第3256回 1年半ぶりの親善試合となるドイツ戦(1) 38年ぶりの3連敗で監督が解任されたドイツ

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■5連勝と欧州選手権予選では独走するフランス

 欧州選手権予選グループB、フランスは第2シードであるが、前半戦は4戦全勝、後半戦の初戦となる9月7日にパルク・デ・プランスで行われたアイルランド戦も2-0と勝利して5連勝を飾る。5試合で総得点は11、失点は0であり、5試合連続のクリーンシートを誇っている。試合数にばらつきはあるものの、2位のオランダ(2勝1敗)、ギリシャ(勝2敗)には勝ち点で9の差をつけており、独走状態である。

■1年半ぶりとなる親善試合

 さて、グループBは5チームからなるため、予選の試合のない日程が生じる。フランスの場合、第6節と言える9月10日と第8節に相当する10月16日である。これらの日程は予選がないインターナショナルマッチデーであるため、親善試合を組む。2018年のUEFAネーションズリーグの発足以来、欧州の代表チームの親善試合の数は激減している。フランスで言うならば、最後の親善試合は昨年3月のコートジボワール、南アフリカとの連戦以来、1年半ぶりのことになり、ここまでUEFAネーションズリーグ5試合、ワールドカップ本大会7試合、欧州選手権予選5試合を戦ってきた。

■近年の戦績は優位に立つフランス

 そのフランスの1年半ぶりの親善試合の相手はドイツである。長年のライバル関係にあり、西ドイツ時代を含めてこれまでに32回対戦し、フランスが15勝9敗8引き分けと勝ち越している。近年はフランスはドイツに対して相性が良く、2014年のワールドカップ準々決勝で0-1と敗れてからは、4勝2分と6試合負けなしである。そして、今回の親善試合はドイツのドルトムントで行われるが、ドイツ国内でフランスは1987年にベルリンで対戦して敗れたのを最後に、それ以来負けておらず、4勝2分とドイツ国内での成績も圧倒している。

■厳しい結果が続き、対戦直前にハンジ・フリック監督が解任

 2010年代後半以降、ドイツは厳しい結果しか残していない。2018年ワールドカップではグループリーグでは最下位となり敗退する。ヨアキム・レーブ監督は続投したが、2021年に開催された欧州選手権では決勝トーナメント1回戦でイングランドに敗れている。この大会を最後にレーブ監督が退任し、大会後にはバイエルン・ミュンヘンを前年にチャンピオンズリーグ優勝に導いたハンジ・フリック監督が就任した。フリック監督は、ワールドカップ予選では好成績を残し、本大会でも期待されたものの、グループリーグでは1勝1分1敗、スペインと勝ち点は同じであったが、得失点差で3位になり、2大会連続でワールドカップでのグループリーグ敗退となった。
 ワールドカップ後もフリック監督は続投、欧州の各国の代表チームは欧州選手権予選を戦っているが、ドイツは開催国であるため、予選が免除となり、インターナショナルマッチデーには親善試合を重ねてきた。再スタートの初戦となった3月25日のペルー戦では2-0と勝利したが、3日後のベルギー戦は2-3と敗れる。さらに6月になっても12日にウクライナと3-3で引き分け、初めての国外での戦いとなった16日にはポーランドに0-1と敗れ、ドイツに戻ってきた20日のコロンビア戦も0-2と敗れており、白星が遠い。
 9月に入り、9日にウォルフスブルクで日本と対戦した後、12日にドルトムントでフランスを迎える。日本戦は昨年のカタールでのワールドカップで唯一の黒星を喫した相手であり、リターンマッチとして注目を集めた。中立地であるカタールではなく、ホームの国内での戦いであったが、ドイツは元気なく1-4で敗れてしまう。ドイツは6月から3連敗となり、3連敗を喫したのは西ドイツ時代の1985年以来、38年ぶりのことである。
 日本戦の翌日にフリック監督が解任される。ドイツ代表の歴史において、監督を解任したのはこれが初めてのことである。
 監督が解任されたばかりのドイツと戦うために、フランスはドルトムント入りしたのである。(続く)

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