第768回 グループ2位で決勝トーナメント進出(4) アルゼンチン強し、首位突破

■先発メンバー全員がフランスのクラブに所属するグルジア

 最終戦で順位が決定することになったグループDはまずフランスがマルセイユでグルジアと対戦する。グルジアは前回大会がワールドカップ初出場であるが、4戦全敗で最下位に終わっている。今大会は欧州地区予選でポルトガルにホームアンドアウエーで1勝1分で勝ち越して2大会連続の本大会出場を果たした。しかし、アルゼンチン、アイルランドと強豪相手に連敗、ようやく26日に行われたナミビア戦に30-0と勝利してワールドカップ初勝利を挙げている。
 世界ランキングは17位、フランスとも初めての対戦であるが、グルジア代表のほとんどの選手はフランスのクラブに所属しており、登録メンバー30人中28人がフランスのクラブの選手であり、4人が国外のクラブの所属しているフランスよりもフランス的なチームである。マルセイユのベロドローム競技場の先発メンバー全員がフランスのクラブに所属するメンバーであった。

■ボーナスポイントを獲得し、パリの試合結果を待つフランス

 このグルジアに対し、フランスの狙いは単に勝利ではなく、4トライ以上を記録してボーナスポイントを獲得することである。フランス代表は格下の相手で準々決勝以降も考慮し、ナミビア戦、アイルランド戦とメンバーを変えてマルセイユでの戦いに乗り込んできた。サッカーの都とはいえ、最近のラグビーブームで立錐の余地もない満員となり、快晴、気温27度と汗ばむ陽気の中で雰囲気は最高である。グルジアのキックオフで試合は始まり、4分にフランスは今年代表入りしたばかりのSOリオネル・ボークシスのPGで先制、そして待望の初トライは7分にFBのクレマン・ポワトルノーが決める。フランスはグルジアのFWのがんばりになかなかトライチャンスを作ることができず、PGで点差をまずは広げる。2トライ目は29分、フランカーのヤニック・ニャンガ、そして36分にボークシスが3トライ目を決め、前半を30-0とリードして後半に入る。
 誰しもが望んでいた4トライ目を上げたのは35歳のベテランWTBクリストフ・ドミニシであった。これが3回目のワールドカップとなるドミニシが45分にトライをあげるとフランスは面白いようにトライを重ねていく。結局、後半は7つのトライを記録し、前後半合わせて10トライ、グルジアに1トライを許したものの、64-7という大差でフランスはボーナスポイントを上げてグループリーグの日程を終了し、歓喜するベロドロームの観衆は巨大スクリーンに映し出されるアイルランド-アルゼンチン戦に注視したのである。

■2万人のアイルランド人が集まったパルク・デ・プランス

 アイルランド-アルゼンチン戦の舞台はパルク・デ・プランス、サッカーの世界ではパリサンジェルマンの本拠地である。17時キックオフの試合であるが開場は14時に繰り上げられた。その理由は15時からのマルセイユの試合をオーロラビジョンで中継するからである。フランスがボーナスポイントを獲得したことにより、アイルランドの首位は消えたが、アルゼンチンに4トライ以上あげ、8点差以上つけて勝利すれば2位になる。そしてそれはフランスの首位を意味する。パルク・デ・プランスに集まった2万人のアイルランドサポーターとベロドロームに残った6万人のフランスサポーターの思いは同じである。ベロドロームとパルク・デ・プランスの思いが同一になったことはサッカーの世界ではなかったことであろう。

■アイルランド追いつけず、アルゼンチンが4連勝

 試合開始直後はアイルランドが攻めたが、先制点をアルゼンチンに許してしまう。16分にアルゼンチンのWTBルーカス・ボルゲスが先制トライ、その後も勝利の欲しいアルゼンチンはお家芸のDGで差を広げる。一方、アイルランドは世界最高のCTBと評価される主将のブライアン。オドリスコルが32分にトライを上げ、1点差に詰め寄る。その後、両チーム得点を挙げて、前半はアルゼンチンが18-10とリードして折り返す。
 後半に入ってアイルランドはFBのジョーダン・マーフィーがトライを上げて詰め寄るが、アルゼンチンはPG、DGで得点差をつけ、最終的なスコアは30-15とダブルスコアになり、堂々の4連勝でグループリーグ首位突破を果たす。
 フランスは2位にとどまり、10月6日にウェールズに渡り、ニュージーランドと対戦することになったのである。(この項、終わり)

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