第769回 伝説再び、ニュージーランドに勝利(1) 南半球勢が過半数を占めたベスト8

■フィジーとアルゼンチンがベスト8入り

 9月7日に開幕したワールドカップも9月30日でグループリーグが終了し、決勝トーナメント進出8か国が出揃った。決勝トーナメントに進出したのはグループAから南アフリカとイングランド、グループBから豪州とフィジー、グループCからニュージーランドとスコットランド、そしてグループDからアルゼンチンとフランスである。
 今大会も、インターナショナルボードメンバーと言われる伝統国有利の日程であったが、ベスト8の顔ぶれはこれまでの大会とは異なる構成となった。まず、アルゼンチンは1999年大会以来、フィジーは1987年大会以来それぞれこれが2回目のベスト8入りである。そして残る6か国はほぼ常連国である。インターナショナルボードメンバーからはウェールズとアイルランドが脱落した。前回大会はベスト8全てをインターナショナルボードメンバーが占め、伝統国が日程面の有利さを活かし、その力を見せたが、インターナショナルボードメンバー8か国が参加するようになった1995年以来初めて、準々決勝にインターナショナルボード以外の国が2か国進出した。

■世界ランキングの上位4チームは南半球勢

 また、ベスト8の内訳は欧州3チーム、オセアニア3チーム、南米1チーム、アフリカ1チームとなり、南半球のチームが5チームと過半数を占めた。さらに驚くべきは南半球勢の実力である。ラグビーの世界ランキングはワールドカップ期間中も変動するが、最新の9月24日の段階のランキングは1位ニュージーランド、2位豪州、3位南アフリカ、4位アルゼンチンと南半球勢が上位4つを占めた。ちなみに残りのチームの順位はフランスが5位、イングランドが7位、スコットランドが10位、フィジーが11位となっている。
 グループ2位にとどまったフランスの準々決勝の相手は優勝候補でグループCで1位のニュージーランドである。ニュージーランドとフランスの勝者は準決勝では豪州とイングランドの勝者と対戦する。豪州とイングランドの試合は決勝トーナメント最初の試合として10月6日15時からマルセイユで行われ、その日の夜の21時にウェールズのカーディフでニュージーランド-フランス戦が行われる。また残りの準々決勝は7日15時からマルセイユで南アフリカ-フィジー戦、7日21時からスタッド・ド・フランスでアルゼンチン-スコットランド戦が行われ、準々決勝の4試合は世界のトップ4の南半球勢とそれ以外が対戦する構図になった。

■圧倒的な強さを誇るニュージーランド

 ニュージーランドは世界ランキング1位であり、フランスとの過去の対戦成績はフランスの10勝1分34敗、フランスは今夏もニュージーランドに遠征したが、ニュージーランドに連敗し、現在7連敗中である。フランスがニュージーランドに最後に勝利したのは2000年11月18日のことであり、今世紀まだ未勝利である。
 そして、ニュージーランドはグループリーグではもちろん4戦4勝、4試合全てでボーナスポイントを獲得している。さらに、グループリーグで2位になったこともあり、フランスは国内ではなくウェールズのカーディフで準々決勝を戦うことになる。また、大会規定により、決勝トーナメントに入ってからは主催者の指定したホテルに宿泊しなくてはならず、フランスはこれまでマルクーシスにあるラグビーのナショナルトレーニングセンターで合宿を行ってきたが、使い慣れた合宿所から出て、優勝候補と戦わなくてはならない。

■ワールドカップでフランスの唯一の勝利、1999年10月31日、トゥイッケナム

 フランスとニュージーランドはワールドカップではこれが4回目の対戦となる。前回大会は3位決定戦で対戦し、準決勝で力尽きたフランスは元気なく13-40と大敗している。そして第1回大会では決勝で対戦したが、現在日本を率いるジョン・カーワンの大活躍の前にフランスはなすすべもなく9-29と敗れている。しかし唯一の勝利は1999年10月31日にロンドンのトゥイッケナム競技場で行われた1999年大会の準決勝である。この時はニュージーランドは絶対的な優勝候補であったが、フランスは20世紀最後の大番狂わせ、43-31でフランスが勝利している。
 1999年大会と両チームの力関係は似ており、そしてこのカーディフのミレニアム競技場でラ・マルセイエーズを歌うフィフティーンの心の中には何か期すものがあるはずである。(続く)

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