第2959回 セネガル、初優勝を飾る(5) 準決勝から中2日のエジプトと中3日のセネガル

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■ワールドカップ3次予選と同じ組み合わせとなったアフリカ選手権決勝

 アフリカ選手権の決勝は初優勝を目指すセネガルとこれまで最多の7回の優勝を誇るエジプトが対戦することになった。実はこのカードは3月下旬に行われるワールドカップ3次予選と同じとなった。ワールドカップ出場をめぐる最終予選と大陸別選手権の決勝が同一カードとなることは奇遇であり、出場枠が5のアフリカは、直前の大陸別選手権で2位となってもワールドカップに出場することができない。

■決勝の日程の変更を主張したエジプトのカルロス・ケイロス監督

 さて、準決勝の終わった後、アフリカ選手権らしい事件がまた起こる。まず、開催国カメルーンが準決勝で敗退したため、3位決定戦に回ることになった。3位決定戦と決勝戦は2月6日に首都ヤウンデで行われ、3位決定戦は17時からアーマド・アヒージョ競技場、決勝は20時からオランベ競技場でキックオフを迎える予定だった。しかし、1月24日に行われたカメルーン-コモロ戦で試合前に子供2人を含む8人がオランベ競技場に入る前の雑踏で圧死し、その後、会場の変更やセキュリティの強化をし、3位決定戦を決勝戦と同日ではなく、決勝前日の5日に行うことになった。
 その一方で、2月3日に延長PK戦で決勝に進出したエジプトのカルロス・ケイロス監督から、決勝戦を1日遅らせて7日の月曜日に行えないかという申し立てがあった。この理由は対戦相手のセネガルは準決勝を2日に戦い、決勝は中3日、一方エジプトが中2日で戦うのは不公平であるということである。もちろんこの要求は受け入れられなかったが、これがアフリカ選手権である。なお、前回の2019年大会は準決勝2試合は同日に行われていたが、その前の2017年大会は今回と同じで準決勝は2日にわたって行われた。2017年大会のファイナリストはカメルーンとエジプトであった。この時エジプトはカメルーンよりも1日早く準決勝を戦い、リカバリーにあてる期間は長かったが、エジプトはカメルーンに1-2で敗れている。

■3位決定戦はカメルーンが3点差を追いついてPK戦で有終の美

 日程が変更となった3位決定戦であるが、中1日のカメルーンはメンバーを大幅に入れ替え、中2日のブルキナファソも半数を入れ替え、最後の試合に臨む。ブルキナファソは前半に先制、さらにカメルーンのGKのオウンゴールもあり2点をリードして折り返す。さらにブルキナファソは後半立ち上がりにも追加点をあげ、3点をリードする。残り20分となった71分にカメルーンは1点を返すが、時間は過ぎる。カメルーン途中出場のバンサン・アブバカールが85分と87分に連続ゴールで追いつく。3位決定戦は延長戦なしでPK戦となり、カメルーンは5人全員が成功させ、3位を確保した。

■対照的なファイナリストの歩み、カルロス・ケイロス監督はベンチ入りできず

 ファイナリストのセネガルとエジプトの決勝までの道のりは対照的である。セネガルはグループリーグでは1勝2分であったが、決勝トーナメントに入ってからは3連勝である。一方のエジプトは2勝1敗でグループリーグを2位通過、決勝トーナメントでは3試合とも延長戦を戦い、1試合は延長戦、2試合はPK戦と3試合とも120分を戦っている。決勝戦を1日延期してほしいというエジプトのカルロス・ケイロス監督の申し出も、このような戦いぶりの結果である。
 カルロス・ケイロス監督については名古屋グランパスエイトで指揮を執ったこともあるから、日本のファンの皆様もよくご存じであろう。黄金時代のアンダーエイジのポルトガル代表を率いてワールドユースで2回優勝した手腕を買われて名古屋入りとなったが、実はアフリカの出身である。ポルトガルの黒豹エウゼビオと同じモザンビーク生まれである。南アフリカ代表監督として2002年ワールドカップ予選を突破した。エジプトはアフリカでの2か国目の代表監督となる。そのカルロス・ケイロス監督は準決勝の後半44分に審判の判定に対して抗議をし、退席処分となっている。決勝戦のベンチ入りについては決勝前日に最終決定がなされ、カルロス・ケイロス監督はベンチで指示をすることはできず、スタンドから観戦することになったのである。(続く)

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