第2655回 追悼、ミッシェル・イダルゴ (13) アイルランドにも敗れるが、オランダとの直接対決に望み

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州一番乗りで本大会出場を決めたベルギー、2位を目指すフランス

 スペイン行きをかけたワールドカップ予選、9月初めにフランスはブリュッセルでベルギーに敗れて4位に後退する。ベルギーはこの段階で2位以内を確定、ワールドカップ出場を決める。ベルギーは開催国のスペインを除くと欧州では本大会出場一番乗りであった。
 フランスは2位争いに望みを託すこととなる。10月14日には3位のオランダが首位のベルギーを迎え、2位のアイルランドは4位のフランスをダブリンに迎え撃つ。フランスとアイルランドの勝ち点差は2、フランスは勝利すれば、アイルランドと勝ち点で並ぶことができる。

■アイルランド対策の起用が裏目、アウエーで連敗

 アイルランドはこれが予選最終戦、勝利して残りの試合を待ちたい。フランスのミッシェル・イダルゴ監督はアイルランドを意識した布陣で臨む。まず、ストッパーには高さ対策でフィリップ・マウを起用、そして中盤はミッシェル・プラティニをゲームメーカーとした以外はテクニックより運動量という選手を並べ、ジャン・フランソワ・ラリオス、ディディエ・クリストフ、初代表となるルネ・ジラールを起用する。そして2トップはこの試合が代表3試合目のアラン・クリオルと初代表となるブルーノ・ベローヌがコンビを組む。イダルゴ監督はベルギー戦に続いて驚きのメンバーを起用するが、同じ結果となった。3分にマウがオウンゴール、9分にベローヌが代表初ゴールを決める。しかしアイルランドは前半のうちに2点を奪う。フランスのゴールは予選初出場となるジャン・カスタネダが守っていた。終盤にプラティニが1点を返すが、フランスはアイルランドに敗れ、9月のベルギー戦に続いて連敗した。

■ベルギーに勝利したオランダにワールドカップ出場のチャンス

 同日にロッテルダムで行われたオランダ-ベルギー戦はオランダが3-0と勝利する。 この段階でアイルランドとベルギーが予選の全日程を終える。順位はベルギーが首位で勝ち点は11、続いてアイルランドが勝ち点10、オランダは勝ち点9、フランスは勝ち点6にとどまり、キプロスは勝ち点がない。
 フランスがホームゲーム2試合を残し、11月18日にオランダ、12月5日にキプロスをパルク・デ・プランスに迎える。オランダはフランスに勝利すれば勝ち点でベルギーと並び、得失点差でも上回り首位で予選突破となる。そして引き分けた場合はアイルランドと勝ち点10で並び、2位争いとなるが、得失点差では並ぶがそれ以外の指標でアイルランドに追いつけないため、アイルランドがワールドカップに出場する。

■オランダに勝利すれば、本大会出場がほぼ確実となるフランス

 そしてフランスがオランダに勝利した場合は、フランスの順位そのものは4位のままであるが、12月にキプロス戦を残している。フランスはオランダ戦、キプロス戦に連勝した場合のみ2位のアイルランドと勝ち点で並ぶ。さらにこの時点でアイルランドとフランスは得失点差が+6で並んでいることから、フランスは連勝すれば得失点差でアイルランドを上回り、大逆転で2位に滑り込むことになる。フランスはキプロス以外の3チームにはアウエーではすべて負け、特に終盤の9月、10月に連敗しているが、大逆転の可能性が残されているのである。そしてキプロス戦の勝利はほぼ確実であることから、11月18日のフランス-オランダ戦は大一番となり、勝った方がワールドカップ、引き分けた場合はアイルランドがワールドカップという試合になった。
 9月のベルギー戦、10月のアイルランド戦、イダルゴ監督の過ちは明白である。まずアウエーゲームであるということを差し引いても守備的な布陣で臨んだこと、そしてそのために経験を積んでいない選手を起用したことである。
 イダルゴ監督は国内の試合の視察を重ね、メンバー選考を行い、ジュイアンジョザスの高等商業学校のキャンパスで合宿し、オランダ戦に備えたのである。(続く)

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