第1245回 シーズン終盤のフランス・ラグビー (4) 最終節も順位の変動があったレギュラーシーズン

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■下位の状況も似ているサッカーの1部リーグとラグビーのTOP 14

 前回の本連載では、TOP 14において前半戦はめまぐるしく首位が入れ替わったが、秋の国際試合を控えた時期に行われた第11節で首位に立った名門トゥールーズがその後は首位を堅持したことを紹介した。そして国内タイトル獲得のためのファイナルフェーズ出場、欧州でのタイトルとなるハイネケンカップ出場のかかる6位争いは混戦模様のまま最終節を迎える。このように上位陣の状況についてサッカーのフランスリーグとラグビーのTOP 14が似ていることを紹介したが、似ているのは上位陣だけではなく、2部陥落の危機に瀕する下位の状況も似ている。
 前回の本連載で紹介した通り、最終節を迎える段階で1位のトゥールーズ(勝ち点78)から9位のペルピニャン(勝ち点63)までの勝ち点差は15、9位のペルピニャンと6位のビアリッツの勝ち点差は5である。中位以上は混戦であるが、10位のスタッド・フランセの勝ち点は49であり、9位のペルピニャンとの勝ち点差は14とここで差が開いている。しかし、スタッド・フランセのすぐ下の11位アジャン、12位ブリーブの勝ち点は46であり、僅差で2チームが追っている。

■サッカーのアルル・アビニョン、ラグビーのブルゴワン

 そして逆に、降格する下位2チームであるが、13位ラ・ロシェルは勝ち点33、14位ブルゴワンは勝ち点5となっており、最終節を待たずに降格が決定している。特に最下位のブルゴワンは2勝23敗という成績で、150万ユーロの赤字を計上したことにより勝ち点5を剥奪されている。さらに得点361、失点800、得失点差-439となり、失点が得点の2倍以上である。また25試合で得失点差が3ケタのチームはプラスで5チーム、マイナスで3チームである。ブルゴワンは第21節で早々と2部降格が決定している。このブルゴワンの低迷ぶりはサッカーのアルル・アビニョンに匹敵するものである。

■5月7日に行われたレギュラーシーズン最終節

 さてレギュラーシーズンの最終節が5月7日に行われた。注目点は2点、レギュラーシーズン1位のトゥールーズがその座を守り通すことができるのか、そして6位までに入るチームはどこなのかということである。
 首位トゥールーズは前節で最下位ブルゴワンに33-0と勝利した段階で2位以内を確定、実に18年連続での準決勝進出を確定している。トゥールーズの最終節の相手は3位のクレルモンである。クレルモンにとってはトゥールーズに勝利し、2位ラシン・メトロの結果に左右されるが何とか2位に入り込んで準決勝進出を決めたいところである。ラシン・メトロは二桁順位が確定したスタッド・フランセが相手であるが、パリの本拠地を置く伝統チーム同士のダービーマッチであり気は抜けない。
 そして6位以内をめぐる争いは激戦となった。第25節を終えた段階で数字の上では3位クレルモンから9位のペルピニャンまでに6位以内の可能性がある。3位クレルモンは前述の通り、首位トゥールーズとの戦い、4位カストルは9位ペルピニャンとの圏内同士の戦い、5位トゥーロンは勝ち点3差の7位とのモンペリエと対戦する。そして6位ビアリッツは最下位のブルゴワンとの対戦である。 ■直接対決で勝利したモンペリエが最後のチケット

 最も注目された試合は勝ち点3差の直接対決のモンペリエ-トゥーロン戦であろう。この試合はホームのモンペリエの一方的な試合になり27-3と大勝する。モンペリエは3トライをあげ、ボーナスポイントも獲得する。そしてパリのダービーマッチは上位のラシン・メトロが順当に勝利する。また、首位トゥールーズは地元に3万5000人の大観衆を集め、クレルモンをノートライに抑え、15-6で勝利する。
 この結果、レギュラーシーズンの最終順位は、1位トゥールーズ、2位ラシン・メトロと準決勝進出チームは変わらなかったが、3位争いはペルピニャンに勝利したカストルがクレルモンをかわし、カストルが3位、クレルモンが4位となる。また最下位のブルゴワンに勝利したビアリッツが1つ順位をあげて5位、ファイナルフェーズ、ハイネケンカップの最後のチケットとなる6位にはモンペリエがつかんだのである。
 ファイナルフェーズは、サッカーの都マルセイユのベロドロームで5月13日のクレルモン-ビアリッツ、14日のカストル-モンペリエ戦で始まるのである。(この項、終わり)

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