予選の主力となったのはマルタン・テリエ、ムーサ・ダンベレ、ジャン・ケビン・オーギュスタン、タンギ・エンドンベレ、アブドゥ・ディアロ、ジョナタン・バンバなどである。本大会は6月中旬から行われるため、所属クラブとの問題はないが、チーム編成の仕上げとなる6月初めには欧州選手権の予選があるため、フル代表との競合がある。
 欧州選手権予選との選手の調整もある中で21歳以下のシルバン・リポル監督は5月中旬に23人のメンバーを選出した。予選で主将を務めていたディアロは負傷のためメンバーから外れる。また、予選でチーム最多となる7得点を記録したテリエも負傷で離脱する。さらに予選中にリポル監督と対立したオーギュスタンも選に漏れる。また、オリンピック出場のかかる大会ではあったが、すでにフル代表入りしているムバッペ、コマン、パバール、エルナンデス、エンドンベレなどを招集することはなかった。
 ディアロに代わって主将を託されたのはルカ・トゥサールである。リヨンで活躍している選手であるが、3年前には19歳以下の欧州選手権に出場し、主将として優勝に貢献している。
 また、来年のオリンピックの出場資格のない1996年生まれの選手としてはバンバ、ダンベレなど5人が選ばれている。
 5月の下旬からクレールフォンテーヌで合宿入りし、欧州選手権予選に臨む男子フル代表、ワールドカップに臨む女子代表とともに、オリンピック出場を目指すのである。(続く)

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