第907回 苦手アルゼンチンと対戦(1) 今世紀に入り4連敗を喫する

■ラグビーの月、11月

 今年の11月はサッカーのワールドカップ予選がなく、フランス代表の試合はウルグアイとの親善試合だけが予定されている。11月はフランスのスポーツファンにとってはラグビーの月である。
 欧州のラグビーの世界において、国際試合の季節は年に3回、年始から春にかけての欧州内で6か国対抗、6月から7月にかけての南北交流、そしてこの11月の南北交流である。6月から7月にかけての南北交流は北半球勢が冬の南半球に遠征し、11月は逆に南半球勢が晩秋の欧州を訪問する。
 ワールドカップの翌年であるが、3年後のワールドカップを占う意味でも南北交流はラグビーファンだけではなく、注目を集めるシリーズである。フランスはこの11月も3週連続で国際試合を戦う。まず11月8日にマルセイユでアルゼンチンと戦い、15日にはソショーでパシフィックアイランダース、そして22日にはスタッド・ド・フランスで豪州と戦う。

■ワールドカップでフランスに連勝、伝統国の牙城を崩したアルゼンチン

 この3連戦で一番重要なのは最終戦の豪州との戦いではなく、初戦のアルゼンチン戦である。この理由は本連載の読者の皆様ならばよくお分かりであろう。従来、ニュージーランド、南アフリカ、豪州の3強が南半球のラグビーをリードしてきた。またこの3か国に欧州の5か国(イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、フランス)を加えた旧インターナショナルボードの8か国がワールドカップでもベスト4以上を独占してきた。しかし、昨年のワールドカップではアルゼンチンが旧インターナショナルボード加盟国以外で初めて4強に入った。
 フランスにおいてアルゼンチンが注目を集めるのはそればかりではない。アルゼンチンは昨年のワールドカップではフランスと開幕戦となったグループリーグの初戦、3位決定戦と2回対戦しているが、いずれもアルゼンチンが勝利している。フランスが同じ相手に2回敗れるのはラグビーのワールドカップではもちろん初めてのことであり、サッカーのワールドカップでもこれまでになく、フランスにとっては屈辱的な事件である。

■今世紀に入ってブエノスアイレスで3連敗

 さらに、これまでフランスとアルゼンチンの対戦成績はフランスが30勝1分10敗と大きくリードしているが、今世紀になってからの過去7試合の戦績は1勝6敗と大きく負け越している。今世紀初めての対戦は2002年6月15日のブエノスアイレス、日本と韓国で開催されたサッカーのワールドカップで優勝候補の双肩と言われた両国はグループリーグで姿を消す。その直後にワールドカップ開催国の真裏で行われたラグビーの試合は6か国対抗を制し、その前年秋のテストマッチでも3連勝したフランスはフランス代表の記録となる9連勝をかけてアルゼンチンと対戦する。フランスはアルゼンチンには過去10年間負けていない。しかし、前半は6-6とタイで折り返し、後半になって突き放したかに見えたが、終盤の10分間に19失点を喫して、27-28と惜敗する。
 翌年の6月にもフランスはアルゼンチンを訪問し、アルゼンチンとブエノスアイレスで2試合するが、第1テストは6-10と敗れ、その翌週の第2テストでも32-33と連敗してしまう。

■2桁得点差、連勝記録がストップ、ベロドロームでの初黒星となった2004年の秋

 ここまでの3連敗はいずれもブエノスアイレスでの試合であったが、今世紀に入って4試合目がようやくフランス国内での試合となった。2004年11月20日、マルセイユのベロドローム競技場にアルゼンチンを迎えることになった。フランスはこの年の6か国対抗で全勝優勝、6月の北米遠征で米国とカナダに連勝し、秋の南北交流でも初戦で豪州を破り、8連勝している。8連勝がラグビーのフランス代表の最多連勝記録であり、新記録をかけて2年前同様アルゼンチンと対戦した。
 2年前と違うのは舞台がマルセイユであると言うこと、マルセイユはサッカーの都であるが、ベロドロームでのフランスの戦績はすばらしく、2000年にラグビーの国際試合に使われるようになってからは、ニュージーランド、南アフリカ、豪州、イングランドと対戦し、4戦全勝と言う成績を残している。しかしながらこの試合、フランスは14-24と敗れてしまう。これまでの敗戦がいずれも僅差であったのに比べ、今回は2桁得点差となった。そして連勝記録は8でストップして新記録達成はならず、さらにベロドロームでラグビーのフランス代表が初黒星と、ショッキングな敗戦になったのである。(続く)

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