第2682回 サッカーのない日常となったフランス(4) 6月に次々と再開する各国リーグ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2度の中断を経て5月末に再開したウクライナリーグ

 前回の本連載では、新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、観客を入れてリーグ戦を予定通りのスケジュールで開催したベラルーシ、ドイツ以外に5月にリーグ戦を再開したフェロー諸島、エストニア、チェコ、ハンガリー、アルメニアについて紹介した。実は欧州にはもう1つ5月からリーグを再開した国があったことをお詫びしなくてはならない。それがウクライナである。旧ソ連から独立した国であるが、春秋制ではなく、夏春制のシーズンを採用している。しかし、12月中旬から2月下旬までウインターブレイクをとっており、再開直後に新型コロナウイルスの影響でシーズン2回目の中断となった。5月30日にシーズンが再開し、7月末までリーグ戦が行われているが、6月20日にシャフタール・ドネツクが5試合を残して優勝を決め、来季のチャンピオンズリーグのグループリーグへの出場権を獲得した。

■中断期間中のチーム練習が処分の対象となったオーストリアのLASK

 第2679回の本連載でスペインが6月11日、イングランドが6月17日、イタリアが6月22日にリーグ戦を再開したことを紹介したが、欧州の多くの国は6月になってリーグ戦を再開している。
 6月2日にはオーストリアがリーグを再開した。オーストリアでは新型コロナウイルス関連でちょっとした事件があった。オーストリアでは5月15日までチーム練習は解禁されていなかったが、中断時に首位であったLASKが5月15日以前にチーム練習したことが発覚し、処分を受けた。問題が発覚したのは、何者かによってLASKがチーム練習している動画が出回ったからである。LASK側はスパイ行為であると抗議したが、フェアプレーという観点から他の11チーム、さらにはオーストリアサッカー連盟もLASKの主張を認めず、罰金を科すとともに、LASKの勝ち点12を剥奪した。この結果、LASKは首位の座を転落する。
 オーストリアリーグはホームアンドアウエーの総当たりの各チーム22試合戦った後で上位6チームと下位6チームに分かれ、チャンピオンラウンドと降格ラウンドをそれぞれホームアンドアウエーで戦う。レギュラーシーズンの勝ち点を半分にしたものとチャンピオンラウンドの勝ち点を合計したものが最終成績となるが、LASKは再開後の不調も重なり、最終順位は4位になってしまい、来季はヨーロッパリーグの予備戦からの参戦となった。一方、優勝はRBザルツブルク、6連覇を飾った。

■フランス在住のポルトガル人が熱くなるポルトガルリーグはビッグ3の争い

 フランスとある意味で最もつながりが太い国がポルトガルである。多くのポルトガル移民がパリを中心に居住しており、彼らにとってはフランスリーグよりもポルトガルリーグの方が気になるところである。ポルトガルリーグは3月初旬に無観客試合での継続を模索したが、結局中断してしまった。4月末にUEFAがシーズンの打ち切りをする場合は、政府の公式の指示など正当な理由が必要であるという方針を示された際、ポルトガル政府は国内のビッグ3、すなわちベンフィカ、ポルト、スポルティング・リスボンの3チームと協議を行っている。結局、6月3日にリーグ戦は再開し、無観客で7月末までシーズンが行われ、サッカーのないフランスでもポルトガルリーグの動向に一喜一憂する人たちがたくさんいる。7月初旬の段階でポルトが首位、2位がベンフィカ、3位がスポルティング・リスボンと3強が上位を占めている。

■同一のチームと年間4回対戦するクロアチアリーグ

 1部リーグのチーム数が少ない場合は、今回紹介したオーストリアのように、レギュラーシーズンを終えてから上位だけのチームで再度リーグ戦を行うケースが多い。そのようにリーグのチーム数が少ないにもかかわらず、ホームアンドアウエーの総当たりのリーグ戦を2回行うリーグもある。つまり、1シーズンで同じチームと4回対戦することになる。それがクロアチアである。3月に中断した時点では1回目のリーグ戦が終了しており、打ち切りやすい条件であったが、6月5日に再開している。リーグ戦は7月末まで行われるが、ディナモ・ザグレブが優勝を決めている。(続く)

このページのTOPへ