第3257回 1年半ぶりの親善試合となるドイツ戦(2) 暫定的に指揮を執るルディ・フェラー

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■フランスでも1度しかない代表監督の任期途中での解任

 フランスとの親善試合の直前の日本戦で1-4と大敗し、ハンジ・フリック監督が解任となったドイツ代表。任期途中での代表監督解任は史上初めてのことである。ちなみにフランスでも任期途中での代表監督解任は1988年のアンリ・ミッシェルのみである。1984年のロスアンジェルスオリンピックで優勝した後、1986年ワールドカップでは3位となったが、1988年欧州選手権予選で敗退、1988年秋に始まった1990年ワールドカップ予選ではキプロスと引き分け、解任され、ミッシェル・プラティニにその座を譲った。

■暫定的に指揮を執る代表チームのスタッフのルディ・フェラー

 その当時、ドイツ代表のFWとして活躍していたルディ・フェラーが、フランス戦では暫定的に指揮を執ることになった。フェラーは1982年のワールドカップ後にドイツ代表入りし、1994年ワールドカップ米国大会までドイツの攻撃を支えた。ドイツ代表としてフランスとも対戦経験があり、1984年4月にストラスブールで行われた親善試合では敗れたが、1986年のワールドカップメキシコ大会の準決勝では後半途中から出場し、試合終了直前に追加点をあげて、決勝進出に貢献した。1987年にベルリンで行われた親善試合では開始早々に2点をあげて、フランスに2-1と勝利している。出場3試合で2勝1敗、3得点というのは好成績であろう。一方、フェラーは2000年から2004年にかけて代表監督を務めているが、この間にフランスと2回親善試合で対戦し、いずれも敗れている。
 そしてフェラーは1992年から2年間マルセイユに所属し、移籍初年のベロドロームでの初戦、トゥールーズ戦でのゴールは今でもマルセイユのファンの語り草である。そしてマルセイユでの2年間、ディディエ・デシャンとチームメイトであった。
 選手としての好成績か、監督としての苦戦か、どちらになるか、試合前から注目を集めた。

■80試合連続出場となる主将アントワン・グリエズマン

 不振とは言え、代表チームを応援するためにドルトムントのアリーナには6万人を超える観衆が集まる。青白赤のトリコロールのユニフォームに身を包んだフランスの先発メンバーであるが、GKはマイク・メニャン、DFは右からバンジャマン・パバール、ジャン・クレール・トディボ、ウィリアム・サリバ、テオ・エルナンデス、MFは4人、中央の低い位置にエドゥアルド・カマビンガ、オーレリアン・チュアメニ、サイドの攻撃的な位置には右はキングスレー・コマン、左はアドリアン・ラビオ。FWは2トップで右にランダル・コロムアニ、左にアントワン・グリエズマンという4-4-2フォーメーションとなり、アイルランド戦とは半数以上の選手が入れ替わった。主将を務めるのはこの試合が代表で123試合目となるグリエズマン、ティエリー・アンリと並んで代表戦出場は歴代4位となった。グリエズマンはこれが代表で2試合目の主将となるが、デシャン監督が最も信頼を寄せる選手であり、代表戦はこれで80試合連続出場となった。
 フランスは2023年に入ってからは欧州選手権予選しか戦っていないが、これまで5連勝、このドイツ戦に勝利すれば6連勝となる。年が始まってから6連勝というのは2016年以来の記録となる。

■日本戦と3人しか先発を入れ替えなかったドイツ

 一方、代表チームのスタッフであるフェラーが暫定的に指揮を執るドイツは、GKはマルク・アンドレ・テア・シュテーゲン、DFは右からヨナタン・ター、ニクラス・ジューレ、アントニオ・リュディガー、ベンヤミン・ヘンリヒス、MFは低い位置にイルカイ・ギュンドアンとエムレ・ジャン、攻撃的な位置は右からレロイ・サネ、フロリアン・ビルツ、セルジュ・ニャブリ、FWは1トップでトーマス・ミュラーという布陣である。
 日本戦とは3人しか先発メンバーを入れ替えていない。フェラー自身は負けが込んでいるとはいえ、チームを信頼しているのであろう。(続く)

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