第795回 女子ハンドボール世界選手権(2) 北京オリンピックへの道

■昨年来の世界選手権で優勝を逃し続けたフランス

 今回の女子ハンドボール世界選手権はいくつかの注目点がある。
 まず、昨年来続く種目別の世界選手権で、フランスは前回紹介したとおり、上位には進出しているが優勝しておらず、この女子ハンドボールで優勝をすることができるかどうかというところである。一連の大会で最も優勝に近かったのがサッカーのワールドカップの準優勝である。男子バスケットボール、ラグビーのワールドカップも優勝候補であったが、終盤に力尽きた形となった。今回の女子ハンドボールで優勝を飾り、オリンピックイヤーを迎えたいところである。

■就任10年目の名将率いるフランス代表に地元優勝の期待

 女子ハンドボールのフランス代表チームを率いるのはオリビエ・クランブホルツ監督である。クランブホルツ監督はフランス代表の監督に1998年11月に就任しており、すでに9年間の長きに渡って代表チームを率いている。この間、オリンピック2回、世界選手権4回、欧州選手権4回と合計10回、大舞台で戦ってきた。就任して最初の大会である1999年の世界選手権では共同開催国のノルウェーに次いで準優勝をとげ、いきなりフランス女子ハンドボール史上最高の成績を残す。そして2001年大会は5位と後退したが、2003年大会では優勝を果たす。オリンピックも2000年のシドニー大会では6位、2004年は4位に入っている。欧州選手権についても2000年大会は5位、2002年大会は3位、2004年大会は11位と沈んだが、昨年行われた2006年大会では3位である。
 過去3年間のこれらの成績を振り返ると、2004年の欧州選手権は12位、2005年の世界選手権は11位と低迷したが、2006年の欧州選手権は3位である。過去の世界選手権で欧州勢以外が3位以内に入ったことは2003年大会の韓国だけであり、欧州選手権は実質的にはオリンピックや世界選手権と同レベルにあると考えられる。昨年行われた欧州選手権の3位と言う成績は、現在フランスが世界で3番目の力を有していると判断して間違いではないであろう。地元開催ということを勘案すると、優勝は決して夢ではなく、現実的な目標であろう。

■世界選手権の優勝国のみに与えられる北京へのチケット

 また、今大会がオリンピックの前年に開催されると言うことで、北京オリンピックの出場権がかかっている。優勝国のみにオリンピックの出場権が与えられることになっている。一方、すでに出場権を獲得している国がある。まずは開催国の中国、そして各大陸別予選あるいは大陸別選手権の優勝国であるノルウェー(欧州)、カザフスタン(アジア)、ブラジル(パンアメリカ)という4か国が北京行きのチケットを確保している。そしてこれらの4か国がもしも優勝した場合は複雑な仕組みとなる。中国が優勝した場合は世界選手権の準優勝チームに北京への出場権が与えられるが、それ以外の3か国が優勝した場合は、各大陸別予選あるいは大陸別選手権の準優勝チームに出場権が与えられる。欧州の場合はこの権利が昨年の準優勝国のロシアに与えられる。

■来年3月に行われる世界最終予選

 そして優勝できなかったチームは来年3月28日から30日まで行われる世界最終予選に望みを託すことになる。世界最終予選に出場することができるのは今回の世界選手権の2位から7位までの6チーム、そして各大陸別予選あるいは大陸別選手権で準優勝した4チーム、さらに今回の世界選手権で好成績を収めた2大陸から大陸別予選の3位チームという12チームである。この12チームが4チームずつの3つのグループに分かれ、リーグ戦を行い、各グループ上位2チームずつの6チームが北京への最終チケットを手に入れる。またこの世界最終予選は今大会の2位から4位に入った国で開催される。
 おそらく欧州勢が上位を占めることは確実であることから、大陸別予選である昨年の欧州選手権で3位に入ったフランスが最悪でもこの世界最終予選に出場することはほぼ確実であるが、地元開催のフランスは今大会で優勝して年内に北京オリンピックへの出場を確定したいところである。(続く)

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