第767回 グループ2位で決勝トーナメント進出(3) 3チームに首位突破の可能性

■最終戦を迎える段階で決勝トーナメント進出決定チームがない「死のグループ」

 9月21日にグループDの3強の一角のアイルランドに勝利したフランスであるが、その翌日の22日にアルゼンチンはナミビアに7トライを上げて63-3と大勝し、ボーナスポイント1を含む勝ち点5を獲得し、フランスの首位は一夜で終わり、9月30日の最終戦で順位が決定する。最終戦を迎える段階で、決勝トーナメント進出を決めたチームがないのはグループDだけであり、まさに「死のグループ」である。

■グルジア-フランス戦に続き、アルゼンチン-アイルランド戦

 グループDの最終戦は15時からマルセイユでグルジア-フランス戦、17時からパルク・デ・プランスでアルゼンチン-アイルランド戦が行われる。グループリーグの最終戦については本連載の第433回で紹介したとおり、サッカーのワールドカップの場合、グループリーグの最終戦は同一の時刻にキックオフされるが、ラグビーのワールドカップの場合、キックオフの時間をずらしている。この理由は、グループリーグが5チームで構成され、試合のないチームが1チームは存在してしまうこと、さらに、TF1ならびにユーロスポーツでテレビ中継するが、全試合を生中継することによって、より多くの人にライブで試合を見てもらうためなのである。このキックオフの時間のずれが、「死のグループD」の順位決定に微妙な影響を与えたのである。

■フランスが首位突破するシナリオ

 最終戦を迎える段階の順位を確認すると、1位アルゼンチン(勝ち点14、得失点差+95)、2位フランス(10、+94)、3位アイルランド(9、-3)となっている。通常の勝ち点(勝ちの場合は4点、引き分けは2点)以外に、ボーナスポイント1点(4トライ以上あるいは7点差以下の惜敗)が存在し、勝ち点で並んだ場合は当該チームの直接対決の結果、それで決まらない場合は得失点差で順位が決定されるため、これら3チーム全てに首位から3位までの可能性が残されている。そして前々回の本連載で紹介したとおり、準々決勝のことを考えるとニュージーランド戦を回避できる首位突破をいずれのチームも望んでいる。
 フランスが首位になるケースは、最終戦のグルジア戦で4トライ以上上げてボーナスポイントつきで勝利し、アルゼンチンがアイルランドに対し、ボーナスポイントなしで敗れた場合(8点差以上の点差あるいは3トライ以下)が基本的に考えられる。
 解説を加えると、フランスがグルジア戦で4トライ以上上げ、ボーナスポイントも獲得し、17時からの試合でアルゼンチンがアイルランドにボーナスポイントなしで負けた場合(8点差以上の点差あるいは3トライ以下)、フランスの勝ち点は15となり、勝ち点14のアルゼンチンを上回る。しかし、アルゼンチンがアイルランドに敗れてもボーナスポイントを獲得した場合、フランスとアルゼンチンは勝ち点14で並び、直接対決の結果でアルゼンチンが首位になる。
 一方、フランスがグルジアに勝利しても、ボーナスポイントを獲得できなかった場合は、勝ち点が14までしか届かず、最終戦前の段階ですでに勝ち点14のアルゼンチンに勝ち点で追いつく可能性もあるが、直接対決の結果で首位を譲ることになる。

■アルゼンチンは勝ち点を獲得すれば首位防衛、アイルランドにもかすかに可能性

 そして、現在首位のアルゼンチンはボーナスポイントを含む勝ち点を1ポイントでも獲得すれば、確実に首位突破ができる。今夏、連勝しており相性の良いアイルランド相手に引き分け、あるいは敗れても7点差以内もしくは4トライ以上ならば、準々決勝でニュージーランド戦を避けることができる。
 また、アイルランドにもかすかに可能性は残されている。最終戦でフランスがグルジアにボーナスポイントなしで勝利、アイルランドがアルゼンチンに勝利し、アイルランドが4トライ以上奪ってボーナスポイントを獲得、アルゼンチンが8点差以上付けられての敗戦であれば、3チームが勝ち点14で並ぶことになる。この場合、得失点差の争いとなるが、アルゼンチンはフランスを下回ることが確実であり、フランスとアイルランドの争いとなる。アイルランドは、大差で勝利すれば、フランスを上回る可能性もあり、首位突破もありうる。
 フランスにとっては15時からの試合でグルジアにトライラッシュで勝利し、17時からの試合でアイルランドの奮起を期待したいところである。(続く)

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