第3045回 パリサンジェルマン、11回目のチャンピオンズトロフィー

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■リーグ戦開幕の前週に行われるチャンピオンズトロフィー

 2022-23シーズンのフランスリーグは8月5日のリヨン-アジャクシオ戦で開幕する。開幕前週には、昨季リーグチャンピオンのパリサンジェルマンとフランスカップ優勝のナントがスーパーカップに相当するチャンピオンズトロフィーで対戦する。27年ぶりの日本ツアーを成功裡に終えたパリサンジェルマンの戦いを紹介しよう。

■10年以上の歴史のある国外での開催

 スーパーカップは各国でシーズン開幕前の風物詩となった。フランスでもスーパーカップに相当する試合は行われてきたが、1995年にチャンピオンズトロフィーとして定着した。当初はトップレベルの試合を見ることの少ない地方都市で開催していたが、2000年代のリヨンの黄金期にはリヨンで3万人以上の観客を集めることもあった。そして大きな一歩を踏み出したのが2009年である。カナダのモントリオールでボルドーとギャンガンが対戦し、ボルドーが前年に続いて3回目のトロフィーを獲得した。前年はボルドーの本拠地シャバン・デルマスで2万7000人の観衆を集めたが、モントリオールのオリンピックスタジアムでは3万4000人の観衆を集めた。フランスサッカーが国外に目覚めた試合であり、これが今回のパリサンジェルマンの日本ツアーの原点であると言えるであろう。
 その翌年はチュニジアのラデスで5万7000人の観衆を集め、新型コロナウイルスの影響を受けた初年の2020年のみフランス国内のランス(Lens)で試合を行った以外は国外で試合を行い、多くの観客を集めている。当初は仏語圏で行われてきたが、近年は米国、中国で試合を行うことが多く、昨年と今年はイスラエルのテルアビブで試合が行われる。

■フランスカップ決勝の雪辱を期すクリストフ・ガルティエ監督

 パリサンジェルマンのクリストフ・ガルティエ監督は就任後初の公式戦となるが、特別な気持ちで臨んでいる。まずは、大型補強を繰り返してきたにもかかわらず、手にすることができなかった欧州王者への第一歩としての手ごたえをつかんでおきたい。そして昨季まで監督を務めていたニースはフランスカップの決勝でナントに敗れている。ナントに負けられないとチームの誰よりも強く思っているのが監督のガルティエである。
 他方、ナントの監督はアントワン・コンブアレ、現役時代はUEFAカップでレアル・マドリッドに勝利した際の黄金のヘディングはいまだにパルク・デ・プランスに大きな写真が掲げられている。

■日本ツアーの成果、ナントを4-0で下す

 必勝を期すガルティエ監督がテルアビブのブルームフィールド競技場に送り出したイレブンは日本ツアーの成果ともいえるものであった。GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは3バック、右からセルヒオ・ラモス、中央にマルキーニョス、左にプレスネル・キンペンベ、MFは右からアクラフ・ハキミ、マルコ・ベラッティ、ビティーニャ、ヌーノ・メンデス、高いトップ下にリオネル・メッシ、FWは2トップで右にパブロ・サラビア、左にネイマールとツアー最終戦のガンバ大阪戦と全く同じであった。一方のナントは5バックと守備的な布陣で臨む。
 イスラエル人主審の笛で始まった試合はパリサンジェルマンがパスをつなぎ、ボールを支配する。13分のマルキーニョスのヘディングシュートはバーに当たり、先制点にはならなかったが、22分にはネイマールからのパスをペナルティエリア内で受けたメッシがナントの守備陣をかわしてゴールネットを揺らした。その後もパリサンジェルマンは攻めたが、ナントのGKアルバン・ラフォンの好セーブにあい、前半は1点どまりかと思われたが、アディショナルタイムの50分にネイマールが追加点をあげ、2-0でハーフタイムを迎えた。
 後半に入ってパリサンジェルマンは日本ツアーで守備の不安を指摘されたセルヒオ・ラモスがゴール前の混戦から3点目を奪う。さらに82分にはPKをネイマールが決めて4-0と勝利する。
 守備面の不安を払拭し、大量点をあげたパリサンジェルマンが11回目のトロフィーを獲得したのである。(この項、終わり)

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