第1209回 2010年男子ハンドボール世界選手権 (2) 開幕4連勝で第2ラウンド進出を決定

■直前の大会で優勝し、高まる期待

 直近の主要国際大会で3連覇し、フランス団体球技史上最強と言われている男子ハンドボールチーム、スウェーデンの世界選手権の直前にベルシーで行われたベルシートーナメントでは南米の雄アルゼンチン、2年前の前回大会の準優勝チームであるクロアチアを下し、超満員のファンの前で優勝を飾り、スウェーデン入りする。
 スウェーデンというと本連載の読者の皆様は1992年の欧州選手権の悪夢を思い出されるであろう。スペイン、チェコスロバキアという強豪も入った予選を8戦全勝で切り抜け、優勝候補筆頭と言われながら、1勝もあげることができずに敗退した。しかし、1992年の時は予選突破が決定して本大会の行われる1992年に入ってから親善試合で思うように勝つことができなかったが、今回は大会直前のベルシートーナメントで優勝しており期待が持てる。

■24チームが参加、前回優勝のフランスは恵まれた組み合わせ

 大会には24か国が参加、サッカーと地域割りが異なるが、欧州から開催国スウェーデンと前回優勝国のフランスを含む14チーム、アフリカから3チーム、アジアから3チーム、米大陸から3チーム、オセアニアから1チームが出場する。
 まず第1ラウンドが行われ、24チームを6チームずつ4つのグループに分けグループリーグを行う。この第1ラウンドの各グループの上位3チームが第2ラウンドに進出、6チームずつ2つのグループに分かれて総当たりのリーグ戦を行い、各グループ上位2チームが準決勝に進み、準決勝、決勝を戦って優勝チームが決まる。
 第1ラウンドでフランスはスペイン、ドイツ、チュニジア、エジプト、バーレーンと同じA組に入った。各グループに欧州勢は3チームもしくは4チーム入るが、前回優勝のフランスと開催国のスウェーデンは欧州勢が3チームしか入らないグループに振り分けられた。前回の本連載で紹介した通り、欧州勢が圧倒的に優勢な男子ハンドボールで、最高に恵まれた組み合わせとなったのである。

■チュニジア、エジプト、バーレーンに完勝

 フランスは最初の3試合がアフリカ勢、アジア勢との戦いで、4試合目にドイツ、5試合目にスペインと対戦する。前半の他大陸の代表との戦いで確実に勝ち星を重ねておきたいところである。1月14日の初戦の相手はチュニジア、昨年のアフリカ選手権優勝国であり、侮れない相手である。初戦ということもありクリスチャンスタードの会場はわずか1000人の観客である。フランスは前半15-9と危なげないスタート、結局32-15というスコアで初戦を白星で飾った。
 第2戦は1日あけた日曜日の16日に行われた。相手のエジプトはアフリカ選手権の準優勝チームであるが、国際ハンドボール連盟のランキングではチュニジアより上位の15位にランキングされている。フランスはこのエジプト戦も危なげない戦いで、28-19と連勝したのである。
 そして第3戦の相手はアジア選手権で準優勝したバーレーンである。フランスはバーレーンとの実力の差を見せつけ、前半を23-10という大差で折り返す。後半になってもフランスとバーレーンの地力の差は明白で、フランスは41-17でバーレーンを下した。なお、この日にライバルである欧州選手権6位のスペインと同10位ドイツが対戦、スペインが26-24という接戦の末ドイツを下し、フランスとともに3連勝を飾ったのである。

■ドイツを振り切り、第2ラウンド進出を決定

 いよいよ19日からフランスは欧州勢と戦う。フランスにとって実質的な開幕はこの日からと考えていいであろう。相手はスペインに敗れたドイツである。観衆はようやく4500人になった。平日の夜に行われる試合であるが好取組であることに加え、この日は地元スウェーデンの試合がないことから、多数の観客が押し寄せた。試合はこれまでにない接戦となった。前半を終わった段階でフランスはリードを奪ったものの、13-10という僅差である。そしてこの試合活躍を見せたのがエースのニコラ・カラバティックとGKのティエリー・オメイエである。この2人の活躍でフランスはドイツを30-23と破り、第2ラウンド進出を決めたのである。(続く)

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