第2861回 25年ぶりのオリンピック(5) 先発3人を入れ替えて臨む南アフリカ戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■メキシコ戦の大敗に失望したファン

 初戦でメキシコに1-4と大敗したフランス、メンバーの資質、準備にかけた時間の少なさからある程度予想されたことである。今回のメキシコ戦でファンが初めてその存在を知った選手も少なくない。ただし、メキシコもギジェルモ・オチェアというオーバーエイジの大物はいるものの、ほとんどがメキシコ国内のクラブに所属している選手である。さらにフランスのオーバーエイジの選手は3人のうち2人がメキシコのティグレスに所属している選手である。あまりにもふがいない結果にフランスのファンは失望した。
 第2戦は南アフリカとの対戦となる。新型コロナウイルスの陽性者が発生したことにより、第1戦の実施も危ぶまれたが、開催国の日本と対戦、一方的に押し込まれ、敗れたが、0-1というスコアで収めている。

■先発3人を入れ替え、初勝利を狙う第2戦

 7月25日、埼玉スタジアムで初勝利をかけた両チームが対戦する。フランスの先発メンバーはGKはポール・ベルナルドーニ、DFは右からクレマン・ミシュラン、ピエール・カルル、ニエル・エンクンク、アントニー・カーチ、MFは低い位置にテジ・サバニエとルカ・トゥザール、高い位置には右にランダル・コロ・ムアニ、中央にフローリアン・トーバン、左にナタナエル・ムブク、FWは1トップで中央にアンドレ・ピエール・ジニャックである。
 初戦のメキシコ戦とは中2日での試合ということだけではなく、パフォーマンスがよくなかったことから、先発メンバーを3人入れ替えた。

■初先発の3人はいずれも7月に追加招集された選手

 第2戦の南アフリカ戦で初先発するのはエンクンク、コロ・ムアニ、ムブクである。この3人はいずれも7月になってから追加招集されたメンバーである。
 エンクンクはイングランドのエバートンの所属であるが、ほとんど試合には出場していない。昨夏まではマルセイユのBチームに所属していた。この試合でよいパフォーマンスを残せば、マルセイユのトップチームの主力選手であった酒井宏樹と最終戦で戦うことができる。
 コロ・ムアニはキリアン・ムバッペと同じボンディ出身であるが、ナントの育成機関で育った。この時にかつて日本代表を率いたバヒッド・ハリルホジッチに目をかけられた。昨年からナントではレギュラーポジションを獲得し、昨秋初めて年代別のフランス代表に選出され、21歳以下の欧州選手権に出場している。
 ムブクは19歳であり、先発メンバーの中で最年少である。今大会の予選に当たる2年前の21歳以下の欧州選手権が開催されていた時、ムブクはアイルランドで行われていた17歳以下の欧州選手権に出場していた。その秋の17歳以下のワールドカップでは銅メダルメンバーとなり、若手の有望選手であることは間違いないが、16歳でプロ契約を果たした所属するスタッド・ド・ランスでもようやく昨年レギュラーの位置を獲得したところである。通常であれば5歳も年齢制限が上のオリンピックチームに入るような力はない。 このように追加招集をして力量の見極めの遅れた選手が第2戦で先発した。

■守備を固めた南アフリカをなかなか崩せないフランス

 青いユニフォームのフランスのキックオフで試合は始まった。フランスは4分にFKのチャンス、これをオーバーエイジ枠のサバニエが直接ゴールを狙う。これがこの試合初めてのシュートとなったが、南アフリカのGKにキャッチされる。南アフリカは守備的な試合運びで、フランスがボールを保持し、南アフリカの守備を崩そうとする展開となる。しかし、この試合初の得点機は南アフリカ、23分にルーサー・シングのシュートはポストに当たり、フランスは命拾いする。その直後にジニャックが得点をあげたかに見えたが、これはオフサイドの判定。劣勢の南アフリカであるが、数少ないチャンスをシュートに結びつけ、シュート数はほぼ互角のまま、前半の終盤を迎えたのである。(続く)

このページのTOPへ