第2681回 サッカーのない日常となったフランス(3) 予定通り観客を入れてリーグ戦を開催したベラルーシ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3月19日に観客を入れてリーグを開幕したベラルーシ

 前々回の本連載ではリーグ戦を再開した他の欧州五大リーグ、前回の本連載はフランス同様リーグ戦を打ち切ったベルギー、オランダ、スコットランドを紹介した。今回はそれ以外のリーグを紹介しよう。
 なんといっても驚きはリーグ戦を予定通り開催したベラルーシである。実力は欧州の中堅クラスのリーグであるが、春秋制を取っているため、3月にシーズンが始まる。フランスを含む欧州の多くの国が夏春制をとっている中で、旧ソ連からの独立国ということもあり異なるカレンダーで動いている。これまで2回の連載で紹介した通り、夏春制のリーグが3月の初めから中断をしていく中で、ベラルーシリーグは3月19日に開幕した。しかも観客を入れて試合を行っているのである。

■多数の感染者にもかかわらず、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が強行

 優勝してもチャンピオンズリーグの予備戦1回戦にしか出場できないというベラルーシリーグであるが、欧州で唯一スポーツを行っている国として他国の多くのファンがネットで試合を観戦した。そして、フランス人選手も所属している。しばしばヨーロッパリーグに参戦するBATEにはエルバン・ムカンがおり、エネルゲチック・ミンスクにジェレミー・マワツ、ハイク・ムサカニアンの2人が所属している。ムサカニアンは両親ともアルメニア人であるが、幼少のころ両親とともにフランスに移住し、フランスで成長してきた。
 ベラルーシも新型コロナウイルスと無縁ではなく、感染者も死者もいる中で観客を入れての開幕となったのは、独裁的な国家運営を行うアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の楽観歴なコロナ対策によるところが大きい。実際には5月には感染した選手がいたために、一部の試合が延期になっているが、リーグ全体を中断することなく、現在までリーグ戦が行われている。ちなみに、ベラルーシの感染者数は7月初めの段階で6万人を超えており、これは世界で30位以内である。
 なお、コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、サッカーのリーグ戦を中断等せずに行っているのは欧州ではベラルーシだけであるが、中南米のニカラグア、アフリカのブルンジ、アジアのタジキスタンが相当する。

■新規感染者がいなくなり、リーグ戦を再開したフェロー諸島

 ベラルーシの場合は特殊と言えるが、5月16日に再開したドイツ以外に、早期に再開したのがフェロー諸島とエストニアである。
 フェロー諸島も春秋制である。10チームが参加し、春季はホームアンドアウエーの総当たりの試合を行い、秋季はいずれかの本拠地で1回のみ対戦する。1シーズン27試合の校正である。当初は3月8日に開幕する予定であったが、新型コロナウイルスの感染者が派生したことから、開幕が遅れていた。当初の開幕予定日の時点で感染者数は2人、これが3月下旬に新規の感染者数が増加し、4月初めの段階で180人となった。しかし、4月6日を最後に新規の感染者がなくなったため、4月22日にリーグの開始を決定、ドイツよりも早く5月9日にシーズン開幕を迎えたのである。

■開幕を遅らせたエストニア、5月23日に再開したチェコ、ハンガリー、アルメニア

 そして春秋制のエストニアも5月18日に開幕を迎えた。エストニアはリーグの方式がフェロー諸島と同じで10チーム制で、各チームは1シーズンに27試合行う。3月9日の予定を5月19日に遅らせて開幕を迎えた。
 夏春制のリーグでドイツの翌週の5月23日に再開したのがチェコ、ハンガリー、アルメニアである。昨年7月に16チームが参加して開幕したチェコは3月12日でリーグ戦を中断し、2か月ぶりの再開となった。
 12チームが参加するハンガリーはフェロー諸島やエストニア同様、同じ相手と3回対戦し、各チーム33試合行う。中欧のライバルのチェコと同日にリーグ戦が再開した。
 リーグ戦に10チームが参加するアルメニアは、ホームアンドアウエーの総当たりで各チーム18試合行い、この上位6チームがチャンピオンラウンドとしてホームアンドアウエーで戦う。年間成績で順位をつけるが、7月中旬の最終試合を前に大混戦となっている。(続く)

このページのTOPへ