第2296回 崖っぷちのラグビー代表(10) テディ・トマの2トライ実らず、またも逆転負け

 1998年2月20日、「サッカークリック」の「フランス・サッカー実存主義」でJ.P.モアンは連載を始めました。2018年2月20日に20周年を迎えました。「サッカークリック」で92回、「スポーツナビ」で40回、そしてこの「フランス・サッカー幻想交響曲」で2296回、全部で2428回の連載を続けてこられたのは読者の皆様のおかげです。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。

■テディ・トマ、スピードに乗って先制トライ

 スコットランドのエジンバラ、マレーフィールドでの6か国対抗第2戦、フランスは立ち上がりから果敢に攻める。前週に対戦したアイルランドよりも地力の劣るスコットランドに対して、3分にはジョフレイ・ドゥーメイルーが右ウイングのテディ・トマにパス、ワンバウンドの乱れたパスを受けたトマは一回転して前進する。ここからのスピードが素晴らしかった。トマはスコットランドの選手を次々にかわして右中間にトライを決める。トライ後のゴールはマキシム・マシュノーが決めて、7-0と先制する。さらにその直後にも攻め込んだフランスはスコットランド陣内のラックでベンセラス・ローレが相手のノットリリースザボールの反則を誘う。ペナルティゴールをマシュノーが決めて、10-0とリードを広げる。
 スコットランドも13分にジョニー・グレイの突進から最後はショーン・マイトランドが左隅にトライを決める。名手グレイグ・レイドローが難しい位置からのゴールを決めて3点差に迫る。

■トマ、2本目は技ありのトライ

 フランスは27分にこの日2本目のトライをあげる。リオネル・ボークシスが右に展開、ドゥメイルー、ジョフレイ・パリと鮮やかにつなぎ、ウイングのトマにボールが渡る。タッチラインぎりぎりでスコットランドの守備陣も迫っており、前にも横にもスペースのない状況で、トマはショートパントをあげる。フルバックのスチュアート・ホッグの頭上を通り越したボールが跳ね返ったところをトマはインゴールでキャッチし、そのままトライ、再び10点差とする。
 その後はスコットランドの時間となる。ゴール前のラックからレイドローがヒュー・ジョーンズにパス。パスを受けたジョーンズはボークシスとセバスチャン・バーマイナの間を角度をつけて走り込み、ゴール真下にトライ、レイドローもゴールも決まり再び3点差に迫る。フランスは前半終了間際にモールで反則を得て、ペナルティゴールを決めて20-14とリードして折り返す。

■後半はペナルティゴールの奪い合い

 後半はペナルティゴールの奪い合いとなった。まずは43分にスコットランドが成功させ、3点差。フランスは後半開始時からマシュノーに代わってバティスト・サランを投入、47分にペナルティゴールを決める。49分にスコットランドに決められたフランスは57分もサランが決めて26-20と6点差とする。しかし、ここからレイドローのキックが冴えわたる。60分には30メートル、65分には40メートルのペナルティゴールを決めてついにスコットランドが追い付く。

■終盤に規律を欠き、グレイグ・レイドローがペナルティゴールを重ね、敗戦

 フランスは規律を欠き、反則を重ねてしまう。71分にはスコットランドのフェーズを重ねた波状攻撃に対し、ディフェンスラインがオフサイド、右中間からレイドローがペナルティゴールを決めて、スコットランドはこの試合初めてリードを奪う。さらに77分にもフランスはペナルティを犯し、26-32と6点差となる。
 残された時間、フランスはスコットランド陣内に入り、攻め続けるが、スコットランドの防御を崩すことができず、26-32と敗戦する。
 フランスは32失点したが、これはスコットランド戦での最多失点となる。これまでのワースト記録は1912年の31失点であり、108年ぶりにワースト記録を更新してしまった。またフランスはこれで8試合連続で勝利がなく、これは1968年から1969年に記録して以来、ほぼ50年ぶりの悪い記録である。
 フランスは連敗となったが、いずれも終盤の逆転負け、そして7点差以内ということでボーナスポイントを積み重ねた。守勢一方だったアイルランド戦と比較すると、スコットランド戦はかなりボール保持率などでは肉薄し、トライ数はスコットランドと同じ2、反則の多さを主将のギレーム・ギラドは敗因としてあげ、修正可能な敗因である。そしてスコットランド戦で見せたトマの2トライ、これはエジンバラのファンも拍手喝采であった。
 しかし、次のイタリア戦にはトマを含む多くのメンバーがリストから外れたのである。(続く)

このページのTOPへ