第605回 2006年バスケットボール世界選手権(6) 準々決勝でまたギリシャに敗れる

■2005年欧州選手権準々決勝で終了間際に逆転負け

 今大会の台風の目であるアンゴラを下したフランスはアルゼンチン、イタリア、トルコ、スペイン、ドイツ、米国、ギリシャとともにベスト8に進出した。グループリーグでの各グループで成績の上位だった国で決勝トーナメント1回戦で姿を消したのはリトアニア(グループCで3位)に敗れたイタリア(グループDの2位)だけであり、概ね順当な結果となった。フランスの準々決勝の相手はギリシャである。ギリシャはグループCを首位で通過し、決勝トーナメント1回戦ではアジアの王者・中国を下している。
 ギリシャは2005年の欧州選手権のチャンピオンである。この欧州選手権の開催地はセルビア・モンテネグロ、2004年世界選手権の王者のホームで行われたこの大会で、ギリシャは決勝に進出、ドイツを破って2回目の優勝を果たしている。ギリシャにとってこの試合のハイライトは準決勝のフランス戦であった。セルビア・モンテネグロ、リトアニアと言う強敵を下したフランス、イスラエル、ロシアを下したギリシャの試合は壮絶な試合となった。フランスはエースのトニー・パーカーが大活躍をする。残し時間1分の段階でフランスは60-53とリードする。ここからギリシャが猛反撃、得点を重ねるが、残り3行となったところでフランスは66-64と2点のリード。しかし、試合終了3秒前、ギリシャは3ポイントシュートを決めて見事な逆転勝ち、勢いに乗るフランスを下したギリシャが今度は勢いに乗って、自国開催の第1回大会以来の優勝を飾ったのである。

■2004年のサッカー欧州選手権の準々決勝でも敗れる

 準々決勝でギリシャと対戦と言うと本連載の読者の皆様はその前年にあたる2004年に行われたサッカーの欧州選手権を思い出されるであろう。この時もフランスはグループリーグの初戦で最大の難敵であるイングランドを下してグループリーグトップで決勝トーナメントに進出する。決勝トーナメントの初戦にあたる準々決勝では開幕戦で開催国のポルトガルを下し、1勝1分1敗でスペインと勝ち点で並びながら総得点数で上回ってグループAの2位に滑り込んだギリシャである。決して油断したわけではなかったが、フランスはこの準々決勝で0-1と敗れてしまい、ポルトガルの地を去った。そして開幕戦以来3試合ぶりに勝利をあげたギリシャは準決勝でオランダ、決勝では再びポルトガルを下して優勝したのである。つまり、2004年、2005年と行われた主要競技の欧州選手権は準々決勝でフランスに勝ったギリシャが頂点に登りつめているのである。

■因縁の対決はロースコアで始まる

 フランスにとって3度連続して負けるわけにはいかない。特に昨年のベオグラードでの悔しい敗戦を経験している選手についてはなおさらのことである。そのような気負いが両チームの選手にマイナスに作用したのか、第1クォーターは両チームの動きが悪く、なかなか得点が生まれず、シュートミスが続く。第1クォーターはロースコアとなり、ギリシャが12-8とリードする。
 第2クォーターでエンジンがかかったのはギリシャであった。ギリシャは34-24と10点差をつけて前半戦を折り返す。昨年のベオグラードでの戦いとは逆にギリシャが先行する展開となった。

■次第に得点差をつけられ、3年連続でギリシャに苦汁

 後半に巻き返しを期待したいフランスであるが、シュートがなかなか決まらない。第3クォーターに入ると点差はさらに広がる。その点差をうめることができないまま、第4クォーターに突入するが、結局、点差は縮まらず、56-73という大差でフランスはまたもギリシャに敗れたのである。
 エースのトニー・パーカーの欠場に奮起したフランスは、試合ごとにヒーローが生まれてきたが、この試合に限ってはヒーローが生まれず、10点以上得点をあげた選手がミカエル・ジュラバルただ一人と、攻撃陣が押さえ込まれてしまった。それまで順調にきていたのに準々決勝で動きが悪くなり、ギリシャに敗れるというのは2004年の欧州選手権の再現である。
 ただし、2年前とは異なる点が1つだけある。それはバスケットボールの世界選手権の場合、決勝トーナメントで敗れても順位決定戦が存在するのである。過去最高の4位には届かないが、43年ぶりの5位をかけてフランスの戦いは続くのである。(続く)

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