第3042回 パリサンジェルマン、2度目の日本ツアー(4) ツアー初戦の川崎フロンターレ戦で勝利

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■新装なった国立競技場の最多観客記録を樹立

 新体制となったパリサンジェルマン、日本ツアーの前に2部のクビリー・ルーアンと練習試合を行っているが、観客を入れた試合はまた違う緊張感となる。日本では3試合、20日に国立競技場で川崎フロンターレ、23日に埼玉スタジアムで浦和レッズ、25日にパナソニックスタジアム吹田でガンバ大阪と対戦する。いずれもタイトル獲得経験もあり、国際経験も豊かなチームである。同時期に東アジア選手権が開催されるため、日本代表の選手が出場しないが、これだけの強豪相手に3試合行う経験はなかなか得ることができない。
 第1戦の川崎フロンターレ戦には64,922人の観衆が詰めかけた。これは6月6日に行われた日本-ブラジル戦の63,638人を上回り、国立競技場が新たな姿になってから最多の観客動員となった。日本におけるサッカー熱の高さにパリサンジェルマンのイレブンも驚いているであろう。

■ベストメンバーのパリサンジェルマン、日本代表を欠く川崎フロンターレ

 パリサンジェルマンの布陣であるが、GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは3バック、右からセルヒオ・ラモス、中央にマルキーニョス、左にプレスネル・キンペンベ、MFは右からアクラフ・ハキミ、イドリッサ・グイエ、ビティーニャ、ヌーノ・メンデス、高いトップ下にリオネル・メッシ、FWは2トップで右にネイマール、左にキリアン・ムバッペという布陣、主将はマルキーニョスが務める。クリストフ・ガルティエ監督は後半にはメンバーを大幅に入れ替えると宣言しているが、今シーズンの先発メンバーというにふさわしい陣容となった。
 対する川崎フロンターレは昨季のJリーグで優勝、ツアーの初戦からリーグチャンピオン同士のビッグゲームとなった。しかしながら川崎フロンターレは東アジア選手権に出場する日本代表を欠いており、フルメンバーのパリサンジェルマンに十分勝機はある。川崎フロンターレは4バックシステム、右から佐々木旭、ジェジエウ、車屋紳太郎、主将の登里享平と並んだ4人がMNMを止めることができるかが焦点である。

■先制点をあげたリオネル・メッシ

 川崎フロンターレのキックオフによって試合は始まり、パリサンジェルマンは世界有数のスタジアムで試合をする最初の外国のクラブチームとなった。キックオフ直後から水色のユニフォームの川崎フロンターレが高い位置でプレスをかけ、パリサンジェルマンは面食らう。しかし、グレーのユニフォームのパリサンジェルマンも盛り返す。この試合で最初のシュートらしいシュートは10分、ネイマールが放つ。おそらく欧州であれば先制点となったであろう、しかしこれを元韓国代表のGK鄭成龍が難なく止める。フランスリーグでの川島永嗣の存在は有名であるが、改めてアジアのGKのレベルの高さを思い知らされた。鄭成龍はその後も17分、18分、19分、28分とスーパーセーブを見せ、圧倒的にボールを支配するパリサンジェルマンも無得点が続く。
 この状況を打ち破ったのがメッシであった。ムバッペが左サイドを崩し、クロスを入れ、これにハキミが反応、メッシにつなぐ。メッシは登里をかわしてシュート、32分の先制点に大観衆はどよめく。

■追加点をあげたアルノー・カリムエンド、終盤に1点返した川崎フロンターレ

 後半に入り、パリサンジェルマンは選手を交代、結局90分間フル出場したのがグイエだけであった。一方の川崎フロンターレもレアンドロ・ダミアンをはじめとする選手がベンチに下がる。パリサンジェルマンの追加点をあげたのは後半から入ってきたアルノー・カリムエンドであった。左サイドでメッシとファン・ベルナトがワンツーでパス交換、ベルナトがグラウンダーでゴール前にパス、カリムエンドが右足で流し込む。カリムエンドはこの後も川崎フロンターレのゴールを襲うが、ポジション奪取に向けた追加点は上げられなかった。
 一方、リーグチャンピオンのプライドを持った川崎フロンターレは終盤にパリサンジェルマンのゴール前に迫る。瀬古樹のCKをヘディングで合わせたのは山村和也であった。 結局、パリサンジェルマンは2-1と川崎フロンターレを下しツアー初戦を飾ったのである。(続く)

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