第2683回 サッカーのない日常となったフランス(4) 再開後トラブルが連続したロシアリーグ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■感染の中心地が変化してきた新型コロナウイルス

 欧州において新型コロナウイルスは流行当初の3月はイタリア、スペイン、フランスというラテン系の国で感染が拡大したが、その後、イギリス、ドイツというアングロサクソン系の国にも感染が広がり、ロシア、トルコといった国での感染者が増加してきた。7月上旬の本稿入稿時点で欧州で感染者の多い順に並べると、1番目はロシア、2番目が英国、3番目がスペイン、4番目にイタリア、5番目がトルコとなっており、ドイツが6番目、フランスが7番目となっており、ここまでの国は感染者数が約20万人以上である。

■リーグ再開後に感染の再拡大が起こったトルコ

 感染者数はロシアは70万人、トルコは20万人であるが、両国とも6月にリーグを再開している。
 トルコでは新型コロナウイルスの最初の感染者が発見されたのは3月10日であったが、その直後の12日にリーグの無観客試合化、19日には中断が決定した。その後、トルコ国内では感染が拡大し、3か月間のブランクの後、6月12日にリーグを再開した。ちょうど再開した時期にトルコでは第二波と言える感染の再拡大が起こったが、残り8試合を7月の末まで行う予定に変更はない。

■チームで集団感染が起こったロシアのロストフとオレンブルク

 欧州では最多、世界でも米国、ブラジル、インドに次いで4番目に感染者が多く、英国の2倍以上の数字となっている(7月現在)。3月17日にロシアリーグは中断を決定し、トルコ同様にその後は感染者が増加している。5月中旬にロシアサッカー協会は6月19日からのリーグ再開を発表し、サッカー関係者にも多数の感染者はいたものの、予定通り再開した。
 再開してすぐにハプニングが起こった。再開の前々日の6月17日、ロストフの6人の選手が陽性反応となった。陽性となった6人だけではなく、トップチームの選手、スタッフ全体の42人が2週間の隔離となった。ロストフの再開初戦の相手はソチである。ロストフ側は日程の変更をソチに働きかけたが、再開後の過密日程ということもあり、降格の危機に瀕しているソチはこれを拒否する。来季のチャンピオンズリーグ出場圏内であったロストフはやむなく下部組織の16歳から18歳のチームで試合に臨む。結果はソチが10-1で大勝、これは現時点では今季のロシアリーグにおける最多得点差試合である。なお、ロストフは17歳の選手が先制点をあげたが、これはクラブ史上最年少得点記録となった。
 また、その翌週の25日にはオレンブルクで6人の選手と2人のスタッフが陽性と認定された。2日後にはクラスノダールを迎えて試合を行う予定であったが、ホームゲームを行うことは不可能であり、さらにクラスノダールも別の試合で日程変更をしており、日程変更もできなかった。この試合は行われることなく、ロシアサッカー連盟の裁定で、クラスノダールの3-0の不戦勝となった。ロシアリーグは7月22日まで行われる予定であるが、感染者の多い環境の中で、再開後も多難な日々が続いている。

■中断期間が最長となったスイスリーグ

 欧州では比較的感染者が少なかったが、早い時期に中断し、遅い時期に再開したのがスイスである。スイスは2月28日にリーグ戦を中断している。その直後に、サッカー協会のドミニク・ブラン会長が3月に感染した。スイスのリーグ再開は6月19日であり、3か月半もブランクがあった。イタリアは6月22日に再開しており、スイスとイタリアはほぼ同時期に再開しているが、スイスの方が早く中断しており、欧州では最長の中断期間となった。
 このように欧州各国のリーグ戦の中断、再開を見てみると、各国によってその対応はまちまちである。本連載で紹介した通り、ベルギーがシーズン打ち切りを発表した後に、UEFAがシーズンの打ち切りは政府の指示などの合理的な理由が必要、という指針を示した。これに対して最初に反応したのがフランス政府である。フランスでは、サッカーをはじめとするスポーツのない日常を送っているのである。(この項、終わり)

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