第1575回 ラグビーも王国相手に3連敗(4) 大敗を喫したクライストチャーチでの第2戦

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2011年2月22日の地震から立ち直るクライストチャーチ

 今回の遠征で唯一のクラブチームとの対戦となったオークランド・ブルースの試合で完勝し、フランス代表フィフティーンは第2テストマッチの舞台のクライストチャーチへと移動する。185人の犠牲者が出た2011年2月22日の地震から2年4か月、クライストチャーチの町は復興が進んでおり、市の中心部にあるレッドゾーンと言われる復興の進むエリアも6月末にはすべて解放される予定である。北島の主要都市であるクライストチャーチであるが、2011年秋のワールドカップの会場にはならず、地震の後、初めて国際試合が行われたのは昨年6月のアイルランドとの親善試合であり、このフランス戦が地震以降2回目の国際試合となる。

■地震後2回目の国際試合、フランス戦は10年ぶり

 フランスが最後にこのクライストチャーチで試合を行ったのは今から10年前の2003年6月28日のことである。フランスは16-23と敗れたが、この試合でニコラ・マスが代表にデビューしている。マスは現在もフランス代表のプロップとして活躍しており、今回が5回目のニュージーラン遠征、そして代表キャップ数60を数え、この第2テストマッチも背番号3をつけて先発出場する。
 オールブラックスにとってこのクライストチャーチでの第2テストマッチは1903年に最初のテストマッチを行ってからちょうど500試合目となる。ここまで377勝18分104敗と圧倒的な成績を誇るオールブラックスであるが、200試合目、300試合目、400試合目という節目の試合では必ず勝利している。

■メンバーを大幅に入れ替えたフランス

 レッドゾーンの開放を控え、復興のシンボルともなるこのフランス戦、ニュージーランドは第1テストマッチと1人が入れ替わっただけのほぼ不動のフィフティーン、入れ替わったのは木曜日の練習で負傷したサム・ホワイトロックであり戦術的な変更ではない。一方、第1戦を落としたフランスは4人が入れ替わる。メンバーを紹介するとFW第1列はトマ・ドミンゴ、ディミトリ・サルゼウルスキー、ニコラ・マス、第2列はクリストフ・サムソン、ヨアン・マエストリ、第3列はフランスカーにティエリー・デュソトワールとベルナール・ルルー、ナンバー8にルイ・ピカモール、ハーフ団はスクラムハーフにマシュノー、スタンドオフがフレデリック・ミシャラク、そしてスリークォーターバックは左からヨアン・ウジェ、ウェスレイ・フォファナ、フローリアン・フリッツ、アドリアン・プランテ、フルバックはマキシム・メダールである。マス、サムソン、ルルー、ミシャラクが新たに先発メンバーとなり、メダールとウジェのポジションが入れ替わり、メダールがオークランド・ブルース戦同様に本職のフルバックになり、かなり戦術的な変更をしたと言えるであろう。10年前のクライストチャーチでのオールブラックス戦に出場しているのはマスとミシャラクの2人、オールブラックスには10年前の試合に出場した選手はいない。

■先制点を奪われ、逆襲を浴びたフランス、完封負け

 フランスは開始早々に出鼻をくじかれる。4分にマイボールのラインアウトを奪われ、最後は左ウィングのジュリアアン・サベアがトライ、アーロン・クルーデンのゴールも決まり7-0とリード。その後オールブラックスはペナルティゴールで3点追加し、10-0とリードして折り返す。
 後半に入り、フランスは攻め続け、43分にはペナルティゴールを失敗、その後も連続攻撃でオールブラックスをゴールライン前にくぎ付けにする。3分以上にわたるフランスの連続攻撃の最後にミシャラクがドロップゴールを狙うが、これをサム・ケインがチャージ、アーロン・スミスがボールを拾い、30メートルを独走し、ボールをつないで最後はベン・スミスがトライ、このトライでフランスは意気消沈する。その後もオールブラックスは、2ペナルティゴール、77分には自陣ゴール前からつなぎ、最後はゴールポスト下にボーデン・バレットがトライし、ゴールも決まって30-0という大差で完封勝ちしたのである。(続く)

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