第3331回 アフリカネーションズカップとフランス(1) 目立った活躍を残せなかった92人の選手

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■優勝したコートジボワールは4人がフランスのクラブに所属

 開催国コートジボワールがグループリーグ3位から優勝を果たした34回目のアフリカネーションズカップ、今回もフランスのクラブで活躍する選手が多数出場した。  優勝したコートジボワールにはアンジェのGKのヤヒア・フォファナなど4人がフランスのクラブに所属している。準優勝のナイジェリアにもニースのテレム・モフィとナントのモーゼス・サイモンがいる。

■92人がフランスのクラブ、うち57人が1部のクラブに所属

 今回の大会は1チーム27人とエントリー数が増えたこともあり、フランスのクラブから92人の選手がエントリーしている。国別にみるとセネガルが12人、マリが9人、ガーナ、カメルーン、ギニアが8人と西アフリカの国は多くの選手がフランスのクラブに所属している。一方、サハラ以北のマグレブ諸国はアルジェリア6人、モロッコ5人、チュニジア3人とそれなりにフランス勢がいるが、エジプトはほとんどの選手が自国に残り、フランス勢は1人だけである。
 出場24か国中、18か国にはフランス勢が名を連ね、全エントリー選手の7人に1人はフランスのクラブの選手であり、今大会もフランス勢が最大の勢力を誇る。そのうち1部リーグの選手は57人である。57人という数は近年の大会とはそう変わらない。

■唯一のベストイレブンに入ったマルセイユのシャンセル・ムバンバ

 大会終了後に最優秀選手、得点王、ベストイレブンなどの表彰選手が発表された。最優秀選手はナイジェリアのウィリアム・トロースト・エコング(ギリシャのPAOKテッサロニキ)、得点王は赤道ギニアのエミリオ・エンスエ(スペイン3部のインターシティ)、最優秀GKは南アフリカのロンウェン・ウィリアムズ(南アフリカのマメロディ・サンダウンズ)、最優秀若手選手はコートジボワールのシモン・アディングラ(イングランドのブライトン)となった。そしてベストイレブンは優勝したコートジボワールと準優勝のナイジェリアから3人ずつ、3位の南アフリカと4位のコンゴ民主共和国から2人ずつ、得点王を輩出した赤道ギニアから1人選ばれた。
 しかし、これらの表彰選手のうち、フランスのクラブに所属する選手はただ1人、マルセイユに所属するコンゴ民主共和国のシャンセル・ムバンバがベストイレブンでDFに選ばれただけであった。

■1部勢全18チームからアフリカネーションズカップに出場

 フランスの1部勢のクラブ別の分布を見ると、最多はマルセイユとロリアンの7人、モナコ、モンペリエが5人、メッス、ナント、ニース、スタッド・ド・ランス、トゥールーズが4人、クレルモン、ルアーブル、RCランスが3人、リールとリヨンが2人、ブレスト、パリサンジェルマン、レンヌ、ストラスブールが1人となっており、1部18チームのすべてからアフリカに選手が渡っている。
 しかし、いわゆる有力チームの選手で好成績を残した国の選手が少なかった。昨季リーグチャンピオンで今季も首位を走っているパリサンジェルマンはモロッコのアクラフ・ハキミの1人だけ、2位のRCランスはガーナのアブドュル・サリス、ギニアのモルガン・ギラボギ、セネガルのナンパリ・マンディ、今季2位で前半戦を折り返したニースはコートジボワールのジェレミー・ボガ、ナイジェリアのテレム・モフィ、アルジェリアのヒチャム・ブダウイとユセフ・アタルがいた。優勝、準優勝チームのメンバーを輩出したニースは大会期間中にブレストに抜かれて3位になったが、ブレストは1人しかアフリカに選手を送らず、首位のパリサンジェルマンも白星を重ねている。なお、最多の7人を送ったマルセイユは順位を7位から9位に落とし、逆にロリアンは大会期間中は無敗で、順位を上げた。
 一方、アフリカネーションズカップとほぼ同時期に行われたアジアカップにはフランスのクラブから7人の選手が出場している。日本が3人、韓国、ウズベキスタン、ヨルダン、イラクがそれぞれ1人ずつである。このようにシーズン中に離脱するアフリカ、アジアの選手は欧州のクラブにとってはその扱いが難しいところである。(続く)

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