第2680回 サッカーのない日常となったフランス(2) 打ち切りとなったベルギー、オランダ、スコットランド

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■4月初めに打ち切りを決定したベルギー

 前回の本連載では、フランスを含む欧州五大リーグが2月末から3月上旬にかけて中断したが、フランス以外の4か国ではリーグ戦が再開したことを紹介した。
 欧州でフランス以外にシーズンを打ち切った国がいくつかある。欧州で支所に打ち切りを決定したのはベルギーである。4月2日にベルギーサッカー協会は理事会を開催し、3月15日から中断しているリーグ戦を打ち切ることを決定した。16チームからなるベルギーリーグ1部は、ホームアンドアウエーの総当たりによる各チーム30試合ずつのレギュラーシーズンを終えてから、上位と下位に分かれたリーグ戦が行われ順位が決定される。しかし、今年はレギュラーシーズンの第29節を終了した時点での順位を最終順位と確定した。首位のクラブ・ブルージュを優勝、最下位のベフェレンが2部に降格することとなった。また、上位チームには来季の欧州カップの出場権を与えることも決定した。
 ベルギーリーグは1895年創立の伝統リーグ、その歴史はフランスよりも約40年、ドイツよりも約70年古い。そして現在は多くの外国人選手が活躍し、その中心は日本人選手であり、この決定は大きな意味を持った。

■ベルギーの決定を時期尚早としたUEFA

 この決定に対して反応したのがUEFAである。あまりにも早い中断の決定に対して次期時期尚早であると声明を発表し、来季の欧州カップへの出場を認めない可能性もあると示唆した。リーグ戦の打ち切りの正式決定はベルギーリーグの総会で決定されることになっており、当初は4月15日の総会で決定するはずであったが、このUEFAの反応もあり、結局は1月遅れの5月15日の総会で決定した。

■政府の決定に従って打ち切りとしたオランダ

 ベルギーの次に打ち切りを発表したのが隣国オランダである。4月24日にオランダリーグは1部と2部の打ち切りを発表した。オランダ政府は21日にプロスポーツなどの8月末までの禁止を発表しており、それに基づいて打ち切りとなった。また、打ち切られたシーズンの準は決定せず、1部と2部の間の昇格、降格も行われないこととなった。
 打ち切り発表の前日にはUEFAがシーズンを打ち切る場合は政府からの指示などの正当な理由が必要であるとの指針を発表しており、ベルギーとは異なり、UEFAとの間では齟齬は生じなかった。また、UEFAは、シーズンを打ち切った場合は翌季の欧州カップ出場国は各協会において競技での実績に基づいて決定すること、という指針も併せて示している。オランダリーグの打ち切り時点の成績上位4チーム(アヤックス、AZ、フェイエノールト、ウィレムII)が来季の欧州カップに出場することとなった。
 このオランダリーグの打ち切りと同様に政府によるプロスポーツ禁止の決定を受けて、リーグ戦を打ち切ったのがフランスである。ただし、フランスの場合は、順位も決定し、今シーズンのリーグ戦の成績で来年の欧州カップ出場国を決定しており、ベルギーに近い決定となっている。

■5月中旬に打ち切りを決定したスコットランド

 最後に紹介するスコットランドは、前回紹介した欧州のいくつものリーグが再開を決定した5中旬になって打ち切りを発表した。スコットランドリーグ1部は12チームで形成、他のリーグとは形式が変わっており、レギュラーシーズンは3回戦制である。ホームアンドアウエーで2回戦総当たりのリーグ戦を行ってから、どちらかの本拠地で対戦する。各チーム33試合を終えて、上位6チームと下位6チームの2つに分かれ、いずれかの本拠地で1回戦総当たりのリーグ戦を行う。各チーム38試合を戦い、順位が決定される。
 スコットランドリーグが中断したのは29試合目または30試合目であり、ちょうどリーグ戦での2回目の対戦が終わるころであり、フランス同様、1試合当たりの平均勝ち点で順位を確定した。優勝はセルチック・グラスゴーであり、来季のチャンピオンズリーグの予備戦に出場、2位のグラスゴー・レンジャーズと3位のマザーウェルがヨーロッパリーグの予備戦に出場する。一方、ハーツが2部に降格した。フランスと同じ順位決定がなされたのである。(続く)

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