第1663回 ハンドボール欧州選手権 フランス3回目の優勝(1) 天王山のクロアチア戦に競り勝つ

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■11回目を迎えた欧州選手権

 今年はワールドカップイヤー、冬はロシアのソチで冬季オリンピックが開催されるが、新年を迎えたフランスの団体球技でフランス男子が活躍しており、夏のワールドカップに向けて幸先がよい。
 今回から紹介するのはハンドボールの欧州選手権である。本連載でもハンドボールの世界選手権、欧州選手権についてはフランス代表の活躍を紹介してきたが、近年のフランス代表の充実ぶりは特筆するものがある。
 ハンドボールの欧州選手権の歴史は古くはない。第1回大会は1994年で今から20年前、偶数年の年初めに行われ、今回が11回目の開催となり、初めてデンマークで開催された。フランスは一昨年秋から昨年春に行われた予選でリトアニア、ノルウェー、トルコを寄せ付けず、早々と本大会出場を決めている。

■一次リーグは3戦全勝で首位通過

 1月12日に始まった本大会では一次リーグではグループCでロシア、ポーランド、セルビアに3連勝し、二次リーグに進出する。二次リーグはグループCから勝ち進んだポーランド、ロシア、グループDから勝ち進んだクロアチア、スウェーデン、ベラルーシから構成されるが、一次リーグで同じグループだったポーランド、ロシア戦の結果はそのまま引き継ぎ、グループDから来た3チームと対戦し、上位2チームが決勝トーナメントに進出する。

■天王山のクロアチア戦、前半終了間際に逆転

 二次リーグでフランスはクロアチア、ベラルーシ、スウェーデンの順に対戦するが、最初に対戦するクロアチアはグループDで3戦全勝、首位で通過している。すなわち、二次リーグの初戦が3戦全勝同士の戦いとなり、この試合で勝利すれば決勝トーナメント進出に大きく前進する。二次リーグ初戦でいきなりの大一番となったが、フランスはクロアチアとは昨年11月に対戦し、この時はフランスが29-25と勝利している。これまでの両国の対戦成績はフランス15勝、クロアチア12勝、そして1つの引き分けである。またクロアチアの主力選手はフランスのクラブに所属している選手が多く、お互いに手の内はよく知った中での試合となった。
 1月19日、デンマークのオーフスで行われた試合、先制点はフランスが奪ったが、前半はクロアチアがリードし、フランスが追いつくという展開が続く。クロアチアのリードは最大で3点、一方のフランスはリードしたのは先制点以降は1回だけ、我慢の時間帯が続く。しかし、フランスは前半終了直前の29分に17-17と追いつき、そしてミカエル・ギグーのゴールで18-17と逆転する。ギグーについては本連載第83回で紹介した2002年7月に行われたフランス代表の日本遠征の熊本での初戦で代表にデビューしていることから日本のファンの皆様もよくご存じであろう。フランスが1点リードしてハーフタイムを迎える。
 1点フランスがリードして迎えた後半の展開は前半とは逆になった。フランスが常にリードし、クロアチアが追い上げるものの、クロアチアがフランスに追いつくことはなかった。クロアチアは試合終了直前の59分には25-26と1点差に詰め寄ったが、この試合最後の得点はフランスのエースのニコラ・カラバチックであった。カラバチックの得点によりフランスは27-25と天王山を制したのである。

■ベラルーシに快勝、最終戦を残して決勝トーナメント進出決定

 二次グループの第2戦はその2日後の1月21日、相手はベラルーシである。ベラルーシは一次リーグを1勝2敗と3位で通過、二次リーグの初戦でもポーランドに敗れ、通算成績は1勝3敗、すでに決勝トーナメント進出の可能性はなくなってしまっている。フランスはこのベラルーシを圧倒する。先制点を奪い、4-0までリードを広げ、5分まで無失点。前半を20-16とリードして折り返す。後半になってもフランスの優位は揺るがず、さらに得点差を広げ、39-30と勝利する。
 この直後に行われたポーランド-スウェーデン戦でポーランドが勝利したため、フランスは二次リーグ最終戦を残して決勝トーナメント進出を決めたのである。(続く)

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