第797回 女子ハンドボール世界選手権(4) 2次リーグ4位で決勝トーナメントへ

■中規模の開催都市が多い大会

 フランスは2次リーグに進出した。フランスの所属するグループ1はフランス東部のメッスに舞台を移して行われる。今大会の特徴として決勝トーナメントはパリのベルシーで行われるが、それ以外はおおむね中規模の都市で行われる。1次リーグはポー以外にはサンブリューリャック、リヨン、トゥーロン、ニーム、ナント、2次リーグはメッスとディジョン、そして2次リーグに進出できなかった13位以下の順位決定戦となるプレジデントカップはボーベとプエジールで開催される。ラグビーのワールドカップが9年前にサッカーのワールドカップ開催都市と全く同じ年で行われたのとは対照的である。

■アドバンテージを得て2次リーグへ進出したフランス

 3戦全勝で2次リーグに進出したフランスは前回の本連載で紹介したとおり、2次リーグでは1勝分アドバンテージを得て戦うことになる。フランスの所属するグループ1はクロアチア(グループA2位)、ロシア(グループB2位)、マケドニア(グループB2位)、ノルウェー(グループC1位)、アンゴラ(グループC2位)から構成される。このうち、ロシアとノルウェーがフランス同様1勝のアドバンテージを獲得している。

■アフリカ王者アンゴラ相手にまさかの敗戦

 12月6日に行われた2次リーグのフランスの初戦の相手はアンゴラである。アフリカ選手権を5大会連続で制覇しているアフリカの雄であるが、世界選手権では2001年大会で13位に入ったのが最高であり、フランスの優位は動かないと思われた。フランスは主将のステファニー・カノを欠くものの、立ち上がりから得点を重ね、前半の終盤の25分には15-8と7点差をつける。前半を16-11と5点差で折り返し、後半も得点差をキープしていたが、後半が始まって10分経過したころから、フランスは全く得点を奪えなくなる。39分に21-16と5点差だったが、その後フランスは10分間以上得点なく、51分には21-23と逆転されてしまう。ようやく52分に久しぶりの得点を挙げ、残り5分となった55分には25-25と追いつくが、最終スコアは27-29とまさかの敗戦となったのである。

■アンゴラに感謝、決勝トーナメント進出

 そして中1日あけて第2戦はマケドニア戦である。マケドニアも格下の相手であるが、アンゴラ戦の敗戦を教訓として勝利しなくてはならない。この試合は接戦となったが、フランスが終始リードする。29-23と言うスコアでフランスが勝利する。フランスはこの日第1試合を戦ったが、第2試合ではフランスが前々日に苦汁をなめたアンゴラがクロアチアと対戦し、アンゴラがクロアチアに勝利する。この結果、グループ1でフランスは勝ち点4で3位、4位は同勝ち点でアンゴラ、5位のクロアチアは勝ち点0である。2試合でフランスが連敗し、クロアチアが連勝すれば、勝ち点では並ぶことができるが、直接対決でフランスが勝利しているため、フランスはこのアンゴラの勝利の段階で4位以内が確定し、決勝トーナメント進出を決めたのである。
 決勝トーナメント進出を決めたフランスの2次リーグの後半戦は1次リーグで首位となった強豪との戦いが続く。週末ということもあり、第2戦(12月8日)と第3戦(9日)は休息日なしでの連戦となる。第3戦の相手はディフェンディングチャンピオンのロシアである。10月にデンマークで行われたワールドカップでの対戦が最新の対戦であり、フランスは24-30と敗れている。これまでの通算対戦成績もフランスは5勝20敗と分が悪い。試合はロシアがリードし、フランスも反撃を試みるが自力の差はいかんともしがたく、21-30とフランスは敗れてしまう。アンゴラはこの日もマケドニアに勝利し、勝ち点をロシアと同じ6と伸ばす。フランスはこの段階で勝ち点4のため、最終戦の結果ではフランスはロシアやアンゴラに追いつくことはできるが、いずれの相手とも直接対決で敗れているため、最終戦を前にフランスが2次リーグの順位が4位で確定してしまったのである。(続く)

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